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コーヒー生豆のことをもっと知ろう|2大品種、産地の個性、欠点豆のこと

コーヒーの香り高い風味は、豆ひと粒ひと粒の力強さが源となっている。
その豆が経てきた工程や個性を理解することで、より充実した一杯を味わうことができるだろう。
自らのフェイバリットを見つける参考になること請け合いだ。

2大品種、アラビカ種とロブスタ種のこと

200種類を超えると言われているコーヒーの品種。主に日本で親しまれているのはアラビカ種とロブスタ種。それぞれの風味も少しずつ異なる。

年間を通して平均20°C程度で、生長期に十分な雨量のあることが、コーヒーノキ栽培の条件といわれ、最も適する、赤道付近の温暖な地域が主たる生産地となっている。飲用のコーヒー豆は、アラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種の一種)に大別され、おいしいと言われるのはほとんどが前者だ。コクと香りが豊かで酸味があり、レギュラーコーヒーに最適。日本の自家焙煎コーヒー店も、まずアラビカ種を扱う。アラビカ種の原産国はエチオピア。現在ではブラジルやコロンビア、中米からアジアで栽培されている。突然変異や改良により分化し、2004年にはパナマ国際オークションで最高落札価格を記録したゲイシャ種が話題となった。柑橘系のフレーバーと甘酸っぱさにバイヤーが驚嘆し、各国で栽培がはじまっている。一方ロブスタ種は、アラビカ種より栽培管理しやすく、収穫量が多い。安価なため、インスタントコーヒーにも使用される。

ロブスタ種(ROBUSTA)

低地栽培でき病害虫にも強いため、生産量が安定している。ただし、特有の泥臭さがあり、ストレートにはあまり適さない。コクを増させるアクセントとして、エスプレッソに少量混ぜて使うのが一般的である。アラビカ種より劣る性質とされていたが、最近では良質なロブスタ種も出現。

アラビカ種(ARABICA)

豊かな香りと苦み、甘みを持つ一級品は、スペシャルティコーヒーとして評価が高い。病害虫に弱く、標高の高い地域での栽培が基本だが、コーヒー豆総生産量の約70%を占めるほど普及。自然交配や改良により品種が細かく分かれ、特にブルボン種、ティピカ種は世界各地で収穫されている。

ややデリケートながら様々に枝分かれし、スタンダードとして世界中に広まったアラビカ種。そのなかでも人気が高く、日本でも口にしやすい代表種を紹介していこう。

ムンドノーボ

ブルボン種とスマトラ種を交配。前者に近い風味を持つ。病害虫に強いため収穫量が多く、ブラジルの主力品種として浸透している。

パカマラ

ティピカ種の突然変異であるマラゴジペ種と、ブルボン種から派生したパカス種をかけ合わせた。粒が大きく、特有の香りを持つ。

ゲイシャ

2004年にデビューした、エチオピア原産の栽培品種。他にないフルーツのような香りと希少価値の高さで、世界中のバイヤーの注目を集めている。

ブルボン

ブルボン島、現在のレユニオン島へ、イエメンから移入された豆が突然変異。風味が良い一方で病害虫や霜に弱いため、品種改良が盛んに行われている。

ティピカ

アラビカ種の原種と言われる古い品種。病害虫への耐性が低く、生産性に難があるとはいえ、好条件下では豊かな甘みを持つことも。

カトゥーラ

低温や病害虫に影響されにくく、ブルボン種と同様の豊かな酸味と甘みが味わえる。グアテマラをはじめ、中米各国で主要品種に君臨している。

産地の個性を見極めよう

コーヒーは豆の名前=国名となる場合が多い。つまり、産地ごとの特徴がわかりやすいということ。産地ごとの一般的な豆の風味を知れば、好みも見つけやすくなる。まずは代表的な品種のキャラクターから学ぼう。

マンデリン

 

