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荻窪圭のマップアプリ放浪「iPhoneで、ご近所痕跡探し散歩のすすめ」

外出はできない。でもじっとしていては身体がなまる、ってんで誰にも会わず人混みにもいかない、『密』ならぬ『疎』な散歩(あるいはウォーキング)が増えてる昨今。

どうせならiPhone を手にもっと密度の濃い『疎』な散歩をしよう、である。勝手知ったる地元でもちょっと視点を変えればそこは小さな歴史の宝庫。まさに『灯台もと暗し』。

そんなご近所散歩をより深く楽しむためのあれこれを紹介したい。

歩く道にテーマを設けるべし

我々が歩くのは道である。そうじゃないところを歩くと不審者として通報されたりする。それは困る。

無数にある道から何らかの基準で歩くルートを決めるとそこにテーマが発生する。

お勧めは3つ。ひとつは『古い道』、ひとつは『暗渠』、ひとつは『制覇』だ。

古道と古地図で歩く

住んでる場所にもよるが、昔からの道ってけっこう残っているもの。『スーパー地形』の『今昔マップ』から明治時代の地図でも開いて当時の道筋をできるだけ辿ればそのまま『ご近所歴史散歩』だ。道のないところに集落なし、道を作ったことにより人や物資が行き来して初めて歴史が始まるのだ、と思うと、昔の人と同じ道を歩くのは感慨深いのである。

『東京時層地図 for iPad』より、該当箇所の明治の終わり(左)と現代の地図(右)。住宅が増え、それに伴って道路も整備されたけど、昔の道筋もそれなりに残っているのだ。
(左)古い道は微妙に曲がっていることが多く道幅も安定してない(地図のA)。
(右)新しい道は道幅も一定でまっすぐで効率的(地図のB)。すっきりしているが、楽しくはない。

面白いことに古い道の方が歩いていて気持ちいいのである。光景に旧家が多くて道がナチュラルにカーブしてて落ち着くからかも。たとえば上の写真。明治以前の道と戦後以降の道。写真は平行して走る2本の道だけど、違うでしょ。新しい道の方がまっすぐで味気ない。

暗渠を歩く

10年以上前、どっかの記事で何気なく『暗渠』と書いたら、編集者から「読めない人が多いと思うので簡単な解説を入れてください」と言われた。でも今はすっかりメジャーになった。ほぼブラタモリのおかげだ。暗渠は『川や水路に蓋をした』ものだ。

自然河川の川跡はくねくね曲がってて、幅が狭く歩行者専用道になりやすく、起伏が少ないなど「歩きやすくて探検感を味わえる」のが良い。

もうひとつの良さは「方向感覚が狂いやすい」こと。何しろ川なのだからあっち曲がったりこっち曲がったりするうちに自分がどっちを向いてるのかわからなくなる。これもまた『探検感』が増す。

家を出たら適当に歩き、暗渠っぽいところを見つけたらそちらに進入するのがよい。ときどき橋の欄干が残ってたり、古い護岸跡があったりするのもまたよし。

杉並区の暗渠。左側が高くなっており、そこが川だった頃の名残(護岸や排水口跡)がある。この『街の裏を歩いてる感』がたまらない。
『東京時層地図 for iPad』より。丸は写真の撮影場所。斜面下の水路が暗渠化されて道になったのがわかる。

地図を赤く塗りつぶせ

どうせなら、近所の道を全制覇しちゃえ、というのも楽しい。『スーパー地形』はGPSログ(トラックログ)機能がある。これをオンにして歩くと地図上に軌跡が記録されるのだが、軌跡を『非表示』にしない限り、どんどん重なっていくのだ。そうすると『一度でも歩いた道には赤い線』が敷かれる。同じ道を何度も歩くと色が濃くなる。だから家の近くは真っ赤になる。で、徐々に『まだ歩いてない道』も赤く染めたくなるのだ。

(左)GPSメニューから『トラック(軌跡)の記録』を選択すると記録が始まる。歩き終えたらここから終了。
(中)画面は1960年代の地図を見ながら散歩中。赤い線は以前の記録。現在の軌跡は紫の線。矢印は現在向いている方向を表す。右上に『トラック記録中』と表示される。
(右)自宅周りだと家がバレてしまうので、よく歩いた狛江駅周辺の地図を。何度も歩いた道は線が重なるため濃く太くなる。未踏破の道を塗りつぶしたくなるよね。

