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ビッグウェーブの世界へ◎17歳サーファーの挑戦<後編>

日本屈指のビッグウェーブ、足摺岬のストーリー

ハードコアなサーファーがしのぎを削るビッグウェーブの世界。選ばれし者だけしか踏み入ることができない領域に、弱冠17歳の若者が足を踏み入れた。後編は日本屈指のビッグウェーブで知られる足摺岬での挑戦について語ってもらった。
◎出典: NALU(ナルー)no.116_2020年4月号

足摺サーファーの首領(ドン)、櫛本喜彦さんとパドルアウト

最後に足摺岬での思いについて話を戻す。確かにあの時、海に入るのは怖かった。本当に人が死ぬんじゃないかと思う波がきていたから。でも、入りたくないという気持ちにはならなかった。むしろ心のどこかでワクワクしている自分がいた。それに安心感もあった、海の中にはこの足摺のローカルの奥本順二さんが水上バイクに乗って見守ってくれていた。順さんは海に入る前の僕に水上バイクから助けられる方法など足摺で命を守るためのノウハウをこと細かく教えてくれた。順さんが水上バイクに乗って見てくれるだけで恐怖心はすごく減った。絶対に死なないってことだけは確信してた。

▲西村昇馬(しょうま):2001年生まれ。佐賀県唐津市出身。豪州の高校に通いながら、コンペティターとして活動。期待のヤングガン

足摺であの波に乗れたのはその日の2ラウンド目の時だ。僕はそのラウンドの前に父と妹のいちごと同じ地元で父に続くビッグウェーブ好きの俊君とで足摺に2時間ほど入って波を数本乗って上がって来ていた。ウェットスーツから服に着替えていると、1台のベンツが駐車場にやってきた。クルマから降りて来たのは僕があの波に乗った時に使っていたサーフボードを作った人であり、父のスポンサーでもあるKi surfboardシェーパーの櫛本喜彦さんだ。櫛本さんはこの足摺サーファーの中の首領(ドン)だ。その櫛本さんが僕の1ラウンド目のサーフィンをほめてくれた。それを喜んでいる暇もなく、「今からオレが足摺の波について教えてやるから、ついてこい」と言い、海に入る準備を始めていた。僕も脱いだばっかりのビショビショのウェットスーツを着て、急いで支度を始めた。そして沖に500mほどパドルしいつもの場所に着くなり、櫛本さんは僕に「自分の好きな所で待ってみろ。おじちゃんは手前の方で見とくから」と指示を出した。自分で場所を見つけそこに座ると、櫛本さんは少し左にパドルしては座りまた左にパドルする。僕はそれで流れが右に強いことに気付き、急いで左に移動した。

見たこともない波が、押し寄せてくる

その時にあの波は来た。まだ、うねりは遠いが、沖に見える水平線がどんどん高くなっているのが直ぐにわかる。僕がその波に気づいた10秒後に目の前に姿を表した。ほかの波とは少し色が違った。少し黒かった。水が沢山詰まっている証拠だ。つまりはパワーが他と段違いだということだ。行く以外選択はないと思った。なんでかわからないけどそんな気がした。板の先端を岸に向けこれにまでないほどの力でパドルする。でも、こんな必死な時でも周りはしっかり見える。少し岸の右側にはジェットに乗った順さんと後ろに乗っているカメラマンの大倉さんがカメラを僕に向けている。そして真正面に見える国道の歩道から父と妹それに足摺のサーファー仲間達が見ているのがわかる。

▲2019年10月10日、記録的な大型の台風19号からの20ftの波をメイクした西村昇馬。未来が楽しみだ

怖さはあったけど、こけたらどうしようとかは全く考えてない。パドルを続けると板が前に傾きだして、加速しながら進んでいる。波に乗っているということだ。直ぐにテイクオフすると、ショルダー側がなぜかすでに崩れ始めている。多分他の波とはパワーが段違いで普段割れない所でも波が割れたんだと思う。それに下はいつよりえぐれているように見える。この波をメイクするために、あの数秒の中で何日分の脳を使ったのだろう。体の傾きだったり、波の割れ方を把握したり、とにかく必死だった。ボトムまでなんとか着地すると、次の試練が待ち構えていた。後ろから崩れてくるリップだ。あのリップには何トンものパワーがあったのだろう。僕を覆おうとするリップによって、周りがその影に覆われて暗くなる。そして次の瞬間ものすごい音を立てて波がブレイクした。周りは何も見えない。ものすごい量の水が僕に降りかかっている。波に揉まれているのかと思った。

今まで見たことのないような美しい景色

外から見たら3秒くらい僕は消えてたらしい。僕の体感時間はそれよりはるかに長い。何も見えないし、感覚も水中にいるのと変わらないくらいの水が周りに飛び散っていた。しばらくすると、あたりが明るくなって来て、瞬きをするとホワイトウォーターの前に出ていた。これまでにないほど景色が奇麗に見えた。それから波が完全になくなるまで波に乗っていた。最後まで乗り切る価値がある波だったと思う。波に乗り終えると順さんが乗る水上バイクが物凄いスピードで安否を確認するとともに、最高のグッジョブサインをくれた。その後にすぐ沖にパドルバックし数本波をキャッチして陸に戻ってきた。上がってくるなり、みんなによくやったとほめられた時の気持ちは最高だった。今回を通して学んだことは一人ではビッグウェーブは挑戦できないこと。今回もあの現場にいた仲間達が一人でも欠けていたらあの波には乗れなかったと思う。全てのことに感謝します。

ビッグウェーブの世界へ◎17歳サーファーの挑戦<前編>

ビッグウェーブの世界へ◎17歳サーファーの挑戦<前編>

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2021年10月24日

出典

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NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

NALU 編集部の記事一覧

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