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【作ってみよう】自宅で日本最高の生パスタを打つ方法 前編/生地作り

レストランだけでなく、コンビニや家庭料理でもポピュラーになりつつある生パスタ。乾燥パスタと比較して、コシが強くモチモチとした食感が、麺好きの日本人たちのハートを掴んでいる。また、人気ラーメン店でもお馴染みの製麺業者が、オリジナルの低加水生パスタを開発するなど、昨今トレンドの予兆を感じさせる。しかし、この潮流に一石を投じているのが、生パスタのプロであり、自らを「Sfoglino(パスタ打ち)」と名乗る河村耕作氏だ。

「Sfoglino(パスタ打ち)」に学ぶ、ボローニャの流儀。

イタリア北部にある街、ボローニャに古くから伝わる手打ちパスタの技術を現地で学び、イタリアやロサンゼルスのレストランでその腕を振るってきた河村氏。パスタを専門に打つ技術師という、日本ではあまり知られない存在だが、なぜこの道を歩み始めたのだろうか。

「10年ほど前、日本でカフェでも開こうと、イタリアのコーヒーを学ぶため近くのスロヴェニアに住んでいました。イタリアを訪れた時、ショートパスタの量り売りの店を偶然見かけて『これだ!』って閃きましたね。そこから、最初はパスタの本を読みながら独学で勉強していました。そんな時、当時フィレンツェの『エノテカ ピンキオーリ』でパスタ場を任されていた仲本さんとは飲み仲間で、彼が作ってくれたトマトソースのタリアテッレに衝撃を受けました。このままじゃこの人たちには到底敵わないと痛感して、それ以来、本気でパスタと向き合い始めたのがきっかけです」

一念発起した河村氏は、イタリア・ボローニャにあるパスタ学校『旧La vecchia scuola bolognese』に入学する。この学校を主催するのは、イタリアで最も有名な女性スフォリーナ、アレッサンドラ・スピーズニー。彼女自身の母親から伝承された、ボローニャのマンマならではの伝統的な技を、後に独学で磨きをかけてきたという。河村氏は彼女の弟子となり、ボローニャに伝わるパスタの伝統と技をがむしゃらに学んだという。

完璧な基礎の先にあった「計算されたランダム」

「元々、イタリア人ならみんな持っているパスタの伝統を、僕だけが持っていないというコンプレックスもあり、徹底的にやり込みました。当時、師匠からは『完璧過ぎるから、お前のパスタはダメなんだ』と言われました。日本人の気質なのか、どうしても同じ形、同じ幅に整えたくなってしまいますが、それがダメだというんです。イタリア人の作るパスタも結構酷いものもありますよ。ただ、彼らは食べさせ方を熟知しているんですよね。マンマが作るパスタや、手抜きでいい加減に作ったものでも、それはそれの旨さが出せるんです。後に渡米して、僕自身が弟子をとってみて、師匠が言っていた意味にようやく気づかされました。パスタの形や長さが、絶妙に違うことによって生まれる食感があるんです。その時から、僕の作るパスタはだいぶ変わりました。以前の僕が作るパスタは見栄えは良かったかもしれません。でも、いまの僕が作る方が、もっと“パスタ”になっている。いま僕が形を崩してオリジナルとなっているパスタにも、すべて意味があってその形になっていることを、僕はきちっと説明できる。基礎をちゃんと分かっていてこそ、オリジナルができるというのは、何事も同じですし、とても重要なことだと思います」

道具は打ち台と綿棒だけ。パスタマシンを使わないボローニャ式

そんな、河村氏が自信と誇りを持って技術を継承している、ボローニャの手打ちパスタ最大の特徴は、麺棒を使用すること。日本で手打ちパスタというと、そのほとんどがパスタマシンを使用する機械式。しかし、基本は打ち台と麺棒と材料さえあれば、好みの生地が作れるというボローニャ式の利便性は、やはり生活に根付いた伝統的スタイルからくるものなのだろう。つまりは、家庭や趣味で手打ちパスタに挑戦するなら、高級マシンなどを買わずに、最低限のアイテムで始められるボローニャ式がうってつけだということ。とはいえ、シンプルな道具と材料で作るということは、それなりの技術と知識を要するということではなかろうか。

手打ちパスタから伝えたいこと

「僕自身はイタリアのシェフたちだって到底及ばないほど、たくさんのパスタを打ってきたし、食べてきました。プロを目指すなら最低でも5年、それもそれなりの数をこなさないと難しい技術と経験値が必要です。ただ、うちを訪ねてきてくださるシェフたちは、生パスタでモチモチした食感やアルデンテを求めるパスタ、手打ちということに、疑問を持っている人たちが多いんです。でも、そんなことを思っているシェフは、日本にもごくわずかしかいないと思っています。パスタ料理自体が美味しい店はたくさんあるけど、食感、生地自体の美味しさまでこだわっている店はなかなかない。彼らは僕が打つ伝統的な生パスタを食べると、やはり日本の生パスタとは違うんだと納得してくれます。シェフたちは最初に作りたい皿があるので、作りながらでも調整できますが、僕らの仕事は、料理ではなくパスタを作ること。最終的に行き着くのはひたすら食感を追求することになるんです。これまでにない食感を求めるなら、ぜひチャレンジして欲しいですね」

