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ポガチャルが上りスプリントで勝利、総合でも首位浮上!|ティレーノ~アドリアティコ第4ステージ

イタリアで行われているステージレース、ティレーノ~アドリアティコは現地3月10日に第4ステージを実施。ステージ優勝争いはカテゴリー山岳での上りスプリントになり、今大会の個人総合優勝候補筆頭であるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が快勝。ライバルにタイム差をつけてのフィニッシュで、個人総合でも首位へ。リーダージャージに袖を通している。

アタックの応酬かわしてポガチャルが一撃で決める

大会は半ばに入るとともに、本格的に山岳区間へと足を踏み入れる。この日は世界最大の人工滝といわれるカスカータ・デッレ・マルモレからベッランテまでの202km。レース終盤はベッランテを基点とする周回コースを走るが、その最後は最大勾配11%に達する急坂。フィニッシュ前の最後の上りにもなり、最終局面は登坂力と一瞬のパワーが求められることとなる。そして、個人総合争いにつながる重要な局面にもなりうる。

スタートから数度の出入りを経て、10人が先行を開始。集団に対して5分ほどのリードを得て先を急ぐ。かたや集団は、ポガチャル擁するUAEチームエミレーツやユンボ・ヴィスマが中心となってペーシング。少しずつその差を減らしていった。

©︎ LaPresse

しばし形成に変化はなかったが、残り45kmとなったところで逃げからクイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)がアタック。独走に持ち込んで逃げ切りを図る。ただ、メイン集団もこの頃には前を射程圏内にとらえており、さらには残り40kmでジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)がアタック。周回最後の上りを利用した動きには、ポガチャルやレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)、ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)、そしてリーダージャージを着るフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)が同乗。レースは一気に活性化する。

©︎ LaPresse

ポガチャルらはいったん集団へと戻ったが、全体の勢いは増す一方。先頭のシモンズだけを残して逃げていた選手たちを全員キャッチすると、UAE、ユンボ、ボーラが代わる代わる集団のペーシングを担う。シモンズとは50秒ほどのタイム差で、最終周回へと突入した。

1人粘ったシモンズだったが、残り13kmで集団に引き戻される。前後してメイン集団ではいくつかアタックが散発したが、どれも決定打には至らない。残り4kmを切って最後の上りへ入ると、ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)、バンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)と立て続けにアタックするが、これも決まらず。さらにウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)、エヴェネプールといった総合系ライダーの仕掛けにはポガチャル自らチェックに動き、集団前方の緊張感が増していく。

アタックが決まらないまま最後の1kmを迎えたプロトン。この状況を打破したのは、残り600mからのヴィクトル・ラフェ(コフィディス、フランス)によるアタック。狙いすました動きで集団を破壊する。これにすかさず反応したのは、やはりポガチャル。ラフェを抜き去ると、最後の500mで後続との差を引き離す。ここまで溜めていた力をすべてぶつけたかのような強さを見せつけた。

©︎ LaPresse

結局、2位に2秒差をつけてポガチャルが今大会初勝利となるステージ優勝。個人総合首位だったガンナが遅れ、僅差だったエヴェネプールに対してはフィニッシュでの秒差とボーナスタイムを生かして逆転。満を持してリーダージャージに袖を通す格好となった。

©︎ LaPresse

ステージ2位には、最後ポガチャルを追い込んだヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)が入り、昨年のツール・ド・フランスの再現ともいえる両者の順位。最終局面で渾身のアタックを見せたラフェが3位と健闘した。

ポガチャルがトップに立った総合では、9秒差の2位にエヴェネプール、ガンナも21秒差の3位で何とか踏みとどまった。ヴィンゲゴーは19ランクアップの6位とし、後半戦に期待を持たせている。

11日に行われる第5ステージも山岳コース。セフロからフェルモまでの155kmに設定される。フィニッシュへ向かう上りがこのステージのハイライトとなりそうだ。残り3.5kmから約800m続く急坂区間は、最大勾配21%。一度緩斜面を迎えるが、最後の1kmで6.1%を駆け上がってフィニッシュラインへ。ステージ優勝と個人総合とも、21%の上りで絞られたメンバーによる最終局面での争いとなりそうだ。

ステージ優勝、個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

©︎ LaPresse

「最後の数キロはアタックの連発で対応が本当に大変だった。マルク(ソレル)とともに反応しながら、レースを何とかコントロールした。このようなレースでは最終局面まで誰も先頭に立ちたいと思わないのが通常なので、最後の600mはレースをコントロールしたアシスト陣のためにも勝って恩返しをしたい一心だった。ユンボ・ヴィスマも強かったが特に意識することはなくて、今日のところは互いに同じ目標に向かって走って最後に私が勝ったまでだ」

ティレーノ~アドリアティコ2022 第4ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 4:48’39”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’02”
3 ヴィクトル・ラフェ(コフィディス、フランス)ST
4 レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)
5 ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)+0’05”
6 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)ST
7 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)
8 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
9 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)
10 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)

個人総合時間賞

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 14:36’47”
2 レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+0’09”
3 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)+0’21”
4 テイメン・アレンスマン(チーム ディーエスエム、オランダ)+0’36”
5 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’43”
6 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’45”
7 ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)+0’50”
8 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ、スペイン)+0’56”
9 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+1’02”
10 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+1’04”

ポイント賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

山岳賞

クイン・シモンズ(トレック・セガフレード、アメリカ)

ヤングライダー賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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