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イネオスのファンバーレが“地獄の日曜日”を制する! 復帰戦のワウトが2位|パリ~ルーベ

序盤の集団分断に始まり、どこまでも舞う砂塵、そしてパンクやメカトラ……。“地獄の日曜日”と称されるにふさわしいレースとなった、今年のパリ~ルーベ。早くから前方でレースを進め、残り20kmの4つ星パヴェで飛び出したディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)が、一気に天国へと駆け上がってみせた。ファンバーレはパリ~ルーベ初優勝。もちろん、キャリア最大の勝利だ。

集団分断で波乱の幕開け

初開催が1896年、今年で119回目を迎えたパリ~ルーベ。数あるワンデーレースの中でも、とりわけ格式が高いといわれるレース群「モニュメント」に位置づけられ、別名「クラシックの女王」と呼ばれる。実際はその異名とは正反対で、レースは過酷を極める。今大会は257.5kmのコース中、30カ所・54.8kmに及ぶ握りこぶし大の石が敷き詰められたパヴェ(石畳)を走行。通常のライドでは考えられないほどの振動や全身への負荷が選手たちを苦しめる。秋に開催された昨年は大雨でパヴェが泥沼状態。今回は天候こそ晴れたものの、それはそれで砂ぼこりが舞い選手たちの視界を奪うことになる。予期せぬクラッシュも多発し、そうした様から“北の地獄”“地獄の日曜日”とも言われる。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一昨年は中止、昨年は10月開催だった大会は、3年ぶりに4月開催が実現。そんなレースは、波乱の幕開けとなる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

リアルスタートから細かな出入りが続いたプロトンは、35kmほど進んだところで突如分断。横風を利用してイネオス・グレナディアーズが仕掛けると、前線に75人ほどが乗り込み、優勝候補筆頭と目されていたマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)やコロナ感染からの復帰戦となったワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)らは後方に取り残される。前方のグループはさらに加速して、後ろとの差を1分以上に広げる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

レース前半から各所でパンクや落車が相次ぎ、有力どころではカスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴィニル、デンマーク)がクラッシュに巻き込まれたほか、先頭グループを率いていた1人であるフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)もパンクで後方へ。今回がルーベ初出場の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も、ときおり集団前方に顔を見せていたが、大規模なクラッシュに巻き込まれて後ろに取り残されてしまった。

こうしたアクシデントやパヴェ通過によって、前線の選手は徐々に絞り込まれていく。そんな状態でやってきたセクター21・マン~モンショー=シュール=エカイヨン(1.4km、★★★)で5人が抜け出して、実質の逃げグループを形成。ここにはマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)も加わり、後ろとの差を少しずつ広げていく。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

やがて迎えるは、大注目5つ星パヴェの1つで、パリ~ルーベの名所であるセクター19・アランベール(2.3km)。先頭ではモホリッチらが快調に通過した一方、序盤の分断からおおよそ1つにまとまっていたメイン集団ではファンアールトがまたも後方へ。ここは自力でポジションを上げて集団へと戻ったが、全体的にハイペースで進んでいることもあって、気が抜けない情勢に拍車がかかる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

逃げはパヴェ通過によって人数が減っていき、3人態勢へ。残り70kmを切った時点で、メイン集団とのタイム差は2分15秒。そこから15kmほど進んだところでユンボ・ヴィスマが人数をかけて集団のスピードアップを図ると、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)が脱落。残り50kmを切ってやってきた5つ星パヴェ、セクター11・モン=サン=ペヴェル(3km)でファンアールトが猛然とペースを上げると、これに続いたのがファンデルプールとシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、フランス)。このパヴェを通過後にファンアールトはパンクしてバイク交換。また、先頭を走っていたモホリッチもメカトラでストップ。両者とも他の有力選手たちとともにファンデルプールやキュングに合流し、10人ほどの精鋭グループを形成した。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

思いがけず先頭に1人残ったトム・デヴリーント(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)を追って、モホリッチとイヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)がアタック。これをファンバーレが追いかけて、フィニッシュまで26kmを残したところで先頭は4人に。さらに3km進んだところで、ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)が動くと、ファンアールトとキュングも追随。かたや、ファンデルプールはどの動きにも対応できず後手に回る格好となる。

