【全料理男子に告ぐ】実は重要、盛り付け次第で味も変わる
buono 編集部
- 2020年08月22日
前菜盛り合わせ3つの流儀
盛り付けを制するものは料理を制す! と言っても過言ではないでしょう。自宅で料理を作って振る舞う時、仮に美味しかったとしても、盛り付けが下手だと、ゲストの気分は下降してしまう! ここでは、前菜が美味しいと評判のレストラン3軒に盛り合わせのコツを教えてもらいました。
大皿に彩りと立体感を加えて、卓上を華やかに飾る
家酒場を盛り上げる最初の一皿の前菜は、盛りつけも重要な要素。さまざまな料理が一つの皿に美しく盛られていると、それだけで掴みはOKだ。
フレンチビストロ『メゾンサンカントサンク』では、大皿に盛りつけられた前菜が名物となっている。「盛り合わせというのは、日本独特の文化です。フランスなどでは、色々な料理が一皿にのっているのを嫌う傾向にあるみたいです。でも、私たち日本人は、色々な料理を少しずついただきたいという思いがありますよね」そう話すのはシェフの八巻氏。
この前菜は、10種類もの料理を大皿に盛りつけた見た目にも美しい芸術的な一皿。この日のメニューは、キッシュ、サバとキヌアのサラダ、ブロッコリーの香草パン粉、ポワローのヴィネグレット、ニンジンとオレンジのラぺ、クリームチーズとネギのディップ、ラタトュユ、根セロリと林檎のレムラード、鴨のリエット、そして白レバーのペースト。それぞれ小皿料理でも提供しているが、訪れたほぼすべての客が盛り合わせを注文するという。
さまざまな食材を彩り豊かに並べた盛り合わせは、皿の中心を軸として円心状に盛りつけていく。汁ものは小皿に入れて、味が混ざらないように盛りつけるのもポイント。そして、全体を華やかに見せるのは色合い。多くの食材を取り入れることで必然的に色味が足され、皿を彩ってくれる。また、立体感もキーワード。料理を平らに並べてしまうと漫然とした印象を与えるが、高さを出すように盛りつけることで立体感が生まれる。
見て楽しい、食べて美味しい前菜は、家酒場の強い味方。プロの盛り付け技術を盗んで、いつもの前菜をワンランクアップさせたい。
前菜×大皿の流儀
テーブルがパッと華やぐ、存在感ある大皿。小さな料理を何品も盛りつけてゲストをおもてなし!
テクニック1 素材の色味を生かして見た目にも華やかに
最初の料理である前菜は、見た目の華やかさも重要なポイント。ニンジンのオレンジやブロッコリーの緑など、素材を種類豊富に使えば、それだけで色味もプラスされる。仕上げにチーズやクルミなどのナッツを散らすことでさらに華やかさは増す。赤、黄色、緑、青、紫の基本五色を意識して素材を選ぼう。
テクニック2 ハーブ類で全体のバランスを整える
「ハーブにも色々な形があり、それぞれに生命力のある動きを持っているので最後に全体のバランスを見ながら散らすと調和が生まれます」と八巻氏。料理に自然な動きが出る他、彩りもプラスされ、一石二鳥だ。
テクニック3 高さを出すことで立体感を出す
盛りつける際には、ただ並べるだけでなく、高さをつけることを意識して。高さを出すものから盛りつけると全体のバランスが取りやすい。いくつか同じ料理を並べる場合は、高低差をつけることで皿にメリハリがでる。
たった2ozの中に展開する美食の小宇宙
15年程前からショットグラスでの盛り付けを提案してきた、グラス盛りの先駆け的な存在といえる『アガぺ カーザ マナカ』の真中シェフ。「当初はアミューズにインパクトを持たせるために始めたのがきっかけ。グラスの中で、いかに食材や味わいが展開していくかが重要なポイントです。小さなスプーンですくって食べるわけですから、必然的に一口が少量になるので、味わいのメリハリや、食感の変化などを考えた料理を意識しています」。提供される「ショットグラス5種盛り合わせ前菜」は、ひとつのグラスが一皿の前菜として成立するほどの、食材や手間がかけられている。
前菜×ショットグラスの流儀
冷菜、温菜、スープまで幅広い料理に対応できる万能さが魅力。手に取りやすくギャザリングでも活躍する優れものだ。
テクニック1 あしらいまで凝ってこそ小ささの魅力発揮
牡蠣とサーモンのポーピエットにあしらわれた2~3cmのビーツは、ただのあしらいではなく、しっかりとマリネされ味のアクセントにも一役を担う。
テクニック2 見てよし、飲んでよし。スープはマスト料理
センターに配置された、見た目にも鮮やかなグリーンピースのスープにはグレープフルーツのエスプーマを乗せ、少量こその味のアクセントを演出。
ままごとのような視覚的効果で女性ウケを狙え!
色も形も様々な豆皿にそれぞれ異なる料理を盛り付けた前菜「豆皿八寸」は、『まめとら銀座』の名物。料理長の渡邉毅氏に、盛り付けのコツを聞いた。
「夜のコースは9皿、昼は5皿に盛り付けています。割れる偶数は縁起が良くないと言われることもあり、奇数の方がまとまりも良い。中央に最も大きい皿を配置し、次に大きい皿を四隅に、残りの4箇所に小さな皿を配置します。手前から奥に向かって徐々に高さが出るよう盛り付けて」。
豆皿の組み合わせは難易度が高そうだが、「磁器や陶器、焼き締めなど様々な素材を合わせ、鮮やかな色の絵皿は1〜2皿に抑えてアクセントに使うこと。皿の色と反対色の食材を合わせると料理が映えます。丸い皿には四角い料理、四角い皿には丸い料理を盛るのもポイント」と数々のセオリーを伝授してくれた。
前菜×豆皿の流儀
豆皿による盛り合わせは、料理だけでなく器を愛でる楽しみも広がる。基本さえ押さえればグレード感のある見栄えが期待できそうだ。
テクニック1 食材調達段階から豆皿の大きさを意識
鯖寿司も豆皿に盛り付けることを考慮し通常より小さく作る。刺身のサクも小さめを選ぶなど、材料を調達するときからサイズ感を意識しておきたい。
テクニック2 季節を先取りしてこそ粋というもの
「春~初夏を意識して桔梗の形の皿を使いました。冬なら菊、春先なら桜など季節を先取る花の皿を使うのがおすすめ」と渡邉氏。店では約40種類の豆皿を用意。
教えてくれた店はこちら!
メゾン サンカントサンク
住所/東京都渋谷区西原3-5-1
TEL/03-5454-5631
アガぺ カーザ マナカ
住所/東京都渋谷区恵比寿1-25-4 1F
TEL/03-6459-3457
まめとら 銀座
住所/東京都中央区銀座6-12-7 銀座新星ビル
TEL/03-5537-5914
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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