河村氏の工房『Base』では手打ちパスタのレクチャーを行う傍ら、飲食ブースで河村氏が打った手打ちパスタを食べることができる。メニューは一品限定で、タリアテッレや詰め物などその時々で異なるが、パスタそのものを楽しめるシンプルな一皿を提供している。丹精込めて作られる、未知なる食感の手打ち生パスタ。これぞ、まさに我々が求める「オトコの麺」ということで、河村氏の全面協力により「ボローニャ式手打ちパスタ」の総力取材を敢行する!

工房兼店舗は街にスッと馴染むようでいて、遠くボローニャを思わせる異物感もある。オーラが強いので入るのを躊躇するかもしれないが、勇気を出した者のみが本物にありつける。

基本であるImpasto Giallo(黄色生地)の作り方

Baseでも提供される「タリアテッレ」はこの生地がベースとなる。粉の量は生地の質感をみながら調整するのが肝だ。

【材料(生地約1.2㎏分)】

小麦粉…800g
全卵…8個

【作り方】

1 分量の小麦粉の約8割(640g)を台の上に山型に乗せ、中央にくぼみを作って直径30㎝程度の土手を作る。

2 土手の中に卵を割り入れ、フォークで黄身を割りほぐす。フォークの背は台につけ円を描くように混ぜる。

3 卵がまんべんなく混ざったら、土手を内側から少しずつ崩しながら、卵に粉を混ぜ込んでいく。

4 湿度や生地の状態に合わせ残りの小麦粉を適量加え、さらにフォークでかき混ぜる。

5 フォークで生地を垂らした時に線が見える程度の粘度になるまで、小麦粉と卵をよくかき混ぜる。

6 スクレーパーで土手の外側の粉を下からすくい、生地の上にのせる。生地が流れ出さないよう手早く行う。

7 粉で覆われた液状の生地をひとつにまとめていくよう、さらにフォークで混ぜる。

8 ある程度生地がまとまるまで、スクレーパーやフォークを使って粉を叩き入れるようさっくりと混ぜる。

9 生地がまとまったら一度どかし、スクレーパーなどで台にこびりついて固くなった余計な生地を取り除く。

10 きれいになった台の上に生地を戻して、小麦粉一つかみ程度を打ち粉として振りかける。

11 空気を中に入れるように縦横に生地を織り込みながら、手でやさしく捏ねる。手につく時は打ち粉をする。

12 約20分間生地を捏ね、赤ちゃんの頬くらいのやわらかさに仕上げる。生地を丸めて、包丁で二つに切る。

13 断面に見える気泡の数は、しっかりと空気が入っている証。合計約1.2㎏のこの生地がシート2枚分となる。

14 切った生地を再びきれいに丸めて、表面になるべく薄くまんべんなく打ち粉をまとわせる。

15 空気が入らないよう生地をラップでくるみ、冷蔵庫で40分程寝かせる。生地が落ち着き伸ばしやすくなる。

16 台に打ち粉をし、生地を置いた上からさらに打ち粉を一つかみ程度かける。これ以降打ち粉は少量ずつ行う。

17 麺棒を使って生地を伸ばす。麺棒は下に押さずに、生地を伸ばすように前にやさしく押し出す。

18 生地をやさしくなでて打ち粉をならしながら、生地の伸ばし具合を確認し、さらに麺棒で均一に伸ばす。

19 生地が大きくなってきたら、半分から上部を伸ばし、麺棒に巻き付けて90度回転し、また上部を伸ばす。

20 1mm以下の薄さに伸ばし、扇風機で2~3分風をあてる。余計な粉や不純物を掃いながら両面とも乾かす。

21 表面の質感が新しい消しゴムのようにサラサラになったら、生地を30cm四方程度に折りたたむ。

22 たたんだ生地をビニール袋でくるみ20分室温で寝かせた後、再び20の工程をおこない生地が完成する。

パスタの成形編はこちら。

【作ってみよう】自宅で日本最高の生パスタを打つ方法 中編/パスタ成形

【作ってみよう】自宅で日本最高の生パスタを打つ方法 中編/パスタ成形

2020年07月17日

教えてくれたのはこの人!

河村耕作さん

ボローニャのパスタ学校を卒業後、レストランでの製麺担当や母校で講師を務めた後、2015年に『Base』を開業。『PRONTO』のパスタメニューの開発も手掛けるなど、手打ちパスタの伝道師として幅広く活躍。

Base
住所/東京都文京区小石川5-34-10 長島ビル1F
TEL/03-5844-6992
http://www.pasta-base.com/

出典

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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