衝撃だったのは『東京電柱クロニクル学会』(電柱マニアな人たち)の人と歩いたとき。彼らが見るのは電柱の『番札』。それは電柱に付けられた名前。電力会社やNTT(昔の電電公社、さらに昔は逓信省)が電柱を管理するために名前をつけているのだが、その名はずっと変わらないので、今は失われた古い地名、さらには個人名や施設名が残ってたりするのだ。

港区で見つけた『聖路加支』の番札。一時期、聖路加病院の支院が乃木坂近くにあったのだ。

電話がレアだった頃、その地域で最初に電話を敷いた施設や旧家の名前がそのまま使われたのかと思う。たとえば港区の乃木坂駅近くに『聖路加支』という番札がある。なぜそこに聖路加? と、戦前の地図にあたると近くに『聖路加支院』があったのだ。歴史発掘の瞬間である。

街で見かけた何に心惹かれるかはほんとに千差万別なので、自分の琴線に触れるものを見つけるべし。 

世の中にはマンホール好き、電線好き、団地好き、境界好き、建築好き、擁壁好き、路上猫好き、送水口好きなどいっぱいいるのだ。そうやって観察眼を養えば、どこを歩いても楽しくなるのだ。

ご近所痕跡探し散歩を楽しむコツ

どこを見て歩く?

ご近所散歩を楽しむには、小さい秋みつけたレベルの発見が大切。なんてことない住宅地にも発見はある。

時折残っている古い表札。今は『桜上水一丁目』だが、かつては『上北沢一丁目』だったのがわかる。世田谷区の世の字も旧字体。

プチ史跡……なんて言葉はないけれども、地図に載ってないような小さな神社、なんてことない狭い道路の脇に残る野仏(庚申塔や地蔵、道祖神などさまざま)、江戸時代の道標といったものを勝手にそう呼んでいる。ささやかなな歴史の痕跡だ。明治以降の痕跡も人によってすごく興味深いものになる。軍事遺構好きは、軍の境界標を見逃さない。戦前、軍の敷地を示していた石標に現存しているものがいくつか残っている。旧家があると表札に目が行く人もいる。古い住所が残っていることがあるからだ。

(左)新宿区下落合で見つけた江戸時代の地蔵尊2基。古地図にあたったら昔からの十字路だった。
(右)市ヶ谷の防衛省近くで発見した「陸軍省所轄」と書かれた境界標。これも歴史の痕跡。

iPhoneとスーパー地形を組み合わせれば最強

今回使った写真はすべてiPhoneで撮ったもの。なぜなら、iPhoneで撮った写真には位置情報がつき、写真から撮影場所を調べたり、撮影地の地図から写真を探せるからだ。散歩して撮り続けるだけで、自分だけの画像記録になる。しかもスーパー地形のログ機能を組み合わせれば、軌跡に合わせて撮った写真を表示することもできる。地形や古地図に合わせて写真を表示すればそのまま歴史散歩記録だ。

(左)写真アプリの『撮影地』を開くと地図上にサムネイルが現れる。どこで何を撮ったかがすぐわかるのは最高に便利。
(右)写真アプリで写真を上にスライドさせると下から撮影場所の地図が現れる。これは『聖路加支』電柱の写真とその撮影場所。
(左)『スーパー地形』では軌跡からその日時に撮った写真を見ることができる。
(右)スーパー地形で地図を見ながら、古い道沿いにあった庚申塔の写真を。

今回紹介した地図アプリは「スーパー地形」

『カシミール3D』を開発したDAN杉本氏が手がけた地図アプリ。地形や各種地図を重ねて見られる他GPSログ機能もある。
「スーパー地形」
販売元:Tomohiko Sugimoto 取材時のバージョン:4.0.6
価格:無料(App内課金、機能制限解除980円)

■App Storeで「スーパー地形」をダウンロード
■Google Playで「スーパー地形」をダウンロード

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(この記事は『flick! 2020年6月』に掲載された「荻窪 圭のマップアプリ放浪」を再編集したものです)

出典

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PROFILE

荻窪 圭

flick! / ライター

荻窪 圭

老舗のIT系ライター、デジカメライターなるも、趣味が高じて『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社知恵の森文庫)など歴史散歩本執筆や新潮社の野外講座『東京古道散歩』講師なども手がける。 https://ogikubokei.blogspot.com/

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老舗のIT系ライター、デジカメライターなるも、趣味が高じて『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社知恵の森文庫)など歴史散歩本執筆や新潮社の野外講座『東京古道散歩』講師なども手がける。 https://ogikubokei.blogspot.com/

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