筆とまなざし#185「カラビナの線描画をプリント。オリジナルトートを作りました」
成瀬洋平
- 2020年07月22日
「Arts and Climbs」クライミングをモチーフにしたオリジナルアイテムを作成。
以前から作りたいと思っていたオリジナルグッズ。これまでポストカードしかありませんでしたが、ようやく試作していたトートバッグが完成しました。モチーフにしたのは、お守りとして持っているシュイナード・イクイップメントの古いカラビナ。シュイナード・イクイップメントはパタゴニアの創設者イヴォン・シュイナードが立ち上げたクライミングギアメーカーで、現在のブラック・ダイヤモンドの前身です。そのカラビナを線画で描き、シルクスクリーンで12オンスという厚手のキャンバストートにプリント。そして、カラビナの下に「Arts and Climbs」という文字を入れました。
「Arts and Climbs」は、このトートバッグを手始めに、クライミングをモチーフにしたアイテムを制作しようと鍛金作家の妻と立ち上げました。名前は、19世紀のイギリスで起こったArts and Crafts運動から着想を得ています。産業革命期、大量生産による粗悪な日用品が出回るなか、かつて使われていた熟練職人による工芸品へ回帰しようと起こったArts and Crafts運動。その思想はヨーロッパ各地、北米へと渡り、日本では柳宗悦の民藝運動へも影響を与えました。そのような芸術活動への共感と憧れをベースに、自分たちが実践する芸術とクライミングをシンクロさせた新しい活動を始めたのです。
さて、件のトートバッグはA4の書類やノートパソコンがちょうど入る大きさです。図らずもレジ袋有料化のタイミングと重なり、ぼくは普段の買い物にも使っています。また、クライミングシューズ、チョークバッグ、ボトルも入れられるのでクライミングジムに行くときにおすすめ。日常生活のなかでクライミングを感じてもらえたら、そしてクライミングへの情熱をぜひこのトートバッグに詰め込んでもらえたら……。現在はオンラインストア(https://naruseyohei.stores.jp)のほか、神奈川県海老名市のクライミングジム「クライミング・スペース・レッジ」(http://ledge.jp)に置かせていただいています。お近くの方はぜひ登りがてら手に取ってみてください。
古くなったクライミングギアをリメイクするなど、次の作品のアイデアも出てきています。手仕事を大切にし、クライミングと芸術の境界を行き来する、日常生活で身近に使っていただけるもの。そんなものを、焦らず、気の向くままに作っていきたいと思います。
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