コク深さで知られ、主な産地はインドネシア。ボディの強さが生きるよう、深く煎って苦みを楽しむのがセオリーとされる。とはいえ、中煎りでも個性は十分出る。

代表的な産地

インドネシア(マンデリン、トラジャ)/インド

グアテマラ

良質な中米産の豆は、華やかな香りと明るい酸味が魅力。煎りすぎると酸味が消えてしまうので、個性を生かすなら浅〜中煎り程度で。ブレンドに混ぜるのも一案。

代表的な産地

グアテマラ/コスタリカ/エルサルバドル/ニカラグア

ブラジル

酸味と苦みのバランスが良く、万人受けしやすい。従って、ブレンドのベースとして使われることが多く、焙煎度合いにかかわらず安定した風味を楽しめる。

代表的な産地

ブラジル/コロンビア/ホンジュラス

ケニア

甘く爽やかな酸味と香りが持ち味で、とてもフルーティ。特にカシスやブルーベリーを彷彿とさせる風味が素晴らしく、日本だけでなく欧米各国でも評価が高い。

代表的な産地

ケニア/エチオピア/ルワンダ/パナマ

コロンビア

コーヒーらしいナチュラルな甘さと重量感のあるコクを持つ。ロースト加減を調整し、口当たりスッキリなら中煎り、厚みがある深い味わいが好みなら深煎りで。

代表的な産地

コロンビア/ボリビア/パプアニューギニア

生豆を扱うなら、こんな豆に注意

ひと粒入っているだけでマイナスとなるのが、ブラックビーンやコッコなどの欠点豆。だからこそ丁寧に取り除くハンドピックが重要。

ブラックビーン Black Bean

黒豆とも呼ばれ、全体が黒ずんでいる。完全に発酵しているため、強い腐敗臭を放つ。香りに大きなダメージを与える要因であり、ほこりっぽい味となる。

未熟豆 Verde

未熟な状態で収穫された豆。別名ヴェルデとも。貧弱でツヤがなく、煎り上がりも悪い。混入すると、とても青臭く、渋みが強いコーヒーになってしまう。

ファングス Fungus

不完全な乾燥、輸送保管中の湿気が原因で、青カビや白カビを発生させてしまった豆。焙煎してもカビ臭さは取れることがなく、とても風味を損なう。

コッコ Cocô

果肉がついた状態で乾燥させたため、脱穀しきれなかった豆。 ポルトガルで糞の意である。透明感ある見た目を実現できず、 異臭も強く感じられるように。

天日で自然乾燥させた豆に混入することは珍しくない。石だけでなく、砂や木片、ガラス片まで見つかることも。風味はもちろん、道具にもダメージ大。

サワービーン種

自然落下や水洗式の発酵槽などで雑菌がつき、茶色く変色、発酵した豆。保管中に熟し、腐敗するパターンも。文字通り酢のような臭いと強い酸味が特徴。

虫食い豆

スペイン語でブロッカ(broca)と呼ばれる小さい虫、ベリーボーラー(berry borer)が卵を産み付け、幼虫に種が食べられてしまった状態。濁りや悪臭を生み出す原因となる。

カット Cut

果肉を覆うパーチメントの脱穀時、圧力が過剰に加わって割れたり、えぐれたりした豆。アンバランスなフォルムのため、煎りムラの原因になりやすい。

ピーベリーって?

通常のコーヒー豆はフラットビーン(=平豆)と呼ばれ、半円球の形をしている。そして、1つの実の中に種子が2個。しかし、収穫量の約3〜5%で、片側だけ育った丸い豆が発見される。これがピーベリー(=丸豆)だ。珍しい形状だけでなく、栄養が凝縮されることで生まれる強い香りも持ち味で、とても珍重されている。

生豆は時間とともに変化する

生豆は収穫の後、時間経過によって味を変化させる。品種次第で最良のタイミングが違うことも。近年注目されているのは、1年以内に採られたニュークロップだ。

緑がかった色をしているのが、水分をたくさん含む収穫後間もない生豆。収穫したばかりのニュークロップは、日本でも各国から毎シーズン輸入されている。入荷時期を知っておけば、フレッシュな新豆が口にできるわけ。その年の気象状況に左右されるが、中米は6〜8月、ブラジルで10〜12月、アフリカなら2〜4月が目安となる。スペシャルティコーヒーに力を入れるショップでは、ニュークロップが随時入荷されていることも多いそう。

ニュークロップ(新豆)は瑞々しさ際立つ風味

ほんのりグリーンが残った色味なのは、収穫からの時間経過が少なく、まだ水分を多く含んでいて新鮮だから。半年はフレッシュな香りをキープし、ストレートで抽出するとより個性がハッキリする。

パーストクロップは熟成が適度に進んだ前年度収穫分

1年間寝かせると程良く水分が抜け、表面が白っぽく。この程度熟成させた方が、豆によっては酸味の角がとれて、良好なバランスになる場合も。酸味を強く出したくないエスプレッソにも使われる。

オールドクロップは熟成が進み黄褐色に

収穫後、3年以上経過した豆で、かつては数年寝かせた方が高い価値を持つこともあった。最近では商品価値なしと考える人が増加している。しかし、独特のコクがあり、少量ブレンドする場合も。

粒のは大きい方がいい?

コーヒー豆のサイズは均等ではなく、品種や生産農家などによっては最大3mm近く違うこともある。品種や産地など、複数の要因によって生まれる差だが、味自体も豆の大小に左右される。これは、火の通り加減が大きさによって異なり、焙煎ムラが生じるため。大きい豆ほど高級とされた時代もあったが、実際には小さい豆でもポテンシャルに遜色はない。大切なのは大小ではなく、満遍なくローストできるよう、粒が揃っていること。 豆を購入する際、基準のひとつにしたい。

粒が大きい品種

大きいと生豆の状態で長さ約8mmほどに。浅煎りでキレ系のスッキリ仕上げにするのも手だが、中心まで火が通らないと、えぐみが出てしまうので注意が必要。

代表的な豆

パカマラ/マラゴシペ種

粒が小さい品種

長さ約5mmほどの小さい豆は、早めに火が通るため焙煎にコツが必要。ピーベリーは粒こそ小さいが豆自体が硬く、例外的に火力強めで煎ったほうが良い。

代表的な豆

ピーベリーなど

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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