PINARELLO・DOGMA F SERIES【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2019年07月27日
究極のエアロ性能を体現するドグマFの継承と進化
2015モデルで登場したドグマF8をベースにコンケーヴ形状に代表されるエアロチューブを採用した意欲作のF10。
あれから2年、チームイネオスの始動とともに発表されたドグマF12。3世代にわたるドグマFの変遷をたどる。
力強くも流れるような造形美が特徴だったドグマと比較すると、直線的なエアロロードへとフルモデルチェンジを果たした、ドグマF8が誕生したのは2014年のことだった。
かつての名車ドグマ65.1を超えるため、東レカーボンとジャガーが夢のタッグを組み、エアロダイナミクスとカーボンフレームの限界に挑戦した。結果、フレーム重量120gの軽量化、47%もの空力性能の向上など、目を見張る性能向上を果たした。そして、クリス・フルームをツール・ド・フランス連覇へと導いた。
F8の誕生から3年がたち、エボリューショナルモデルとして誕生したF10は、より空力性能を追求。TTバイク「ボリデ」の技術を融合し、F8比で20%もの空力性能向上を実現。
また、フレーム剛性は7.1%向上させつつ、フレーム単体820gを達成した。「Eリンク」システムを採用し、新型デュラエース Di2に対応させるなど最新テクノロジーを多く搭載。ツール、ブエルタ、ジロのグランツール3連勝はじめ、チーム・スカイによる快進撃はすべてF10によって成し遂げられた。
2019シーズン、チーム・イネオスとして始動すると、ドグマF12を発表。わずか2年の短いスパンながら、ドグマFの進化はとどまることを知らない。
ドグマのDNAを宿した万能レーサー
ロングで生きる巡航性能と踏ん張りのきくレーシーな性能を有する
ピナレロのレーシングモデルの中核をになうプリンスシリーズ。
そのなかにあってT700ハイストレングスカーボンを採用し、
万能機として注目を集めるプリンスディスクをインプレッションする。
プリンスはドグマF10のソリューションを引き継ぐレーシングモデルとして存在感を放つモデルだ。 凹みのあるコンケーブ形状や左右非対称構造、フォークフラップ形状などはドグマF 10からのテクノロジーを踏襲している。
踏み込めば、ドグマに感じる重厚なフィーリングとともに、意外なほどに心地のよい加速感が生まれる。フレーム素材にT700カーボンを採用することで、平均的な脚力をもつ多くのホビーレーサーが扱いやすい剛性レベルにまとまっている印象だ。
そのいっぽうで、ディスクブレーキ化によるエンド剛性の高さが、路面をダイレクトに捉えるキビキビとした運動性能を引き出す。つまり、ミドルパワーでのクルージングでは硬さを感じずペダリングしやすく、コーナーの立ち上がりや加速時にはグッと踏ん張りがきく性能を有している。
このように、プリンス ディスクは、世界最高峰のプロレーサーのために開発されたレーシングテクノロジーをベースにしながら、多くのサイクリストが乗りやすいコンプリートバイクに仕上がっているといえるだろう。
フルクラム・レーシング500DBホイールも幅広いシーンに対応してくれるため、週末のレースからロングライドまで幅広く楽しみたい人にもオススメしやすい。
INFO
ピナレロ・プリンス ディスク
アルテグラ 11S完成車:47万8000円(税抜)、フレームセット価格:29万5000円(税抜)
■フレーム:T700 12Kカーボン
■フォーク:T700 12Kカーボン
■コンポーネント:シマノ・アルテグラR8000
■ホイール:フルクラム・レーシング500DB
■サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62
■重量:8.18kg(50サイズの実測重量・ペダルなし)
1/プリンスFX同様のフロントフォークは安定性のある操縦性を実現。フォークとフレームにはカーボン素材を生かした美しい柄が浮かぶ
2/フレームとホイールを近づけることで空力性能を追求した設計
3/駆動側にボリュームをもたせたアシンメトリック設計が特徴
F10を凌ぐ空力性能とらしさを備え古参ファンをつかむ美的センスも抜群
2年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたピナレロの旗艦モデルはドグマF12として誕生。
F10からの確かな進化を示す最新レーサーの魅力と実力を総括する。
世界でも指折りの人気を誇るレーシングブランドであるピナレロにおいて、ドグマは特別な存在だ。2015モデルでFの名を冠してフルモデルチェンジしたF8以降、その存在感は高まるばかり。空力をはじめとする性能はF8以降、大きく向上していることはトップレースシーンの実績から疑う余地はない。
ところで、近年はどのメーカーもエアロダイナミクスを向上させるなかで、バイクの個性が薄れてきていることも事実だ。かつてのオンダフォークに代表されるような艶かしい造形のドグマでさえ、エアロを追求することで、そのシルエットはシンプルで直線的に変化してきた。長年のピナレロユーザーからは、あの優美な個性こそピナレロだという声が聞こえたことも事実だった。
そんななかで登場した新型ドグマF 12は、さらなる空力性能を追求しつつも、ある意味でかつての個性を取り戻したモデルといえるだろう。その直線と曲線を複雑に織り交ぜて変化させたF 12は、ピナレロらしい美的センスが宿っている。
その走りを端的に伝えるなら、パワーをしっかりと受け止めるロスのないパワー伝達性能とバイクコントロールを楽しめる安心のステアリング性能に凝縮されているように感じる。
また、ディスクブレーキ仕様とリムブレーキ仕様をそれぞれ開発することで、ブレーキング時の応力の違いをFEM解析を通して明確にして、専用設計を実現している。その恩恵は、制動時のビビリ、左右のアンバランスを解消している。ディスクブレーキモデルの進化を感じる一面でもある。
古参ファンをつかむ美的センスを融合した新型ドグマから、ますます目が離せない。
OTHER MODEL
DOGMA F12 DISK 430 BOB
137万円(完成車/税抜)、73万円(フレームセット/税抜)
ディスクブレーキ仕様のフレームセット価格は73万円(税抜)、デュラエースDi2完成車137万円(税抜)だ。国内先行入荷カラーは、ウラノス ブラック/レッド(写真)とボブ(マットブラック)の2種類。今後、チーム・イネオスカラーやギャラクシーブルーなどが追加される予定
DOGMA F12 429 URANUS BLACK RED
130万円(完成車/税抜)、70万円(フレームセット/税抜)
リムブレーキモデルは、従来のシングルピボットからダイレクトマウントシステムへと変更。制動力がドライ状態で12.5%、ウェット状態で25%も向上。また、ブレーキ取り付け位置を剛性の高いフォークヘッド下側へ近づける設計によりフレームの変形を防ぎ、制動力を最大限発揮させる工夫がなされている
DOGMA F12 DISK 427 BOB
130万円(完成車/税抜)、70万円(フレームセット/税抜)
マットブラックカラー(ボブ)のリムブレーキ仕様モデル。タイヤクリアランスはプロレースで標準的な25Cに加えて、より快適性を高められる28Cにも対応するため再設計。そして、30mm幅のワイドリムとの互換性を確保している。また、ベストなパフォーマンス発揮に欠かせない13ものサイズを展開
IMPRESSION RIDER
ハシケン
問:カワシマサイクルサプライ www.riogrande.co.jp
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