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【小川徹也】「集大成」と呼ぶマジックボートとの出合い

『マジックボード』。それは、外見上のアウトラインやロッカー、さらにデータ上の数値といったものでは計り知れないような、特別なフィーリングを伴ったサーファーとサーフボードとの一期一会の出合いである。そして時に、自分や自分の周りの者達の人生までをも一変させてしまうような、強烈な体験となるのだ。そこで、著名なサーファー達が経験した『マジックボード』との出合いやストーリーに耳を傾けてみた。

今回フィーチャーするのは、生粋のシングルフィンロガー・小川徹也。ノーズライドに捧げてきた小川が、「集大成」と呼ぶそのボートの秘密に迫る。
◎出典: NALU(ナルー)no.121_2021年7月号

自分のイメージするノーズライディングが的確にできるシングルフィン

日本のシングルフィンボードのシーンを牽引してきた男と言えば、この男、小川徹也だ。ロングボードの主流がパフォーマンスになろうと、またクラシックに戻ろうと、ただひたすらにノーズライディングにかけてきたその姿勢は、まさに職人と言っていいだろう。そんな小川にとってのマジックボードを見せてもらいに、千葉・太東にあるサーフボードファクトリーを訪ねた。

▲軽やかな足さばきでボードを巧みにコントロールし、ハイラインにセット。華麗なハングファイブで波とシンクロした瞬間

「今回の企画、マジックボードなんですが」と改めて趣旨を説明しようとすると「でもさぁ」と小川が口を開く。

「マジックボードっていってもねえ、その時に乗って調子よければなんでもマジックボードだからね。だって俺たちはプロサーファーだから自分の希望どおりのボード作ってすぐ乗れるじゃん。そしたらその時一番調子いいはずだから。すぐ乗った時と半年後ではやっぱりサーフボードのフレックス感とか柔らかさが違うんだよ。ちょっとずつ硬くなっていくから半年経つとサーフボードは乗り味が変わってくる。俺らはすぐそれで作り直すこともできるけど。だから自分で所有し続けるっていうボードは結構少ないよ。随時作ってもらえる環境にいるから」

と、今回の企画を根底から覆すような発言をもらいつつも、小川が出してきてくれたのは盟友、吉川“タッピー”拓哉によって作られたロングボード。本誌にも度々登場してくれているシングルフィンだ。聞けばこのボードが作られたのはもう7年ほど前。それまで追求してきた自身のサーフィンと、その頃またスポットを当てられたシングルフィンの潮流がちょうど重なったタイミングだったという。

「俺にとってはひとつの集大成みたいなものだね。やりたいノーズライディングが的確にできたボード。きっとロッカー、コンケーブ、アウトライン、レール、そういうものが全部合致したんだと思うよ」

▲長年築いたタッピーとの信頼関係こそが、小川のマジックボードの秘密

基本的にはイメージを伝えるだけ。あとはタッピーが具現化してくれる

コンセプトはずばりクラシックノーズライダー。自分好みにカスタムしたのは深く長いノーズコンケーブとソフトダイヤモンドテール。そのふたつのカスタムはもちろん、小川のトレードマークでもあるノーズライディングのためのものである。深めのノーズコンケーブはハングファイブやハングテンでかかる荷重とノーズの下で巻きあがる水流をバランスさせ、揚力に変えつつ後方への水の流れを生む。一方のソフトダイヤモンドは最適な場所でノーズライドをかけるために欠かせないセットアップのためのデザインだ。

「ターンを大きくしないで、小さいトリミングが取りやすく動くようにはしてるよね。脚力がそんなにあるわけでもないし、足のスタンスが狭いから、テールエンドの回転性を強くしてもらうにはソフトダイヤモンドがいいんだよ」

そう聞くとタッピーへのオーダーもディテールに関してまで伝えていそうだが、「基本的にはいつもイメージを伝えるだけ。あとはタッピーが完全に具現化してくれるから」とのこと。

さすが20年近くなるふたりの関係に言葉は多くいらないらしい。

「細かい好みも伝えるけど、でもタッピーはもう俺のボードのイメージができてるから。ある程度伝えれば同じものが必ずできてくる。あとはその時その時でこれ取り入れたほうがいいんじゃないとか、新しいことへのチャレンジは入れたりもするけど。でも最近俺はもうあんまりそういうことしないかな。オーソドックスなボードを作ってるよ」

ファクトリーでは、グラッサーとしての顔を持つ小川は、近年自分のレーベルを立ち上げシェイプも始めている。もちろん今回出してくれたボードのテンプレートも、そのレーベルの主要モデルのひとつとして活躍していると教えてくれた。

撮影が終わると、小川はそのボードにカバーをかけ再び車に積み込んだ。「ほとんど手元に残らない」ボードが多いなかで、いまだこのボードだけは現役で日々のサーフィンのレギュラーメンバーに入っているようだ。

▲シェイプをするようになった今は、その大変さがわかるようになったと話す小川。いつでも最高のボードを手に入れられる環境で、シェイパーとしての技術を日々高めている

Profile

1971年生まれ、神奈川県出身。JPSAロングボードツアーではルーキー・オブ・ジ・イヤーを獲得、年間ランキング最高6位。ブームにかかわらずシングルフィンでのノーズライドを追い求める孤高のスタイルマスター。クラシックなロングボーディングのみならず、陸の上でのスタイルあふれるその生き様にファンも多い。

出典

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PROFILE

FUNQ NALU 編集部

FUNQ NALU 編集部

テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

FUNQ NALU 編集部の記事一覧

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