
極寒の死闘、フォン・チュンカイがチームの地元で劇的勝利!|真岡芳賀ロードレース

せいちゃん
- 2025年03月29日
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3月29日(土)、桜の便りが聞かれ始めた栃木県真岡市・芳賀町を舞台に、「JBCF 第2回 NTT東日本 真岡芳賀ロードレース」が開催された。しかし、会場を包んだのは春の陽気ではなく、前日までの暖かさから一変した気温6度以下の厳しい寒さと、容赦なく降り注ぐ冷たい雨、そして選手たちの体温を奪う強風だった。
最高峰カテゴリーのJプロツアー(JPT)は、この過酷なコンディションの中、1周7.2kmの周回コースを17周する122.4kmで争われた。直角コーナーが11箇所も存在するテクニカルなコースは、雨によるスリッピーな路面と相まって、選手たちに高度なバイクコントロールと、繰り返されるストップアンドゴーへの対応力を要求した。体力と精神力が試される壮絶なサバイバルレースとなったが、地元チーム・宇都宮ブリッツェンに所属するフォン・チュンカイ(台湾)が最終周回のスプリント勝負を制し、地元ファンに待望の勝利を届けた。
スタート直後からサバイバルレースの様相
予定より10分遅れの13時にスタートが切られると、レースは序盤から激しいアタック合戦となる。厳しい寒さと濡れた路面は、スタート前のウォーミングアップ効果を早々に奪い去り、多くの選手が体温維持に苦しむ。集団前方では、少しでも有利な位置で展開しようと各チームが活発に動くが、決定的な逃げはなかなか決まらない。
オープン参加の寺田吉騎(バーレーン・ヴィクトリアス・デベロップメントチーム)や各チームの若手選手が積極的にアタックを仕掛けるも、集団はこれを許さず、吸収とアタックが繰り返される。平均時速は40kmを超え、縦に長く伸びた集団の後方では、早くも脱落する選手が続出。周回を重ねるごとに人数は減り、レースは序盤から完全なサバイバルレースの様相を呈した。
ブリヂストントレインの形成と、有力チームの攻防
レース中盤、6周目あたりで谷順成(宇都宮ブリッツェン)、高梨万里王(レバンテフジ静岡)、白川幸希(ヴィクトワール広島)による3名の逃げが一時的に決まる。しかし、これを追うメイン集団では、チームブリヂストンサイクリングがその組織力を発揮。松田祥位、山本哲央、兒島直樹らトラックレースの強豪選手を含む6名が完璧なトレインを形成し、集団のペースをコントロールし始める。
このブリヂストンの動きに対し、他の有力チームも警戒。一時はブリヂストンのトレインを含む約15名の先頭集団が形成され、後続との差が開く場面も見られたが、追走集団も必死に食らいつき、再び集団は一つになる。しかし、この激しいペースアップと攻防により、集団の人数はさらに絞られ、この時点で完走可能な選手は半数以下となっていた。
フォン・チュンカイら4名、決死の逃げ
レースが後半に差し掛かる10周目、再び動きが起こる。織田聖(マトリックスパワータグ)、フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン、台湾)、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)、そして序盤から積極的に動いていた寺田の4名がアタック。これにブリヂストンの松田が加わり、5名の強力な逃げグループが形成された。
この逃げに対し、メイン集団をコントロールしていたブリヂストンは、松田を送り込んだことで一旦追走の手を緩めるかに見えた。しかし、その後松田が遅れ、逃げが4名になると、ブリヂストンは再び集団のコントロールを開始。逃げグループとのタイムギャップを30秒前後に保ちながら、レース終盤での吸収を狙う戦略を見せる。
一方、逃げに乗れなかった弱虫ペダルサイクリングチームやアヴニールサイクリング山梨などは、必死に追走を試みるが、ペースを上げきれず、タイムギャップはなかなか縮まらない。
地元ファンの前で、フォン・チュンカイがスプリントを制す!
逃げる4名は、極寒と疲労の中で互いに協力しながら周回を重ねる。一時は宮崎がローテーションから外れる場面もあったが、必死に食らいつく。メイン集団はブリヂストンが主導権を握り、じわじわとタイムギャップを詰めていく。
最終周回、逃げグループとメイン集団とのタイムギャップは約25秒。逃げ切りか、それとも吸収か、緊迫した展開のままゴールへ向かう。逃げの4名は最後の力を振り絞り、互いに牽制しながらスプリント勝負へ。
最終コーナーを立ち上がり、横一線のスプリント勝負。この日、厳しい寒さの中でも指切りグローブに半パンで走り続け、驚異的な走りを見せたフォン・チュンカイが、力強くペダルを踏み込み、僅差で寺田、織田を抑えてフィニッシュラインへ飛び込んだ。
地元栃木での開催となったレースで、宇都宮ブリッツェンが見事に優勝。フォン・チュンカイの劇的な勝利に、雨の中応援を続けた地元ファンから大きな歓声と拍手が送られた。3位には織田、4位には最後まで粘りを見せた宮崎が入った。
厳しいコンディションの中、選手たちは驚異的な精神力と体力で122.4kmを走り抜き、観客に感動を与えた。レース後、フォン・チュンカイは「ホームレースで勝つことができてとても嬉しい。チームメイト、スタッフ、そして応援してくれた皆さんに感謝したい」と語った。
また、同日開催されたJエリートツアー(E1)では横塚公平(VC福岡)、Jフェミニンツアー(F)では阿部花梨(イナーメ信濃山形)がそれぞれ優勝を飾った。
翌日には宇都宮市清原工業団地で「JBCF 宇都宮清原クリテリウム」が開催され、栃木2連戦の熱気は続く。
JBCF 第2回 NTT東日本 真岡芳賀ロードレース JPT リザルト
1位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン、台湾) 2時間56分06秒
OPN 寺田吉騎(バーレーン・ヴィクトリアス・デベロップメントチーム) +01秒
2位 織田聖(マトリックスパワータグ) +01秒
3位 宮崎泰史(キナンレーシングチーム) +02秒
4位 渡辺一気(京都産業大学) +11秒
5位 児玉誠虎(アヴニールサイクリング山梨) +11秒
6位 シーム・キスコネン(レバンテフジ静岡、エストニア) +11秒
7位 内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム) +11秒
8位 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +14秒
9位 床井亮太(レバンテフジ静岡) +14秒
10位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +14秒
個人総合リーダー(プロリーダー)
ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
U23リーダー(ネクストリーダー)
渡辺一気(京都産業大学)
U23賞
渡辺一気(京都産業大学)
スプリント賞
織田聖(マトリックスパワータグ)
敢闘賞
寺田吉騎(バーレーン・ヴィクトリアス・デベロップメントチーム)
ベストチーム
宇都宮ブリッツェン
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている