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1年目のJCL、個人総合は山本大喜、チームは宇都宮ブリッツェン、激戦の新人賞争いを振り返る

今年開幕した日本初のサイクルロードレースのプロリーグ「三菱地所JCLプロロードレースツアー」が、11月7日の那須塩原クリテリウムで最終戦を迎えた。ポイント付与対象大会を含めると3月から全12戦のリーグ初年度の年間ランキング争いを、上位選手らのコメントを交えて振り返る。

キナンサイクリングチームVS宇都宮ブリッツェンという構図

第5戦のコーユーレンティアオートポリスロードレースでは、キナンサイクリングチームがレースをコントロールし畑中勇介が勝利。オリンピック明けの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は6位にとどまった

ツアー総合は全体としてキナンサイクリングチームと、宇都宮ブリッツェンの2強による争いとなった。

粒ぞろいのアタッカーを多く抱えるキナンは、開幕2連戦こそもう一歩の結果だったが、第3戦の広島ロードで1〜4位を独占して圧倒。アップダウン系のロードレースにおいて、チーム力を背景にレースを支配した。なかでも秋吉台ロードの優勝を含む上位リザルトを多く残した山本大喜が、初年度の個人ランキング1位のイエロージャージに輝くことになった。

第3戦の広島トヨタ広島ロードレースではキナンサイクリングチームが1から4位までを独占という強さを見せつけた

一方の宇都宮ブリッツェン。東京2020オリンピック日本代表の増田成幸や、クリテリウムで2勝を挙げた小野寺 玲といった強力なエース陣を抱えるが、コロナ禍の影響でチーム規模縮小を余儀なくされ、昨シーズンまでチームの中核だった選手を複数放出し、発展途上の若手選手が占める割合が増えていた。

第6戦の山口長門クリテリウムでは1、2、3フィニッシュ、そしてポイント対象レースとなったUCIおおいたいこいの道クリテリウムでは小野寺が勝利した宇都宮ブリッツェン

そうして臨んだ2021年シーズン、やはりチーム力不足は隠せなかったが、キナンサイクリングチームがピュアスプリンターを抱えていないことで、宇都宮ブリッツェンはシーズン4勝のうち3勝をクリテリウムで稼ぐことに成功。勝利数で争うチームランキングにおいては、キナンの上を行きチームランキング1位に輝いた。

宇都宮ブリッツェンは那須塩原クリテリウムでは年間チーム総合優勝で表彰台に立った

新人賞(U23)は最後まで僅差で宇賀隆貴と本多晴飛が争った

スプリント賞・ブルージャージの小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)、山岳賞・レッドジャージの山本元喜が比較的順当に決まった一方、激戦となったのが新人賞(U23)・ホワイトジャージ争いだ。最終的に1位になった宇賀隆貴(チーム右京相模原)と2位の本多晴飛(VC福岡)のポイントは、宇賀が220点で本多が210点と超僅差。10月のしおやクリテを本多がケガで欠場していなければ、本多が1位を取っていた可能性も少なくなかった。

欧州アマチュアでも経験を積んできた宇賀と、トライアスロン出身の現役大学生で自転車競技は2年目という本多。有力チームの一員としてアシストの動きに回る場面が多かった宇賀と、下位チームで比較的自由に走ることができた本多とを単純に比較はできないが、共通するのは新人賞自体にはフォーカスせず、レース全体のなかで結果を求める走りをしていた点だ。結果的にジャージが頻繁に両者を行き来する激戦となり、さらにレースにおいても両者が印象に残る動きを演じることになった。

第3戦の広島トヨタ広島ロードレースで新人賞を獲得し、おおいたアーバンクラシックで一度は手放したものの、最終2戦では再びホワイトジャージ着続けた宇賀隆貴(チーム右京相模原)
第1戦カンセキ真岡芳賀ロードレースでホワイトジャージを獲得した本多晴飛(VC福岡)

最終戦、那須塩原クリテリウムでの選手&監督のコメント

新人賞(U23)を獲得した宇賀隆貴(チーム右京 相模原)

シーズン最初はホワイトジャージをあまり意識していませんでした。ホワイトジャージに着目するよりもチームの勝利を意識して、アシストとして走る展開が多かったです。ただ、今日はホワイトジャージにフォーカスして走ったんですが、今日は昨日の疲れがかなり残っていて、きつかったんですがチームメイトのおかげで戻ることができ、ホワイトジャージを守ることができてホッとしました。昨日のレースで負けたのが、自転車を始めて一番悔しかったかもしれません、オフシーズンしっかり練習して頑張っていきたいと思います。

敢闘賞、新人賞(U23)ランキングで僅差の2位だった本多晴飛(VC福岡)

集団最後尾でキツかったですが、単騎では前に入れないので、そこで耐えるという感じでした。ただ全員キツいのは一緒なので、そこはもう我慢比べは得意というか自信はあるので、何とか耐えて耐えて、最終コーナーでは真ん中くらいに上がりました。今年、自転車競技をすること自体が2年目なので、自転車競技に慣れる年でした。後半はかなり展開やラストの勝負に絡めるようになってきたので、レースの楽しさというのがわかってきました。来年は自転車に専念しようと思っています。海外でも通用するような選手になれればと考えています。

個人ランキングトップの山本大喜(キナンサイクリングチーム)

今日はスプリントの展開でいくというチームの方針で、そのなかで中島(康晴)さんがエースで走るという作戦だったので、もう今日はジャージとかは気にせず、チームの勝利だけを目標に頑張りました。スプリント賞は狙っていたわけではなく、集団をコントロールしているなかで、自分が毎回ホームストレートを踏んで引っ張っていたので取れたという感じでしたね。今シーズンは自分としては今までと違う高いモチベーションで走ることができて、成績も残して、すごく良い一年ではあったのですけど、レースを走るなかでまだ増田(成幸)さんであったりとか、力の差はあるなと感じました。今後はそういった日本の本当のトップ選手になれるように、また来年に向けて準備をしていこうと思っています。

チーム年間総合優勝を獲得した宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督

いろんな選手に勝利させたい、いろんな選手を強くしたいというのが今年のモットーだったので、年間総合優勝というタイトルが取れて素直にうれしいです。ケガやコンディション不良などで途中戦列を離れる選手が多かったですが、何とか残っているメンバーで最終3連戦を戦い抜いてくれたなと。今のチームは勝てる選手というのはいますが、来年はもっとチームの底上げをして、しっかりとチームを強くしていきたいと思います。キナンはすごく強いけれど、何とか僕らのほうが勝利数が多かったということを、選手たちは来年への自信にしてほしいなと思います。

JCL2021年シーズンハイライト動画

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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