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グラベルバイクを積んでキャンプに行こう!! 前編

一見するとロードバイクのようなドロップハンドルのスポーツバイク。でも、そのバイクには悪路を駆け抜けるための太いタイヤと高い制動力を誇るディスクブレーキが組み込まれている。そんな “グラベルロードバイク” と呼ばれる冒険心あふれる自転車を積んで、高原のキャンプ場に繰り出した。

文◎山本修二 Text by Shuji Yamamoto
写真◎亀田正人 Photo by Masato Kameda
出典◎フィールドライフ 2020年秋号 No.69

高原のベースキャンプから自転車に乗ってプチ冒険。

(左から)

小雀陣二
小誌でもおなじみのアウトドアコーディネーター。今回は、旅のプランニングほか、料理、キャンプ用品のセットアップで大活躍。ライドは、クロモリフレームのマイバイクで。

小杉 敬
長野県松本市に本拠地を置くゼインアーツ代表取締役社長。仕事では、テントなどアウトドアグッズのデザインを手がけ、休日には釣りやマウンテンバイクを楽しんでいる。

藤田実加
フィールドライフ編集部から送り込まれた紅一点。素敵な笑顔で、終始、場をなごませてくれた。日々の自転車通勤や休日の山歩きで鍛えた体力で、長い登り坂も笑顔でこなした。

山本修二
肩の力を抜いて楽しむ自転車ライフを提案するフリーライター。2015年に東京から名古屋へ移住。自転車担当として、機材のセレクトとメンテナンスなどを受け持った。

 

薪を割り、焚火をして、肉を焼き、酒を飲んで、夜を明かす。仲間や家族とすごすキャンプは、それだけでも十分に楽しい。そこにもうひとつ、なにかアクティビティを加えたら、キャンプはどうなるのか? 「楽しいに決まっている」「いや、ちょっと忙しすぎないか?」。考えれば考えるほど、ワクワク感がこみ上げてきた。ならば試してみればいい。

太平洋高気圧が南に下がったとある秋の日。山梨県河口湖近くのスーパーマーケットに集合。集まったのは、住む地域も職業も異なる人。この人には、それぞれの役割がある。

テントのスペシャリスト、食事や道具をコーディネートする人、笑顔が素敵な人、そして、自転車をいじれる人。3台のクルマにそれぞれがまかなう道具を積み込み、集合場所へやってきた。

みんなで話しながら、キャンプで食べたい食材をその場で買い、その後は、名物の吉田うどんで昼食を済ませる。キャンプ場のチェックインまでは時間に余裕があったので、ゆっくりとすごせるカフェでまったりと。

牧草地の間を抜ける高原らしい景色のなかをドライブして、静岡県富士宮市にあるヴォルケーノ白糸オートキャンプ場へ。さあ、小さな冒険のスタートだ。

DAY.1 キャンプ場に着いたら湖を目指してのんびりサイクリング。

キャンプに自転車があるだけで、遊び方がグンと広がる。

キャンプ場に到着するや、その美しく保全されたサイトやトイレなどの施設を見て、一同ニッコリ。これは、快適なキャンプになりそうだ。チェックインしたら、役割分担をして、素早くテントを張り、自転車を組み立てる。1泊2日のキャンプで、プラス1のアクティビティを組み込むのだから、時間を上手に使う工夫も必要だ。

自転車業界で、ここ数年ホットワードになっている「グラベル」。グラベルロード=砂利道。砂利や土の未舗装路を楽しく走れる性能をもった自転車のことを「グラベルバイク」とか「グラベルロードバイク」と呼ぶ。

ヘルメットを被り、グローブをつけ、飲料や行動食をバッグに入れたら出発だ! 初日のライドは、キャンプ場からスタート。目指すは、冬の赤富士で知られる田貫湖。林間の舗装路をゆっくりとペダルを踏んで進む。キャンプ場から田貫湖までは、ほぼ登りだけ。そんな長い坂は、無理に重いギアを踏むよりも、なるべく軽いギアにセットし、足を軽くクルクル回すようにペダルを踏んで体力のロスを軽減すると、案外ラクに走れる。

