とろけるクリーミー食感、世界屈指の品質を誇る宮崎キャビア
buono 編集部
- 2022年03月02日
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従来輸入品が主流だったが、8年前、上質な国産キャビアが登場した。G7伊勢志摩サミットの食事会にも選ばれた宮崎キャビアだ。その生産現場を取材しつつ、キャビアを使ったスペシャリテも紹介する。
数多の輸入品を凌駕する宮崎キャビアが登場
バレンタインデーが終われば、すぐにホワイトデー。「チョコのお礼に、今年は料理を贈ろう」というのが裏のテーマだ。
選んだ食材はキャビア。2016年のG7伊勢志摩サミットや、日ロ首脳会談の食事会にも供された、ジャパンキャビア(本社宮崎県)の宮崎キャビアを使った料理を淑女に食べていただこう。
「近年ロシアや欧米、ドバイなどでもチョウザメを養殖し、キャビアを生産しています。数多あるライバルの中でも弊社の宮崎キャビアは世界屈指だと自負しています」とジャパンキャビアの坂元基雄社長は胸を張る。
キャビアを産するチョウザメは、2001年にワシントン条約で絶滅危惧種に登録。輸出が禁止されたことから、世界中で養殖キャビアが珍重されている。
そうした中、なぜ宮崎キャビアが他を凌駕していると言えるのか。その理由を教えてもらう前に、日本でのチョウザメ養殖の歴史を振り返ることにする。
1983年、旧ソ連からチョウザメの稚魚が寄贈され、宮崎県水産試験場をはじめ、国内約20の水産試験場でチョウザメの養殖研究が開始。2004年、全国に先駆け宮崎水産試験場が稚魚の種苗生産に成功した。現在県下の23社がチョウザメの養殖に参入。ジャパンキャビアではそのうちの15社と契約し、すべてのメスにタグを付けて管理している。チョウザメは10年前後で卵を持つのだが、個体差があり、13年経っても卵を産まない成魚もいるという。
「抱卵しているかどうか、1匹ずつエコーで確認するのですが、 卵が美味しくなるのは1年に1週間ほどしかありません。そのため採卵のタイミングが重要です。30年間の研究で培ってきた独自のノウハウで卵の熟成度を判別し、取り出しています」
とは言え、採卵しただけでは上質なキャビアにはならない。徹底した品質管理により世界屈指の宮崎キャビアを2013年にデビューさせた。
最新の設備と技術で卵をキャビアに昇華させる
「宮崎キャビアは世界トップクラス。とろけるような歯ごたえが持ち味です」と『レストラン モナリザ』の河野透シェフ。
輸入品の大半が低温殺菌しているため、卵の表面が煮えたようになり、プチプチ感が舌に残る。しかも塩分濃度が5%以上のものが一般的だ。
「弊社の宮崎キャビアは塩分濃度が3%。殺菌していないためクリーミーな食感を楽しめるだけでなく、防腐剤も使っていないので安心して召し上がっていただけます」(坂元社長)
なぜ低い塩分濃度と無殺菌での加工を可能にしたのか。その答えは、衛生管理を徹底した最新鋭のクリーンルームにある。抱卵したチョウザメを最適なタイミングで本社工場へ運び、一次加工室で採卵するのである。
「輸入品は卵を水で洗った後、そのまま塩漬けにしたものが大半です。弊社では、クリーンルームの二次加工室で血などの不純物を丁寧に取り除きます」
塩をした後、卵を特殊な容器に入れ、クリーンルーム内にある熟成庫で数ヵ月間寝かせる。そのため濃厚な旨味成分を含むだけでなく、ねっとりとした粘りとツヤがあるのが、宮崎キャビアの特徴となっている。
「料理人と同じ。良い卵が採れてもキャビアに昇華させる、作り手の技術がないと極上品にはなりません」(河野シェフ)
ジャパンキャビア
住所/宮崎県宮崎市瓜生野6388-7
TEL/0985-86-8686
営業/9:00〜17:00
休み/土・日・祝日
http://www.japancaviar.jp/
キャビアだけでなく肉にも美容効果が期待できるチョウザメ
宮崎キャビアはどう食べたら旨いのか。坂元社長に尋ねた。
「妻も私も辛口の冷酒を飲みながら、そのまま食べるのが好きです。冷製パスタに和えたり、白身魚の刺身と食べても美味しい。G7伊勢志摩サミットの食事会では、鯛の刺身に添えて食べていただきました」
刺身と食べる際は醤油は不要だ。キャビアの塩分だけで食べるのが一番旨いという。
でも、せっかくホワイトデーに淑女にキャビアを食べてもらうなら、腕によりをかけた料理を作りたい。そこで河野シェフが店で供している料理を教えてもらうことにした。「カリフラワーのムース キャビア添え」と「ジャガイモのクレープ」だ。
