アパートで洗濯をしたり絵を描いたりしながらゆっくりすごすレスト日|筆とまなざし#346
成瀬洋平
- 2023年10月04日
アパートでの滞在生活。村の人たちの日常を肌で感じることができ、ここでの滞在が日常になっていく。
1日登って翌日は妻のビレイをしながらレスト。そんなサイクルを2回ほど続けたものの、1週間もすると1日のレストでは回復しないことがわかった。今日は天気はよいのだけれどアパートで洗濯をしたり絵を描いたりしながらゆっくりすごす。
トライ2日目で「Greenspit」のムーブはだいたいバラすことができた。しかし繋げるのはまだまだ大変。晴れの日が続いているというのにスタートのクラックはまだ濡れていて、凍っているわけでもないのに午後になると染み出しがひどくなる。北面に位置するので直射日光は当たらないのだがまだまだ気温が高く、テーピングがすぐに剥がれてきてしまう。薄くなった指先もすぐに滑る。もう少し気温が下がってくれたら良いのだけれど。
さて、滞在しているアパートは石畳が続く古い村にあるこれまた古い建物にあって、Air bnbで見つけた。ひと月借りて10万円を切るくらい。部屋は2階にあって、ダイニングキッチンと寝室の2部屋がある。洗面所とシャワーとトイレはバルコニーを改築したような狭い通路に並んでいる。黄色く塗られた漆喰の壁と飴色に磨かれた床が心地よい我が家である。しかし唯一欠点がある。それがシャワーで、洗面所とトイレに挟まれた80cm四方の場所にカーテンが垂れ下がっているというもので、つまり非常に狭いのである。体を洗っているとカーテンがまとわりつき、おまけに水量も少ない。とてもゆったりと体を回復させるとはいかないのである。いまは暖かいからいいのだけれど、寒くなると結構辛そう。シャワーを浴びると必ずタイルが濡れるので、一昨日はうっかり足を滑らせて手首とお尻を強打してしまった。
少々使いにくいのだけれど、バルコニーから眺める裏通りの風景がお気に入り。毎週水曜日の朝には教会の前で開かれるマーケットを見下ろすことができるし、斜向かいのトラットリアAlpiでは朝からクロワッサンとエスプレッソをたのしめる。夜はバーになるそのお店は村のおっちゃんたちでいつも賑わっている。Alpiを切り盛りするお姉さんはぼくらのことを覚えてくれていたようで、またあそこに泊まっているの? と声をかけてくれえた。このアパートにいると村の人たちの日常を肌で感じることができ、ここでの滞在が日常になっていく。チャオ、チャオ、チャオ、チャオ。今日も教会の鐘の音に混じってあちこちであいさつする声が聞こえている。
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