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アウトドアショップ「エルク」が案内!山梨百名山の楽しみ方|#08 地元に愛される信仰の山

山梨百名山の魅力や楽しみ方を伝える、アウトドアショップ「エルク」の綾井です。今年3月から12月までの10カ月間で100座登って魅力を伝える「山梨百名山チャレンジ」も、いよいよ残り1カ月!

最初は100という数字を積み重ねるのになかなか苦労しましたが、気がつけば80座以上登ってきました。暖冬とはいえ本格的に寒くなってきた11月。今回はそんな時期に登りやすい里山のひとつを紹介します。

その前に11月に登った山をふり返りますよ~。

11月に登った山梨の山

・帯那山 1,422m
・甲武信ヶ岳 2,475m
・破風山 2,318m
・雁坂嶺 2,289m
・太刀岡山 1,295m
・曲岳 1,642m
・小金沢山 2,014m
・大蔵高丸 1,781m
・滝子山 1,620m
・十二ヶ岳 1,683m
・節刀ヶ岳 1,736m
・権現山 1,312m
・高柄山 733m
・小川山 2,418m
・大室山 1,587m
・扇山 1,138m
・百蔵山 1,003m
・十枚山 1,726m
・篠井山 1,394m
・蛾ヶ岳 1,279m
・源氏山 1,827m
・富士見山 1,640m

11月は怒涛の勢いで登り、なんと月間で22座を登頂しました。12月までの完登を目指して始めた山梨百名山チャレンジですが、これでようやく終わりが見えてきました。

▲雁坂峠下山時の紅葉

11月は山梨の中低山も錦秋に彩られます。甲武信ヶ岳、破風山、雁坂嶺の縦走では、雁坂嶺から西沢渓谷までの下山路の黄葉がすばらしく、隠れた紅葉スポットを見つけたと喜んでいました。

▲小金沢連峰縦走

小金沢、大蔵高丸、そして滝子山の縦走では、小金沢連峰と呼ばれる、南北に連なる標高2,000メートル級の山並みの縦走を満喫。富士山に向かって歩いていく縦走路は、とても美しく、いつまでも歩いていけるような心地の良い道です。

▲大室山

11月に登った山で、もっとも驚かされたのが道志の大室山です。あまり期待せず登り始めたのですが、きれいに整備されたトレイルが変化に富み、稜線歩きも楽しめ、すばらしい中低山ハイキングができました。

さて今回紹介する山は「篠井山(しのいさん)」です。山梨県南部町に位置するこの山は、認知度が低く登山者も比較的少ない山。しかし地元の方たちによって整備され、守り続けてきたすばらしい山でした。

篠井山~地元に愛される信仰の山~

南部町内から、どっしりとしたその山体を見ることができる篠井山。標高は1,700m台ではあるが、南部町が富士川河岸で標高150m未満と、山梨県で一番低い位置にあるため、山自体の迫力をより感じるのかもしれません。

富士川の西岸にそびえる篠井山はふたつの峰に分かれており、北峰には四ノ位(篠井)明神が祀られている祠(ほこら)があります。この祠、じつはエルクとは少し縁があり、2017年と2022年のニ度にわたって、祠再建の資材をこの場所に運び上げるお手伝いをしました。(2017年時、祠が台風などの影響によって崩れていて、地元の方から依頼を受けました)。

▲北峰の祠

山に入れば、朽ち果てた祠やお堂を見ることもありますが、再建までこぎ着けるのはなかなかできることではありません。登山道整備もしっかりとしていて、南部町の有志の方たちが大事にしている山なんだなと感じる、温かい山です。

そんな篠井山を登るのに、奥山登山口という最短の登山口から出発。ほかにもルートはあったのですが、いまは荒廃し使われていないようです。

滝と紅葉、渓谷美感じる登山道

奥山登山口に着けば、木彫りのマスコット「熊五郎」と「篠子」が出迎えてくれます。かわいいと思う反面、熊が出るのではと感じるかもしれませんが、山梨県内のどの山にも熊が出る可能性はあります。篠井山では登山口だけでなく、熊よけの鐘が登山道上に複数設置されており、熊に出くわさない工夫がされています。

▲不撓不屈の滝

熊よけの鐘を鳴らして進んでいくと、すぐに紅葉越しに「不撓不屈の滝」を見ることができました。歩き始めは沢沿いを進む篠井山の登山道は、不撓不屈の滝のほか、あとふたつ立派な滝を見ることができます。沢沿いは広葉樹林が多く、紅葉も併せて楽しめるので、狙い通りのいい時期に来ることができました。