後者はミシュランシェフ、ジョルジュ・ブラン(『ジョルジュ・ブラン』のオーナーシェフ)のスペシャリテ。河野シェフは修業時代、師匠ブランからこのレシピを教えてもらった。
「実はチョウザメの肉にはアンチエイジング成分と言われるカルノシン、コラーゲンも豊富に含まれています」(坂元社長)
ジャパンキャビアでは、4kgサイズのチョウザメ(オス)も販売している(約4kg・1kg 2,000円)。特殊なさばき方を含めて、珍しいチョウザメの肉を味わうレシピを河野シェフに教えていただいた。
カリフラワーのムース キャビア添え
茹でたカリフラワーと生クリームでムースを作る。その上にとろけるような宮崎キャビアを飾る。クリーミーな前菜を淑女に召し上がってもらおう。
材料(5人分)
カリフラワー……150g
チキンブイヨン(粉末から作ったものでも可)……250cc
カレー粉……少々
板ゼラチン……2枚(6g)
生クリーム……100g
塩……適量
白コショウ……適量
キャビア……適量
作り方
1 カリフラワーの芯を切り落とし、150gを計る。一度熱湯で軽く茹で、臭みを取る。ザルにあけ、水気をよく切ったら、鍋に戻す。
2 1にチキンブイヨンとカレー粉を加えて、やわらかくなるまで約25分煮る。この間に、板ゼラチンを氷水で戻しておく。
3 茹でたカリフラワーをミキサーに入れて回す。まだ熱いうちに戻したゼラチンを加え、再びミキサーを回す。
4 3をボウルに移し、氷水で冷やしながら、とろみが付くまで時々混ぜながら冷ます。別のボウルで生クリームを冷やしながら立てる。
5 生クリームに4を少しずつ入れる。味を見て、塩コショウする。器に流し、冷蔵庫で30分冷やす。キャビアをのせ、カリフラワーを飾る。
白チョウザメのマリネ
バルサミコビネガーのお米のサラダお寿司風
キャビアを添えて
チョウザメで作る手まり寿司風の一品。美容も考えた淑女のためのご馳走だ。握り寿司は難しいが、これなら楽勝。極上のシャンパンも用意したい。
材料(2人分)
白チョウザメ……500g
米……2合
バルサミコ酢……40g
塩……5g
砂糖……20g
EXVオリーブ油……適量
キャビア……適量
マリネ塩(9g使用)
塩……10g
砂糖……5g
黒コショウ……1g
チョウザメのさばき方
チョウザメは鱗が硬いため、他の魚とはさばき方が異なる。まずはそのさばき方を覚えよう。
作り方
1 チョウザメにマリネ塩を振る。ラップに包み、約8時間冷蔵庫でマリネする。冷水で洗い、水気を拭き取り、薄く切る。ご飯を用意する。
2 鍋にバルサミコ酢、塩、砂糖を入れ弱火にかけ、溶けたらボウルにあけたご飯に少しずつかける。ラップに1の切り身とご飯20gをのせる。
3 ラップをつまみ、軽くねじりながら、ご飯を丸める。お好みでチョウザメの切り身に山葵(分量外)を塗っても良い。
4 3を器に盛り付け、刷毛でEXVオリーブ油を塗る。その上に宮崎キャビアをのせる。
ジャガイモのクレープ
ジャガイモで作る滑らかなクレープ。フランス人ミシュランシェフのレシピをこの機会にマスターしよう。
材料(2人分)
ジャガイモ(メークイン)……250g
薄力粉……30g
生クリーム……18g
全卵……2個
澄ましバター……15g
塩……2g
バター……適量
サラダ油……適量
作り方
1 水1Lに対し、塩20g(分量外)を加えた鍋でメークインを茹でる。皮を剥いて小さく切り、フードプロセッサーに入れ、一度回す。
2 薄力粉、生クリーム、卵を加える度にフードプロセッサーを回す。 澄ましバターと塩を加え、滑らかになるまで回す。器に入れ冷ます。
3 フライパンに油を引き中火にかける。生地を直径5cmに流しバターを入れ、弱火で両面を焼く。皿に盛り、キャビアをのせて食べる。
レシピを教えてくれた人
『レストランモナリザ』オーナーシェフ 河野 透
1957年宮崎県生まれ。25歳で渡仏。パリ『ジャマン』『ジョルジュ・ブラン』、スイス『ジラルデ』などで研鑚を積む。帰国後、『レストランひらまつ』を経て、『タイユバン・ロブション』のシェフを務め、97年に独立。
レストランモナリザ
住所/東京都渋谷区恵比寿西1-14-4 1F
TEL/03-5458-1887
営業/要問い合わせ
休み/なし
http://www.monnalisa.co.jp
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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