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“逃げ職人”デヘントがステージ優勝、マチューやギルマイを振り切って逃げ切り|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリア第8ステージが現地5月14日に行われ、20人を超える逃げからレース後半に4人がステージ優勝争いへ。最後はトーマス・デヘント(ロット・スーダル、ベルギー)がスプリントを制してステージ優勝。ジロでは10年ぶりの勝ち星を挙げた。マリアローザを着るフアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)はメイン集団でレースを終えて、ジャージをキープしている。

逃げメンバー間の駆け引きを利用したデヘントの勝利

イタリア南部を進行中のプロトン。この日はナポリを発着する153km。細かい高低が連続するレイアウトで、主催者設定では丘陵ステージにカテゴライズ。フィニッシュ前10kmは下りと平坦、さらには鋭角コーナーとヘアピンコーナーが控えるテクニカルさ。このコースをいかに攻略するかが見ものとなった。

パレードスタート後、発着地点でいったんストップ。0kmスタートの形でレースが始まると、号砲と同時に6人がアタック。これをきっかけに続々と集団から飛び出す選手が現れ、その中にはマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エリトリア)らの姿も。ファンデルプールは先頭に合流後、さらにスピードを上げて独走を開始。前線を狙った選手たちが20人を超えたところで集団が落ち着き、1人先頭を走っていたファンデルプールも逃げというには大きなグループに位置することとなった。

©︎ LaPresse

21人でまとまった先頭グループの個人総合最上位は、ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)で4分6秒差の28位。マルタンの存在やグループ人数の多さからか、メイン集団も早いペースで進行し、タイム差はしばし2分前後で推移。この間に37.4km地点に置かれた1回目の中間スプリントポイントはギルマイが1位で通過している。

逃げる選手たちとメイン集団との構図は大きくは変わることなく進んだが、残り70kmを切って集団のペースが落ち着いたか、前との差は拡大傾向に。残り46kmでファンデルプールがアタックを試みると先頭グループは活性化し、その影響もあってかマルタンがバーチャルリーダーになろうかという状況も生まれた。

©︎ LaPresse

ファンデルプールが仕掛けて3kmほど進んだところで、ダヴィデ・ガッブロ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)がカウンターアタック。これにデヘント、シモーネ・ラヴァネッリ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ、イタリア)、ハルム・ファンハウケ(ロット・スーダル、ベルギー)、ホルヘ・アルカス(モビスター チーム、スペイン)が同乗。この後ラヴァネッリは後ろへ下がったが、うまく抜け出した4人がリードを奪って先を急ぐ。

一方、先頭合流を試みる第2グループはファンデルプールを中心に追走を図るも思惑が一致せず、その差は40秒ほどまで開く。残り25kmでマウロ・シュミット(クイックステップ・アルファヴィニル、スイス)のアタックでようやく追撃ムードが高まり、ここにファンデルプール、ギルマイ、マルタン、ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)がジョイン。少しずつながら先頭グループとの差を縮めていき、合流に望みをかける。

©︎ LaPresse

一時は先頭との差が4分以上まで開いたメイン集団は、リーダーチームのトレック・セガフレードがペースを上げてタイム差をコントロール。前線の逃げ切りを容認しながら、安全圏までその差を調整する。残り10kmに前後して個人総合2位につけるレナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)がアタックしたが、マリアローザのロペスがすぐにチェックしてジャージを奪われる危機を回避した。

先頭・追走両グループの駆け引きが焦点となった最終盤。逃げる4人に対し、追走グループは最後の下りでファンデルプールとギルマイが他を振り切って前を追いかける。残り2kmでその差は9秒。しかし、その差は変わらぬまま、前の4人がステージ優勝争いへと移った。

数的優位のロット・スーダルはファンハウケに牽引させて、デヘントで勝負。そして、フィニッシュ前200mでデヘントが加速。ガッブロ、アルカスも反応したが届かない。巧みにレースを展開したデヘントが、きっちりステージ優勝もモノにした。

