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新城も出場したクラシック、メルリールが僅差で勝利|ミネルヴァクラシック ブルッヘ~デパンネ

3月から4月にかけてベルギーで開催される主要レースの皮切りとして、現地23日に開催されたミネルヴァクラシック ブルッヘ~デパンネ。豪華メンバーが集結したスプリンターズクラシックは、上位3選手が横一線の好勝負。写真判定の末、ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)が初優勝を果たした。新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も出場し、終盤の主導権争いで集団先頭に立つ見せ場を作っている。

3人が横並びの混戦、写真判定まで持ち込まれる

UCIワールドツアーは、ステージレースをスペイン(ボルタ・ア・カタルーニャ)で開催する一方で、ワンデーレースはベルギーを舞台に数日おきに大会が開かれていく。その始まりとなるのが「ミネルヴァクラシック ブルッヘ~デパンネ」だ。

かつては「デパンヌ3日間レース」と言われ、2017年まではステージレースとして行われていたが、2018年からワンデーレースに変わり、2019年からはワールドツアーの仲間入り。1日勝負になってからはスプリンター向けのクラシックレースとして、そのプライオリティは年々高まっている。実際、今年もトップシーンを彩る強力スプリンターが集結した。

PHOTO: DIRK WAEM

コースは大会名のとおり、ベルギー北西部・西フランドル州の州都であるブルッヘを出発し、西へと針路をとってデパンヌへとフィニッシュする207.9km。レース中盤からはデパンヌを基点とする45.1kmの周回をおおよそ3周半する。

そんなレースは、序盤に形成された3人の逃げグループが長く先行。メイン集団は2分から3分の差でコントロールしながら進んでいき、デパンヌの周回コースへと入っていった。

PHOTO: DIRK WAEM

この形勢は最終周回まで続き、残り1周の鐘を合図にメイン集団がギヤチェンジ。こうなると勢いの差は歴然で、あっという間に逃げていた3人との差は縮まっていく。フィニッシュ前30km前後で集団が3選手すべてキャッチして、態勢はスプリントへと移っていく。

集団内でクラッシュがときおり発生しながらも、フィニッシュ前の勝負に向けて突き進む一方のプロトン。残り10kmになろうかというところからは、チーム アルケア・サムシック、ボーラ・ハンスグローエ、トレック・セガフレードといったチームがトレインを成して前線へ。残り7kmからはバーレーン・ヴィクトリアスの姿も目立ち始め、前線は混とんとなっていく。

PHOTO: DIRK WAEM

残り4kmでは新城がバーレーン・ヴィクトリアスの隊列を率いて先頭へ立つ場面も。ロット・スーダル、チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、コフィディスも前線でメンバーをそろえて勝負に備えた。

主導権争いが展開される中、残り1.5kmで優勝候補の1人であるパスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)がクラッシュし脱落。連続コーナーもあって集団が縦長になる中、マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル、イギリス)もポジションを上げられない。かたや、好位置を確保したのはアルペシン・フェニックスとチーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ。残り1kmを示すフラムルージュを過ぎて、最後の直線へと入っていった。

PHOTO: KURT DESPLENTER

迎えたタイトルを賭けたスプリント。単騎で好ポジションを押さえたオラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)が残り200mで仕掛けると、それを合図にスプリンターたちが加速。混戦の中から抜け出したのはメルリール、ディラン・フルーネウェーヘン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オランダ)、ナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)の3選手。フィニッシュラインも横一線、目視では誰が勝ったか確証がつかめないほどの激戦となった。

PHOTO: KURT DESPLENTER

選手本人も半信半疑の様子で順位確定を待ったが、しばらくしてメルリールの勝利が確定。写真判定までもつれ込んだ勝負は、タイヤ数センチ分の差で勝敗が分かれた。

昨年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスでステージ優勝を挙げ、トップスプリンターの1人に数えられるようになったメルリール。これで今季は3勝目。チームも絶好調で、ここまで挙げた6勝はすべてスプリントによるものだ。

PHOTO: KURT DESPLENTER

終盤に力強い姿を披露した新城は、役割を終えて103位でフィニッシュ。先のミラノ~サンレモに続き、チームへの高い貢献度を示した。

レースシーンは、ここからベルギー北部・フランドル地方を舞台とする「北のクラシック」が本格化。数日おきにビッグレースが開催される。直近では、25日にE3サクソバンククラシック、27日にはヘント~ウェヴェルヘムが行われ、春のクラシックシーズンが大きな盛り上がりを見せることとなる。

ミネルヴァクラシック ブルッヘ~デパンネ優勝 ティム・メルリール コメント

PHOTO: DIRK WAEM

「フィニッシュ直後は勝ったかどうかわからなかった。スプリントラインを崩さずに走ってくれた(オラフ)コーイには感謝しないといけない。私が彼の後ろから仕掛けるか、彼が右に開くのを待つかで悩んだが、うまくスプリントに入ることができた。ディラン(フルーネウェーヘン)が並んでいるのはわかっていたので、最後まで踏み続けなければと思って走った。それが勝利につながったと思う」

ミネルヴァクラシック ブルッヘ~デパンネ2022 結果

1 ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー) 4:45’41”
2 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オランダ)ST
3 ナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)
4 マキシミリアン・ヴァルシャイド(コフィディス、ドイツ)
5 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)
6 アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)
7 シモーネ・コンソンニ(コフィディス、イタリア)
8 アルノー・デリー(ロット・スーダル、ベルギー)
9 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)
10 ハインリッヒ・ハウッスラー(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)
103 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1’08”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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