ドロップハンドルに太めのタイヤが特徴。

グラベルバイクには、未舗装路の長い登りでもしっかりと走れるように、軽いギアがセットされている。だから、変速のコツさえ知っておけば怖いものなし。

約125の池からなる小田貫湿原。希少な植物や昆虫が生息する。

田貫湖の先にある小田貫湿原まで走ってひと休み。木道を歩くと可憐な秋の花が咲いていた。

初日のライドは、キャンプ場から田貫湖の近くにある小田貫湿原まで。舗装路を中心にした無理のない、およそ10㎞のルートだ。道路のすぐ横に、緑が美しい湿原が広がっていた。

脇道にあるグラベルロードを見つけて走ってみたり、道路の上にあふれた流水の上をわざわざ飛沫を上げて通りすぎたり。自転車に乗ることで、まるで子どものころのような遊び心がよみがえり、いつしか、みんなが大笑いしながら遊んでいる。これは楽しいぞ!

周囲3.3㎞の田貫湖をグルリ。キャンプ場は、この日も大賑わい。
小田貫湿原の少し先まで行くと、水が道路の上を流れていた。これを見つけるや水飛沫を上げて走り抜ける面々。

田貫湖畔のサイクリングロードを静かに1周した。雲の影響で富士山は見えなかったけど、ヘラブナ釣りをする人、美しい芝生のサイトでキャンプをする人など、のどかな休日の風景が目を癒してくれた。途中、景色のきれいな場所では、ペダルを止めて、ゆっくりと休憩。お菓子を食べたり水を飲んだり、無理せずのんびりと行けばいい。

長い坂を登りきると田貫湖へ至る。地図を見て、もう少し先へ進むことに。

田貫湖からキャンプ場までは、長い下り坂。太いタイヤの安定感は抜群で、気持ちよく坂を駆け抜け、アッという間にキャンプ場に戻った。爽快な気分と心地よい疲れ。そしてなにより空腹感が。さあ、お楽しみのキャンプ飯だ!

「みんな、食べたいものを言って」と注文を聞いて食材を買い集める小雀さん。旬の食材や色鮮やかな野菜をかごに入れる。頼れるシェフがいるキャンプは豊かだ。
河口湖インターから近い「手打ちうどん彩花」でランチ。コシのある手打ち麺とコクのある出汁、そして、トッピングされたキャベツが良きアクセントに。美味し!
小雀さんの提案で、河口湖大橋の北側に位置する「トロワズィエム マルシェ」に寄り道。濃厚な味わいの手作りケーキやパイ、スペシャリティコーヒーなどが美味しい人気店。
ヴォルケーノ白糸オートキャンプ場のチェックインは13時から。手早く設営すれば夕暮れどきまで、しっかりとライドを楽しめる。温和な雰囲気のご主人が迎えてくれた。

COLUMN 富士山も見える素敵なキャンプ場

今回の「グラベルライド&キャンプ」をコーディネートしてくれた小雀さんが見つけた「ヴォルケーノ白糸オートキャンプ場」。富士宮市の人気観光スポットのひとつ「白糸の滝」までクルマで約5分。針葉樹林のなかにある45区画のテントサイトのほかに、大きなグループサイト、キャンピングカー用のサイト、バンガローなどがある。テントサイトはペット可。目の前に富士山がドーンとそびえるサイトが人気だ。風呂とコインシャワーも完備。場内にはニジマスのつかみ取り(有料)ができる池があり、すぐ裏には渓流釣りが楽しめる芝川も流れている。おどろかされたのは、トイレの清潔さ。洒落た照明により昼も夜も明るく、とにかく清掃が行き届いていて美しい。場内もよく整備されているので、家族連れ、女性といっしょのグループでも安心して快適なキャンプを楽しめる。

ヴォルケーノ白糸オートキャンプ場
静岡県富士宮市内野1892-1
TEL.090-4187-8945(9:00~17:00)
テントサイト利用料金(4名まで):電源あり¥7,500、電源なし¥6,500
https://volcano-camp.amebaownd.com

 

>>>後編につづく

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PROFILE

フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

フィールドライフ 編集部の記事一覧

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