得意の独走に持ち込んだファンバーレ

打ち合いのムードが高まるレース後半。大きな局面は残り20kmでやってきた。セクター5・カンファナン=ペヴェル(1.8km、★★★★)でファンバーレが踏み込むと、モホリッチらを置き去りにして単独トップに立つ。この時点で、追走しているファンアールトらとは約40秒差。ファンバーレは、最後の5つ星パヴェのセクター4・カルフール・ド・ラルブル(2.1km)も力強く駆け抜けると、後ろとの差をさらに広げることに成功。1分近いリードを持って残り10kmに達して、独走ムードを高めていく。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

後ろでは、2番手を走っていたうちのランパールトがセクター2・ヴィレム~エム(1.4km、★★)で沿道のファンと接触し落車。これをかわしたモホリッチは背後に迫っていたファンアールトらと新たなパックを組んで、事実上の2位争いへ。何とかコースに戻ったランパールトだが、さらに後方を走るファンデルプールらにもパスされ、思わぬ形で上位戦線から脱落してしまった。

残すパヴェもトラブルなく走り抜いたファンバーレ。こうなったら、あとはフィニッシュへ急ぐのみ。大観衆の待つルーベのヴェロドロームへは、まさにウイニングライドとなった。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

終わってみれば、2位とは1分47秒差。得意とする独走で、終盤は完全に自分のペースで走ってみせたファンバーレ。近年はワンデーレースに強さを発揮し、昨年はドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝やロード世界選手権銀メダル。先日のロンド・ファン・フラーンデレンでも2位となり、今大会も有力視される1人だった。その見方に違わない快走で、クラシック最高峰のレースを勝ってみせた。

ファンバーレの歓喜に沸く中でやってきた2位争いは4人。ここはファンアールトがきっちり先着。レース前はコンディション不足を強調しアシスト専念と語っていたが、いざ走ってみればさすがの強さ。復帰戦を2位とまとめた。なお、3位にはキュングが入った。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

このほか、ファンデルプールは最終盤に失速して9位。初出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は落車による軽度の負傷で途中リタイア。最終的に完走は107人。ファンバーレから26分44秒遅れの選手までにリザルトが付き、その後フィニッシュへやってきた12人はタイムアウトとなった。

レース全体の平均時速は45.792km。大会史上最速の速さでスタート地コンピエーニュからルーベまでの257.5kmを走り切った。

パリ~ルーベ優勝 ディラン・ファンバーレ コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「自分のパフォーマンスに興奮している。ヴェロドロームに1人で入った時は最高の気分だった。このレースで1位になるなんて想像できなかったし、似たような経験もしたことがなかった。チーム無線からはこのレースを楽しめと何度も言われていて、実際にそのとおりに走った。

序盤から集中していた。風の影響で、ファンアールトらが後ろに取り残されていることもわかっていた。レース後半をどう走るかはアランベール次第だと思っていて、チームメートのクフィアトコフスキが私の走りを見て一番強いと言ってくれた。前を追う状況はとてもハードだったが、一番強いと信じて走り続けた。

パリ~ルーベは結局、己との戦いだ。良いポジションを確保、自分の走りにフォーカスするしかない。序盤から攻撃的な展開になるし、それがベストなレース方法であると私も思っている。勝負どころを前にライバルを振り切ることができるのは、私の大きな強みで、今日はそれが生かされた。

優勝トロフィーをどこに飾るかはまだ決めていない。自宅のどこかだろうけど、これだけ立派な石を置くには、それにふさわしいテーブルを探さないといけないね」

パリ~ルーベ2022 結果

1 ディラン・ファンバーレ(イネオス・グレナディアーズ、オランダ) 5:37’00”
2 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+1’47”
3 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
4 トム・デヴリーント(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)
5 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)
6 アドリアン・プティ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、フランス)+2’27”
7 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)ST
8 ローラン・ピション(チーム アルケア・サムシック、フランス)
9 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)+2’34”
10 イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+2’59”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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