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マチューが復調勝利! 急きょ出場の新城は59位でUCIポイント獲得|ドワーズ・ドール・フラーンデレン

ベルギー北部・フランドル地方を舞台とする「北のクラシック」は、現地3月30日にドワーズ・ドール・フラーンデレンが行われた。複数の石畳区間や急坂セクションが組み込まれた183.7kmのレースは、序盤から逃げた選手やレース半ばに集団から飛び出した選手たちが先行したまま優勝争いへ転化。最後はティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)との一騎打ちに持ち込んだマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)が3年ぶりの優勝を遂げた。初参戦で注目されたツール・ド・フランス王者のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)は10位。急きょ出走となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は59位で、60位以内に付与されるUCIポイント圏内でのフィニッシュを果たした。

終盤のアタックの応酬を切り抜けたマチューが3年ぶり優勝

大会名のドワーズ・ドール・フラーンデレンを現地で話されるフラマン語から日本語へと訳すと「フランドル横断」。その名のとおり、フィニッシュ地のワレヘムを基点に東西8の字にルートをとっているのが特徴だ。コース内には13カ所の急坂セクションと5カ所の石畳セクションが待ち受け、スタートから40kmを過ぎて以降はこれらのセクションが断続的に表れる。

今年で開催は76回目。かつては重要レースに挟まれたつなぎのイベントといったイメージだったが、2017年のUCIワールドツアーに昇格してからはプライオリティが上がり、有力選手も多数参戦するようになった。今回は、ツールの石畳ステージに向けた予行演習としてポガチャルが参戦。決して主戦場とは言えないパヴェをどこまで自分のものにできるかが彼のテーマであった。なお、先のヘント~ウェヴェルヘムを勝ったビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エリトリア)は、早くから予定していた一時帰国のため出場しない。

レースの早い段階で形成された5人の逃げグループには、最後まで逃げ続けることになるニールス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)とキーラン・オブライエン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)が含まれる。メイン集団とは5分前後の差で進行。集団はファンデルプール擁するアルペシン・フェニックスがコントロールを担って、前とのタイム差を調整した。

©︎ BORA – hansgrohe

この流れが変化を見せ始めたのが、フィニッシュまで80kmを切ったタイミング。メイン集団でアタックが散発し始め、数人が先行しては吸収される形が繰り返される。出入りが激しくなるとともに至るところでクラッシュが発生。自然と生き残りの人数が淘汰されていく。

さらに、残り71kmで迎えた登坂セクション、ベルグ・テン・ホウト(登坂距離1.1km、平均勾配5.5%)でファンデルプール、ベノート、トーマス・ピドコック、ベン・ターナー(ともにイネオス・グレナディアーズ、イギリス)、ヴィクトール・カンペナールツ(ロット・スーダル、ベルギー)、シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)が集団からアタック。パヴェを得意とする6人がそろったこともあり、スムーズに協調体制に移って後ろとの差を広げにかかった。

©︎ Getty Images

続いてやってきたセクション、カナリエベルグ(0.9km、8.8%)ではポガチャルが集団からアタック。前を行く精鋭グループへのジョインを目指して単独で追走を開始。この動きは集団へと引き戻されたが、残り52kmでやってきたクノクテベルグ(1km、8.1%)で再び動くと6人の追走パックを形成。何とか追撃ムードに持ち込もうと試みる。

かたや快調に飛ばし続ける精鋭6人は残り50kmを切って、序盤から逃げていた5人に合流。上りを利用してベノートがペースアップを図ると、当初からの逃げ組3人を振り切り、8人に絞り込む。ポガチャルら追走グループとは45秒ほどの差となり、数的な優位性も高まってそのまま優勝争いへと移っていくことが色濃くなっていった。

©︎ PHOTO NEWS

8人の形勢に変わりがないまま、最後のセクションであるホルストラート(0.6km、平均勾配2.6%)へ。ここで計っていたかのようにキュングがアタックすると、カンペナールツもカウンターで応戦。数秒のリードを奪ったカンペナールツは、独走に持ち込むべく懸命の走り。協調が崩れた精鋭パックでは、ここまで動きを待っていたベノートがピドコックを引き連れた状態でカンペナールツへのブリッジに成功する。残り5kmとなって3人逃げへ移るかと思われたが、ペースが緩んだこともあり他のメンバーも再合流。残り3.6kmで再びカンペナールツがアタックすると、ベノートが今度はすぐに反応。しかし、この動きも1.5kmほど進んだところでふりだしに戻った。

決定打が生まれたのは残り1.7km。これまでチェックに回ることが多かったベノートが自ら仕掛けると、唯一反応したのがファンデルプール。再三のアタックで消耗したメンバーを尻目に、2人は優勝をかけたマッチアップへ。先頭交代をしながら最終局面へと突入した。

残り500mを切って真っ先に最後の直線へとやってきたファンデルプールとベノート。お互いを見合いながら、迎えた残り200m。マッチスプリントが始まると両者のスピードの差は歴然。こうなると一枚も二枚も上のファンデルプールが先頭を譲らず、そのままフィニッシュへ。ベノートはファンデルプールとの勝負となった時点で確実に2位を押さえることにシフトしていたようで、最後は相手をたたえながらレースを終えた。

©︎ PHOTO NEWS

3年ぶりの大会制覇となったファンデルプールは、昨夏から続いていた背部の痛みやヒザの故障によって、この冬は“本職”のシクロクロスを休業。ロードのシーズンインも遅らせる判断をしていたが、3月19日のミラノ~サンレモで始動するといきなり3位入線。その後はイタリアでステージレースを走って1勝を挙げるなど、状態は確実に上向きになっていた。そして、今季北のクラシック初戦だったこの大会で優勝。直近の目標であるロンド・ファン・フラーンデレンやアムステルゴールドレース、パリ~ルーベに向けて最高の試運転となった。

なお、3位争いはピドコックが先着し表彰台を確保。追走ならずも前線で走り続けたポガチャルは10位だった。また、長くメイン集団でレースを進めた新城も走り切って59位フィニッシュ。60位まで付与されるUCIポイントを獲得した。

©︎ Getty Images

UCIワールドツアー次戦は、4月3日のロンド・ファン・フラーンデレン。今回活躍したファンデルプールに加え、ポガチャルや今節はお休みだったワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)らも顔をそろえる予定だ。クラシックレース最大級のレースに世界中の注目が集まる。

ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝 マチュー・ファンデルプール コメント

©︎ PHOTO NEWS

「ベルグ・テン・ホウトで形成されたパックは協調体制が保たれ、誰も追うことはできないだろうとも感じていた。個人的には、調子自体は良かったが、今日のところは一番強かったとは思っていない。特に終盤のアタックにはたびたび反応が遅れてしまい、ギャップを埋めないといけないことが本当に苦痛だった。そんな中でもティシュ(ベノート)とのマッチアップに持ち込めたことは大成功だった。彼は今日特に強かった選手で、2位という結果には誰もが納得できると思う。

次はロンド・ファン・フラーンデレンだが、今日とはまったく異なるレースだ。まずは今日の喜びに浸って、それから次のことを考えたい。すべてをクリアにしてからベストを尽くす方法を考えることが、ロンドに臨むうえでは一番だからね」

ドワーズ・ドール・フラーンデレン2022 結果

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ) 4:05’39”
2 ティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+0’01”
3 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’05”
4 ヴィクトール・カンペナールツ(ロット・スーダル、ベルギー)ST
5 ニールス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)
6 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)
7 キーラン・オブライエン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)
8 ベン・ターナー(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’12”
9 ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)+2’08”
10 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)ST
59 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+4’12”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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