ヒモダウンチューブ「シルクテンション号」【西山自転車商会】
ニシヤマ
- 2018年01月26日
自転車偏集者の隔離病棟
魔改造企画の撮影で埼玉にある絹自転車製作所の一角を貸してもらった。
ここの主である荒井正さんは、知る人ぞ知る自転車ビルダーだ。最近ハマっているのが、テンション構造の自転車。なんとダウンチューブがヒモだ。乗車時、ダウンチューブには引っ張られる力のみがかかるので、ここに超高強度で伸びないヒモを配した。
輪行が長年のテーマのひとつだ。フレームの折りたたみ構造に悩んでいたが、ヒモならグニャっとなって完了という発想。アイデアがかっとびすぎていて、常識的な自転車ファンにはなかなか受け入れられないのが惜しい。
普通の人は、仕上げが美しいとか、リアが13速になったとかいう、小さなことのほうが受け入れやすい。ダウンチューブがヒモなのは、やや行き過ぎ感があるが、これが荒井さんだ。
果敢にも、年内に量産体制に入る。海外の工場に300台分のフレームを発注しているという。売れないのでは……という懸念に「売れなくたっていいんですよ」と即答。
自分のアイデアが、大量に形になるということが重要らしい。お金があるなら、千台でも1万台でも作りたいという。普通のモノは捨てられ、変なモノは残るという信念を持っている。シルクテンション号は、変なモノとして世の中に大量に残る……これが荒井さんの野望だ。恐るべし。
シルクテンション、ウルトラコンパクト キャンピング。ダウンチューブがヒモなので、容易に折りたためる構造
トップチューブに固定されたヒモ。ヒモの素材はダイニーマだ。量産するのは、アルミフレーム化したシンプルなクロスバイクらしい
キャリアもヒモのテンション構造。フォークは4本パイプとこれまた個性的
荒井さん。片倉シルク勤務後、ジャイアントへ。独立して絹自転車製作所を設立。編集部トモヒロのビルダー師匠でもある。
自転車工場なので旋盤までそろう。カスタムで想定外のトラブルがあっても、工場パワーで乗り切れる。
編集部ニシヤマ
カスタムやレストアをすると、パーツの不備だったり、自分のミスだったりに遭遇する。普通ならそこでその日は諦めるが、撮影だとストップできないので、工具がなんでもそろう工場を借りる
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