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ウラソフが最終日山岳TTで大逆転! ロシア個人資格選手のワールドツアー優勝は初|ツール・ド・ロマンディ

UCIワールドツアーのステージレース「ツール・ド・ロマンディ」が4月26日から5月1日までの6日間、スイス西部で開催された。日替わりでヒーローが生まれた大会は、最終・第5ステージに設けられた山岳個人タイムトライアルで個人総合順位が大シャッフル。このステージで圧勝したアレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)が、スタート時の個人総合3位からの逆転でUCIワールドツアーでは自身初となるタイトルを獲得した。また、個人資格で走るロシア人選手としても初めてとなるビッグレース制覇になった。

大会終盤にボーラ勢が猛攻

大会はまず、ローザンヌでのプロローグ(5.1km個人タイムトライアル)で幕開け。オープニングウィナーとなったのは、イーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)。もちろん、今大会最初のリーダージャージ着用者となった。

ロードレースステージの始まりとなる第1ステージは、細かなアップダウンが待ち受ける187km。大集団で進んでいた終盤、フィニッシュまで14kmのタイミングで大規模なクラッシュが発生。これにヘイターが巻き込まれ、その後も集団復帰はならず。これでリーダージャージを手放すこととなる。これによって45人ほどまで人数が減った集団は、最大勾配11%の急坂で上りスプリント。前日2位だったローハン・デニス(ユンボ・ヴィスマ、オーストラリア)が飛び出したが、これを追ったディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)がフィニッシュ前で逆転。そのままステージ優勝を挙げた。リーダージャージは、2日連続2位のデニスへ。

落車で個人総合順位を落としたヘイターは、第2ステージで意地を見せた。約80人が一団となって最終局面を迎えると、最後はスプリント勝利。前日のクラッシュによる悪影響はほとんどなく、ここからポイント賞ジャージのキープへと切り替えていく。

5つの3級山岳を越えた第3ステージは、前線に生き残った人数こそ55人と前日より減ったが、最後はスプリント勝負に。ここはヘイターの連勝を許さなかった、パトリック・ベヴィン(イスラエル・プレミアテック、ニュージーランド)がUCIワールドツアーでは3年ぶりの勝利を挙げた。

第4ステージでボーラ・ハンスグローエ勢がワン・ツー © BORA – hansgrohe / Sprintcycling

ここまではデニスがリーダージャージをキープしてきたが、第4ステージでボーラ・ハンスグローエ勢が攻勢に転じる。レース距離180.1kmに1級山岳5つと2級山岳が1つ、さらに最後も上ってフィニッシュラインを迎える本格山岳ステージ。リーダーチームのユンボ・ヴィスマが集団をコントロールして終盤を迎えると、集団に残ったのは15人ほど。そのまま最終局面へと突入し、総合系ライダーによる上りスプリントとなる。ここを、早めの仕掛けで飛び出したセルヒオ・イギータ(コロンビア)がそのままトップの座を守ってステージ優勝。これに追随したウラソフが2位となり、ボーラ勢がワン・ツーフィニッシュ。デニスはこの2人から3秒差とまとめて、ジャージを保持したまま最終の山岳個人タイムトライアルへと向かった。

最終・第5ステージの山岳個人TTで圧勝したアレクサンドル・ウラソフ。逆転での個人総合優勝も手繰り寄せた © BORA – hansgrohe / Sprintcycling

そして最後の戦い。15.84kmをひたすら上るコースを一番時計で駆け抜けたのはウラソフ。個人総合上位陣が次々と好タイムをマークする中、ウラソフは2位に31秒差をつける圧勝劇。スタート時点で総合タイム差18秒で3位につけていたが、首位だったデニスが2分12秒遅れに沈んだこともあり、文句なしの逆転個人総合優勝を飾った。

ツール・ド・ロマンディ個人総合上位3選手。左から2位のジーノ・メーダー、優勝したアレクサンドル・ウラソフ、3位のシモン・ゲシュケ © BORA – hansgrohe / Sprintcycling

ウラソフはワールドツアー唯一のロシア個人資格選手

26歳のウラソフにとっては、これがうれしいUCIワールドツアーの初タイトル。昨年のパリ~ニースで個人総合2位、同年のジロ・デ・イタリアで個人総合4位に入るなど、この数年で総合系ライダーとして確たる地位を築いたが、大きなレースでの表彰台の頂点は経験がなかった。また、直近ではラ・フレーシュ・ワロンヌで3位入賞。クラシックレースでも結果を残し始めている。

現在個人資格で走っているアレクサンドル・ウラソフ © BORA – hansgrohe / Sprintcycling

また、ロシア個人資格選手としても初のビッグレース優勝になった。2月下旬から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、UCIではロシアならびにベラルーシに籍を置くチームはすべて資格停止になると同時に、両国どちらかのライセンスを持つ選手で他国籍のチーム所属の場合は、中立的な立場として国際レースへの出場が許可されている状況だ。

国際自転車連合がウクライナ人選手救済、スポーツ界に広がる影響|ロードレースジャーナル

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2022年03月05日

実質的には個人資格選手との扱いになり、国名・国旗・国コードは使用できない。これによって、レース中継であればテロップにロシアやベラルーシの国旗は載らず、空欄といった措置が講じられている。

ロシアならびにベラルーシの国旗掲載は不可となっている。したがって大会公式ウェブサイトのリザルトページも空欄になっている

UCIポイントの扱いも、今回の場合であればウラソフ個人にステージレース個人総合優勝による500ポイントが付与されるが(チーム内上位10選手の獲得分を合算するチームポイントにも有効)、ロード世界選手権の出場枠決定に関係する国別ランキングには反映されない。実際、UCIウェブサイト内のランキングページでも、事実上の順位こそ示されているものの、ロシアとベラルーシの国名は抹消されている。

プロローグで力走するアレクサンドル・ウラソフ © BORA – hansgrohe / Sprintcycling

なお、現時点でUCIワールドチームに所属して走るロシアの個人資格選手はウラソフのみ。パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)は先ごろ、両親の祖国であるロシアから自身が生まれ育ったフランスへとライセンスを変更している。

ツール・ド・ロマンディ2022 最終結果

1 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ) 18:00’59”
2 ジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)+0’50”
3 シモン・ゲシュケ(コフィディス、ドイツ)+0’55”
4 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+1’22”
5 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+1’47”
6 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+1’51”
7 ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+1’52”
8 ローハン・デニス(ユンボ・ヴィスマ、オーストラリア)+1’54”
9 ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+2’08”
10 エイネルアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、スペイン)+2’13”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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