フュメ・ド・ポワソンって何だ? 『L’esprit MITANI a GUETHARY』故・三谷青吾シェフのレシピ
buono 編集部
- 2021年03月04日
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白身魚のアラや香味野菜を使った透明感のある洋風魚介出汁「フュメ・ド・ポワソン」は、クリアで上品な味わい。沸騰させず、煮出して旨味を引き出す。
※こちらは2017年1月に取材した内容です。取材にご協力いただいた『L’esprit MITANI a GUETHARY』三谷青吾シェフは2020年11月にご逝去されました。三谷シェフのこれまでの仕事とエスプリに心より敬意を込め、『buono』2017年3月号に収録された記事をwebの形に再編成し公開いたします。
ゆっくり、丁寧に魚の旨味を抽出する
フュメ・ド・ポワソンは、言わばフレンチ版魚介出汁。魚の骨や皮などのアラと香味野菜やハーブ類をじっくり煮出し、旨味を抽出する。ポイントは、淡泊でクセのない白身魚を選ぶこと。また、透明感のある澄んだスープが身上のため、煮立たせず、アクをこまめに取り除く工程も重要と、三谷シェフ。
「フランスではその土地で、その季節に採れた魚介や野菜、ハーブを使って作ります。きのこのくず(石づきなど)は良い出汁が出るのでおすすめですが、色が付きやすいので、白っぽいものを選びます」
フュメ・ド・ポワソンの材料(作りやすい分量)
平目の骨や皮……1尾分
セロリ……1本
玉ねぎ……1個
リーキ……1/2本
パセリの茎、タイム……各適宜 ※ セルフィーユなども可
マッシュルームの石づき(切り落として捨てる部分)……適宜 ※ 他のきのこ類も可
塩……少々
【Point】白身魚の旨味が決め手
おもに平目や鯛などの白身魚がフュメ・ド・ポワソンに適しているとされる。逆に臭みが出やすい青魚や赤身の魚は向かない。
フュメ・ド・ポワソンの作り方
1 平目はぬめりを取るなど下処理をしてから五枚におろし、皮や骨を取り除く。内臓は使わないため廃棄する。
2 骨が大きい場合は、ハサミなどを使って鍋に入る大きさに切る。こうすることで出汁が出やすくなる効果も。
3 頭、骨、ヒレ、皮はすべて旨味の素。スープを作る前に水にさらし、血を洗い流す。
4 鍋に3の骨や皮を投入する。ひたひたになるくらいに水を入れ、沸騰する直前まで強火にかける。
5 鍋を火にかけている間に野菜を下ごしらえ。セロリ、玉ねぎ、リーキはすべて薄切りにする。
【Point】香味野菜は薄く切る
長時間煮込むフォン・ド・ボーなどは香味野菜を丸ごと使うが、フュメ・ド・ポワソンは30分と短時間で完成するため薄切りでOK。
6 少しずつ鍋が沸き始め、アクが出てきたら丁寧に取り除く。
7 ある程度アクを取り除いたところで、野菜やきのこの石突き、ハーブ類を加える。
8 火を弱め、沸騰させないように注意しながら約20〜30分間煮出して、十分に旨味を引き出していく。
【Point】アクはしっかり取り除く
魚のアラや野菜から出るアクは、えぐみや臭み、仕上がりの濁りの原因に。面倒でもこまめに取り除く。
9 この時、好みや用途に合わせて香り付けに白ワインやレモンの皮を一緒に煮ても良い。
【Point】わずかな塩で旨味を引き出す
魚の旨味を効率良く引き出すため、わずかに塩を加えるのがプロの技。ただし、味が付いてしまわないよう量に気を付ける。
10 味を見て、しっかりと平目の旨味が出ていたら火を止め、スープを漉す。
11 アクを取り除きながらゆっくり煮出したスープは、澄んだ琥珀色。上品な口当たりながら味わいは濃厚。
【Point】余ったフュメは冷凍保存可能
大量にフュメを作った場合、冷凍保存しておくと便利。三谷シェフのように牛乳パックを再利用して使うほか、製氷皿でも◎。
ソースで楽しむ伝統料理「平目のブレゼ」
1 鉄鍋等に薄切りにしたエシャロット、マッシュルーム、平目を入れ、野菜がひたひたになる程度にフュメ・ド・ポワソンを注ぐ。
2 中火で加熱後、オーブンに入れて蒸し焼きにし、平目に火を通す。
3 フュメに生クリームを加えて煮詰め、ソースを作る。
4 皿にソースごと盛り付け、仕上げにハーブを散らして完成。
教えてくれた人
『L’esprit MITANI a GUETHARY』オーナーシェフ 三谷青吾
1985年に渡仏し、三ツ星から星なしまで様々な店で研鑽を積む。帰国後、代官山『Pachon』や青山『Blue Note Tokyo』などを経て、2005年に自身の店をオープン。2015年に東京・四谷へ移転した。
『L’esprit MITANI a GUETHARY(レスプリ ミタニ ア ゲタリ)』は現在閉店しております。
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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