7月の渡欧に向けて準備を進める|筆とまなざし#380
成瀬洋平
- 2024年06月19日
ヨーロッパアルプスの最高峰モンブラン、シャモニーを拠点としたクライミングトリップ。
7月20、21日にロカーナ村でマウンテンフェスティバルが行なわれる。このイベントを旅の最終目的地として、7月1日から渡欧するチケットを取った。帰国は27日なので一ヶ月弱の旅である。
ところで、7月のオルコは気温が高くてクライミングには適さないはずである。そこで真っ先に思い浮かんだのが、標高の高いシャモニー周辺だった。
ヨーロッパアルプスの最高峰モンブランの登山基地であり、山岳リゾートとして世界的に知られるシャモニー。氷河に囲まれた山々には花崗岩の針峰群がそびえ立ち、長い歴史のなかで数々のラインが登られてきた。この山々を舞台に活躍したアルピニストのなかで、日本でもっとも知られているのはガストン・レビュファだろう。青い空に白い山々、そして白くオレンジ色に輝く花崗岩。人が一人やっと立てるほどの尖ったニードルにすっくと立ち、ロープを束ねる印象的な写真。『星と嵐』などレビュファの著書に触れた人も多いだろう。モンブランの針峰群は、まさにそんな物語の舞台となった場所である。
この山々にはミックスクライミングのみならず乾いた岩(と言っても条件によるが)をフリークライミングで登るルートも多く、以前からこのような場所でのクライミングに憧れていた。それは、絵の題材としても格好な場所だと思ったからである。氷河を抱いた針峰群に囲まれて、クライミングしながら絵を描く。それはきっととても愉快な旅になるだろう。天候にも大きく左右されるし足の具合も心配だが、海外サイトでトポを買って少しずつ準備を始めている。近年ではフレンチグレードの7台、8台の高難度もマルチが築かれており、トポには著名なフリークライマーの写真が掲載されていた。難しいルートは登れないが、グレードに関係なく彼の地でのクライミングと風景を堪能したい。アイゼンやピッケルも持っていかなければならないし防寒着も必要なのでそれらの準備も抜かりなく、画材も多めに持っていきたいので荷物が多い。昨今の物価高は画材も同じで「このスケッチブック、こんなに高かったかなー?」と思いながら新しいスケッチブックとキャンバスを買った。今回は水彩だけでなくアクリル絵の具も持っていこう。
シャモニーには12年前に一度訪れたことがある。そのときはスイスとフランスを旅しながら山に登ったり絵を描いていて、ブレバンの岩場でマルチピッチを登った。今回はシャモニーを拠点にいろんなクライミングをしたいと思う。マルチのみならず、ショートルートの岩場もあるのでそちらも楽しみ。もちろん、パンやチーズ、ワインが楽しみなのはいうまでもない。
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