リソールDIYキットで自分でリソールをしてみた|筆とまなざし#335
成瀬洋平
- 2023年07月12日
薄めのシート状のラバーと接着剤のセットで自作リソール。オリジナルシューズが完成した。
クライミングシューズのリソール業者は数軒しかなかったが、最近インターネットで調べると聞いたことのないサイトにヒットするようになった。円安や原材料費の高騰の影響で、今春からシューズの値段が一気に上がった。高いものでは3万円以上。下手したら、1トライでエッジがなくなってしまうこともしばしば。クライミングシューズは登山靴と違って消耗品であるのだけれど、3万円以上では頻繁に買い替えられるものではない。そんな状況もあってリソールの需要が高まっているのである。
リソール業者は、その名のとおり薄くなったソールを貼り直してくれるところである。しかし多くのお店では甲の部分にトゥラバーを張ったりベルクロを省いてくれたりと要望に応じてカスタマイズもしてくれる。なかには、DIYキットを販売してくれているところもあり、たとえば京都の凛靴ではトゥに塗る粉末ラバーと接着剤をセットにしたものが販売されていてぼくも使っている。とくにクラック用の靴の甲に塗るとアッパーやランドラバーの保護になって重宝している。
最近、埼玉のナカダ商会でラバーコートセットというものを見つけた。これは粉末ではなく、薄めのシート状のラバーと接着剤のセットで、ビブラムを含めて3種類のラバーが販売されている。ワイドクラック、とくに足を先行させるインバージョンではトゥ部分のランドラバーがすぐに剥がれてしまう。このラバーを貼ればそれを防ぐことができるし、もちろん摩擦も強くなって登りやすくなるはず(これはインチキ? しかしすでにトゥラバーの貼られた靴は一般的だ)。ものは試しだとさっそく注文してみた。
到着したラバーは思っていたよりも柔らかく、フリクション性能はバッチリ。手順が書かれた用紙が同包されていてわかりやすい。一度リソールに出した旧TCプロを改造してみる。広範囲にラバーを貼るため、つま先に近いシューレースホールをハサミで切り、できるだけ平らにした。手順に従って作業をするとさほど難しいものではない。シューズとラバーに接着剤を塗って30分ほど乾かし、ドライヤーで温める。この作業が重要で、接着剤が再活性化してしっかりと貼り付けることができる。100円ショップで買った靴の型崩れ防止用の木型を中に入れてゴムのハンマーで叩いて圧着。最後にベルトサンダーで縁を削ると見た目もなかなか良い感じに仕上がった。
つま先のシューレースがないので少し緩い感じもするけれど、それまでのTCプロとは明らかに違う、オリジナルシューズが完成した。果たして実際の使い心地はいかがなものか。さっそく明日のクライミングで試してみよう。
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