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タイヤ1本の僅差で写真判定! クフィアトコフスキが7年ぶり制覇|アムステル・ゴールドレース

アルデンヌクラシックの1つ、アムステル・ゴールドレースがオランダ南部で410日に行われ、マッチスプリントになった優勝争いはミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)がブノワ・コスヌフロワ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)にわずかに先着。写真判定までもつれた大接戦を制して、7年ぶり2回目の大会制覇を遂げた。

体調不良を乗り越えたクフィアトコフスキが復活勝利

オランダの丘陵地帯・リンブルフ州を舞台とするレースは、これが56回目。アルデンヌ3連戦の皮切りとして定着しており、次々とやってくる急坂と「1000のコーナー」とも言われるテクニカルなコースレイアウトが大きな特徴だ。今回は254.1kmに、33カ所の登坂セクションが詰め込まれ、その間、最大の名所であるカウベルグは3回上る。

なお、通例であれば4月第3日曜日に開催されるこの大会だが、同第2日曜日に行われているパリ~ルーベが開催地・フランスの大統領選挙第1回投票日に当たっているため、今年に限り両レースの日程が入れ替わり。第2日曜日の410日にこの大会が移っている。

レース前半は5人が逃げる形で進行し、フィニッシュまで88kmを残したところで追走メンバーが合流。最大7人の先頭グループとなるが、アルペシン・フェニックスがコントロールするメイン集団との差は約2分。完全に集団優勢で後半戦を迎える。

残り60kmを切ってからは、登坂セクションに到達するたびに先頭メンバーが減っていき、さらに15kmほど進んだところで逃げていた選手たちは全員吸収。この頃には集団のペーシングをイネオス・グレナディアーズが担うようになり、前線に残る選手も徐々に絞られていった。

©︎ Getty Images

そうした流れから次なる局面がやってきたのは、残り35km。上り口が最も急なケウテンベルグ(登坂距離1.6km、平均勾配5.2%、最大勾配10.2%)でティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)がアタック。これがきっかけとなり、先頭は11人に。いずれも優勝を狙える精鋭がそろった。

先頭グループ11

ユンボ・ヴィスマ:ティシュ・ベノート(ベルギー)
クイックステップ・アルファヴィニル:カスパー・アスグリーン(デンマーク)
イネオス・グレナディアーズ:トーマス・ピドコック(イギリス)、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)
バーレーン・ヴィクトリアス:ディラン・トゥーンス(ベルギー)
アージェードゥーゼール・シトロエン チーム:ブノワ・コスヌフロワ(フランス)
UAEチームエミレーツ:マルク・ヒルシ(スイス)
チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ:マイケル・マシューズ(オーストラリア)
グルパマ・エフデジ:シュテファン・キュング(スイス)
トレック・セガフレード:アレクサンダー・カンプ(デンマーク)
アルペシン・フェニックス:マチュー・ファンデルプール(オランダ)

©︎ Sprintcycling

フィニッシュまで25kmを切ると同時にやってきたのは、名所カウベルグ(0.8km6.5%、13.7%)の3回目。ここで数的優位なイネオス・グレナディアーズが動き出す。まず、頂上付近でピドコックがアタック。これは各選手チェックに走ったが、その直後に今度はクフィアトコフスキがカウンターアタック。単独先頭に立つと、フィニッシュラインを一度通過して最終の小周回へ。

しばしクフィアトコフスキの独走状態が続いたが、残り19kmでコスヌフロワが一人で追走を開始。下りを使ってスピードに乗せてブリッジに成功すると、2人となった先頭はさらにスピードアップ。数秒で推移していた精鋭グループとの差は、20秒ほどまで広がった。

©︎ Getty Images

先頭2人を捕まえたい後ろのグループだが、散発するアタックはいずれも決まらず。さらにこのグループに待機したピドコックが先頭交代のローテーションをたびたび崩して、追撃ムードを断ち切る。これが奏功して、先頭2人はタイム差をほとんど変えることなく逃げ続ける。そして残り1km。この時点でタイム差は15秒あり、先頭2人のどちらかにタイトルが行くことは濃厚になった。

コスヌフロワが引く格好でやってきた最終局面。フィニッシュ前500mで牽制状態になって、互いに仕掛けるタイミングを計る。その後ろではベノートが単独3番手に上がって前を追うが、先頭2人のリードは十分。そして残り200m、コスヌフロワが先に加速して最後の勝負へ。

コスヌフロワがぬか喜びするも、勝利はクフィアトコフスキ

スリップに入ったクフィアトコフスキが有利かと思われたが、残り100mで並ぶもコスヌフロワもまったく引かず。クフィアトコフスキは抜き切れず、2人並んでフィニッシュラインを通過。両者とも勝利の手ごたえがないまま、結果は写真判定待ちとなる。

©︎ Getty Images

しばらくして、コスヌフロワが勝ったとの一報でアージェードゥーゼール・シトロエン陣営は喜びを爆発させたが、直後にクフィアトコフスキの優勝に訂正。今度はイネオス・グレナディアーズの選手たちが歓喜。クフィアトコフスキは2015年にこの大会を勝っており、実に7年ぶりとなる2回目の制覇を飾った。かたやコスヌフロワは、昨年のブルターニュクラシック・ウエストフランス以来となるキャリア2つ目のビッグタイトルにわずかに届かなかった。両者の差は、タイヤの先端がほんの数センチ、クフィアトコフスキが前に出ていただけだった。

©︎ Getty Images

なお、ベノートが3位に入って表彰台最後の一角を確保。前週のロンド・ファン・フラーンデレンを制し、今回も優勝候補筆頭に挙げられていたファンデルプールは4位だった。

春のクラシックシーズンは、17日にいよいよパリ~ルーベが開催される。北のクラシック、さらにはワンデーレース最高峰の戦いの1つが待ち受けている。

アムステル・ゴールドレース優勝 ミハウ・クフィアトコフスキ コメント

©︎ Getty Images

「勝てると思っていたがコスヌフロワが思っていた以上にスピードがあり、とてもタフなスプリントフィニッシュになった。トム(ピドコック)と一緒にフロントグループに入ることができたので、勝たないといけないと思っていた。

先頭が2人になってからは、コスヌフロワがほとんどの仕事を引き受けていた。私は後ろにトムが控えていたので無理をする必要はなかったし、タイム差を維持するのは私次第ではなかった。それだけに、レース直後は負けたと思って混乱した。

このところ新型コロナウイルスやインフルエンザに感染し、レースプログラムを大幅に変更せざるを得なかったので、この大会を勝てて本当にうれしく思っている。辛抱強くやってきて本当に良かったし、いつか勝てる日が来ると信じていた」

アムステル・ゴールドレース2022 結果

1 ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド) 6:01’19”
2 ブノワ・コスヌフロワ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)ST
3 ティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+0’10”
4 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)+0’20”
5 アレクサンダー・カンプ(トレック・セガフレード、デンマーク)ST
6 カスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴィニル、デンマーク)
7 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)
8 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、フランス)+0’48”
9 マルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ、スイス)
10 ディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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