篠井山はヒルが出る山として有名で、一般的に5月から10月中頃まではあまりおすすめできません。渓谷の紅葉も見ることができ、寒さが厳しくなる前の11月は、まさにちょうどいい季節。

▲整備された道

さらに進んでいくと”ある”ことに気づかされます。それは事前の想定よりも、早いペースで歩いているということです。

登山道が非常に歩きやすく、そして100m毎に山頂までの距離と位置を示した看板が出てきます。看板は「篠井山を守る会」が有志で設置し、登山道整備もされたとのこと。そして傾斜のある場所ではつづら折りに、道幅も常に一定の間隔があります。

そのお陰で想定タイムよりも、早いスピードで進むことができました(笑)。

絶景の山頂へ

三つ目の滝「錦糸の滝」を越えていけば、登山道は沢沿いから離れ、急登区間が始まります。急登もきれいにつづら折りに整備され、きつさを感じさせません。

じつはこの日、二座目(篠井山の前に十枚山に登っていました)でしたが、楽に登らせていただきました。地元のみなさまには感謝が尽きません。

植林地の急登を越え、ブナの多い尾根に乗れば、山頂までもうひとふん張り。神社への道を示す道標が出てきますが、まずは山頂(南峰)をふみましょう。

山梨百名山の山頂標識があるこの場所が、篠井山の山頂です。まず目に入るのは、雄大に裾野を広げる富士山でしょう。

篠井山からの角度だと、向かって右側に宝永山(富士山の側火山)を見ることができます。山梨の山の多くは富士山の北側からの景色なので、久しぶりに宝永山も見ることができました。

右手に目をやると、おなじ山梨百名山の白鳥山や、静岡の愛鷹山などの山々も。さらに奥には駿河湾、伊豆半島などが見渡せました。おもてなしいっぱいの道で感動していたところに、山頂では絶景のご褒美まで。最高の里山ではありませんか。

人を繋ぐ山

▲北峰へ

冒頭に触れた、信仰の対象として南部町の方たちにより建てられた祠は、南峰から少し離れた北峰に位置しています。今回は、山頂標識で写真を撮るよりも優先したい目的があります。それは大きな木材などを運んだ思い出の場所、北峰のお堂を再訪すること。という訳で、南峰から北峰側へ。5分ほど下ると北峰に到着しました。

▲再建された祠

資材を運んだときに比べ、立派な祠がそこに建っており、地元の方たちが望んだ場所になっていました。篠井大明神を祭っている祠で、今回の登山の無事と山梨百名山チャレンジの完登を祈願。そして登らせていただいた感謝を述べさせていただきました。

▲篠井大明神のお札

私自身、南部町の人間ではないですが、ここまで地元の方に愛され守られたこの場所を登らせていただければ、手を合わさずにはいられませんでした。

北峰は樹林帯の中で、展望はありませんでした。しかし数百年前は鳥居、籠堂、お寺などが存在し、北峰からも霊峰・富士山を仰ぎ見ていたそうです。そこで「篠井山を守る会」は、北峰の満願寺跡のある北側へ少し下りた場所で伐採許可をとり、2021年に北峰からの眺望も復活させました。

▲北峰からの展望

いまもなお昔からの信仰を継承し、地元の人たちによって山と人々を繋いでいる篠井山。山梨百名山のなかでも里山の美しさや文化、そして人の温もりを感じることができる屈指の名峰でした。

12月は山梨百名山チャレンジ企画の最終月。

あえて残しておいたとっておきの山や、まだ登ったことのない山まで、最後の12月とはいえ楽しい山行が続きそうです。終わりに近づく寂しさもありますが、最後まで無事に登れるように頑張ります!

次回のvol.9もお楽しみに!

エルクスタッフ 綾井瞭
北岳の山小屋で勤務後、山梨の山が好きで移住し、エルクに入社し7年。登山、トレイルランニング、スキーと広く山を楽しんでいたが、ヒザを壊してからは山梨県の山を改めて登り始める。山梨百名山チャレンジ企画の担当であり、山梨県の山を登って魅力を発信することをモットーに山登りを続けている。

エルクブログ「山梨百名山チャレンジ」はこちらから!

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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