©︎ LaPresse

出場するレースでは確実にインパクトある逃げで魅せるデヘントだが、ジロでの勝利はじつに10年ぶり。前回の勝利は山岳・ステルヴィオ峠での独走劇で、その勢いのまま個人総合でも3位入賞。年々逃げ職人としての走りが磨かれていて、今回も逃げ切りに持ち込むまでの展開や最終盤の勝負強さが光り、ファンハウケとのコンビネーションも成功した。

©︎ LaPresse

結果的にステージ15位までが逃げた選手たちで占められ、そのあとにメイン集団が3分33秒差でレースを完了。これにより、ロペスのマリアローザは変わらず。集団に対して3分リードしてステージを終えたマルタンが一気にジャンプアップし、総合タイム差1分6秒で4位へ浮上。一度は遅れた上位戦線へ復帰している。

第1週最終日の第9ステージは、今大会最初の5つ星デー。スタート直後から上りが始まり、立て続けに3つのカテゴリー山岳を登坂。中盤にいったん落ち着くとみられるが、後半に入ると1級山岳パッソ・ランチアーノ(登坂距離10.3km、平均勾配7.6%、最大勾配14%)を超えて、最後は1級のブロックハウス(13.6km、8.4%、14%)の頂上を目指す。ここ数日は静かだった個人総合争いが活況を迎え、マリアローザを狙う選手たちの形成が見えてくるはずだ。

ステージ優勝 トーマス・デヘント コメント

©︎ LaPresse

「これまでいくつかの勝利を挙げてきたが、ここ数年は逃げることが難しいと感じていた。今日が今年3回目の逃げだったが、ファンデルプールやギルマイといったメンバーに恵まれた。いつもは私がマークされる側だったが、今回はみんなが彼らの動きを見ていたので、それを利用しない手はないと思った。ここ2年は運が悪かったり、体調不良があったりしたが、今日のレースで私が勝てることを再び証明できた。

今日のコースは素晴らしく、ベルギー選手権のコースに近い印象を持った。このようなレイアウトをグランツールで採用するのは良いことだと思う。クラシックレースのような展開になって、予想が難しい魅力的なステージだった」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 フアン・ロペス コメント

©︎ LaPresse

「明日はマリアローザのために全力を尽くさないといけない。ジャージを守れれば最高だが、そうならなくても十分に幸せだ。

昨日と今日は、レナード・ケムナの動きに注意を払っていた。明日はどうなるか、走ってみて分かることだろう。シエラネバダでのトレーニングキャンプで、ジュリオ・チッコーネがブロックハウスの厳しさについて教えてくれたけど、本当にそのとおりなら驚くほどの上りだろうね」

ジロ・デ・イタリア2022 第8ステージ結果

ステージ結果

1 トーマス・デヘント(ロット・スーダル、ベルギー) 3’32’53”
2 ダヴィデ・ガッブロ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)ST
3 ホルヘ・アルカス(モビスター チーム、スペイン)
4 ハルム・ファンハウケ(ロット・スーダル、ベルギー)+0’04”
5 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エリトリア)+0’15”
6 マウロ・シュミット(クイックステップ・アルファヴィニル、スイス)ST
7 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)
8 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+0’33”
9 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)ST
10 ファビオ・フェリーネ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)+2’56”

個人総合時間賞(マリアローザ)

1 フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン) 32:15’31”
2 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+0’38”
3 レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)+0’58”
4 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+1’06”
5 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)+1’42”
6 マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+1’47”
7 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+1’55”
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+1’58”
9 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+2’00”
10 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+2’04”

ポイント賞(マリアチクラミーノ)

アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)

山岳賞(マリアアッズーラ)

クーン・ボウマン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)

ヤングライダー賞(マリアビアンカ)

フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)

チーム総合

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ

▼【保存版】ジロ・デ・イタリア2022スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2022

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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