BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

ヒンドレーが本格山岳制する。総合系ライダーの明暗分かれて順位が大シャッフル|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリアは第1週最後となる第9ステージ。今大会3つあるうちの1つ目となる最難関5つ星ステージで、5カ所のカテゴリー山岳を登頂。最後は1級山岳ブロックハウスの頂上にフィニッシュラインが設けられ、これをジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)が一番に上り切った。勝ったヒンドレーはジロでは通算2勝目。総合系ライダー6人のステージ優勝争いになった一方で、今大会の活躍が期待されていたサイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)やジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)らが脱落。個人総合順位も大きく落とし、事実上マリアローザ争いから姿を消した。なお、このステージを終えての個人総合首位はフアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)が守っている。

テンポで上ったヒンドレーが小集団スプリントで力を発揮

大会第1週を締めるのは、5つ星の本格山岳ステージ。イゼルニアからブロックハウスまでの191kmは、スタート直後から3級の上りが始まり、その後立て続けに2級、3級とクリア。長い下りをこなして、後半に入ると1級山岳パッソ・ランチアーノ(登坂距離10.3km、平均勾配7.6%、最大勾配14%)と1級のブロックハウス(13.6km、8.4%、14%)の連続登坂。獲得標高は5000mを優に超え、戦いはマリアローザを目指す選手たちが中心になるものと予想された。

リアルスタート直後からマシュー・ホームズ(ロット・スーダル、イギリス)やディエゴ・ローザ(エオーロ・コメタ、イタリア)らが抜け出し、逃げグループを形成。最初の3級山岳をホームズが1位通過してからは、ローザが積極的に動いて2つの2級山岳を1番に走り抜いている。

©︎ LaPresse

アタックした選手たちを容認したメイン集団は、ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)が落車するなど、落ち着くまでに時間を要したものの、前を行く選手たちとの差を5分程度で保って進行。イネオス・グレナディアーズが主にペーシングを担って、残り距離を着々と減らしていった。

前半のカテゴリー山岳連続登坂を終えてからは、一時的に飛び出していたローザに8選手が合流。しばらくはこの形成のまま進んだが、パッソ・ランチアーノを前にナンス・ペテルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)がスピードアップを図り、これをナトナエル・テスファツィオン(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ、エリトリア)がチェック。さらにテスファツィオンのチームメート、エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン)、ローザの順に追いつくと、そのまま先頭に立ったローザにテスファツィオンがついていき、前線の状況が目まぐるしく変化した。

ローザはテスファツィオンを引き連れる格好でパッソ・ランチアーノを1位通過。この日だけで山岳ポイントを80点稼いで、フィニッシュできれば山岳賞のマリアアッズーラに袖を通せる状況を作った。直後の下りではテスファツィオンを置き去りにして、単独先頭に。テスファツィオンは下り途中でコーナーを曲がれずコースアウト。再び走り出すことはできたものの、逃げメンバーからは完全に姿を消した。

©︎ LaPresse

下りを終えて、最後の上りとなるブロックハウスへ向かう道で、追走していたペテルスとジョセフロイド・ドンブロウスキー(アスタナ・カザクスタン チーム、アメリカ)がローザに合流。勢いのままドンブロウスキーがローザとペテルスを引き離して単独先頭に立ったが、この頃にはメイン集団が逃げていた選手たちを射程圏に捉えており、残り16kmまでに先行していた選手たちを全員キャッチ。ブロックハウスを目前に、レースをふりだしに戻した。

いよいよやってきた、この日最終登坂のブロックハウス。上りに入ってすぐに個人総合6位のマウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)が後退。タイミングを同じくしてチッコーネも後方へ。さらにはイェーツもずるずると後ろへ。第4ステージでの落車で右ヒザを痛めたとの情報が出ており、その影響が多分にあることをうかがわせた。

©︎ LaPresse

依然続くイネオス勢の牽引で、クーン・ボウマン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)やビルバオも脱落。集団の人数が絞られていく中、マリアローザのロペスら数人が接触するアクシデント。これでペダルから足を離してしまったロペスは、何とか立て直したものの集団から少しずつ遅れていってしまう。

©︎ LaPresse

最も勾配が厳しくなるフィニッシュ前4.6kmで満を持して腰を上げたのは、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)。ここにロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)、ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)がついて、3人が先行を開始。ヒンドレーやジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、イタリア)がパックを組んで追走。この中に一度は加わったヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)は徐々に差をつけられていく。

先頭の3人は攻めの姿勢を崩さず突き進むが、追走の3人もテンポで少しずつ差を縮めていく。そして、残り2.2kmで合流。直後にバルデが仕掛けて再びランダとカラパスが続いたが、冷静に対処したヒンドレーらが残り800mで再合流。6人がまとまって、ブロックハウスの頂上に姿を現した。

©︎ LaPresse

最終局面で先頭に出たのはヒンドレー。最後のコーナーを抜けると、フィニッシュラインへは緩やかな上り基調。6人によるスプリントになり、ヒンドレーがトップを守り切ってステージ優勝。バルデとカラパスが迫ったが、ヒンドレーを追い抜くところまではいかず、それぞれ2位と3位で終えた。

勝ったヒンドレーは、2020年大会の第18ステージ以来となるステージ勝利。このときは最終的に個人総合2位に躍進し、今年はそれ以上の成績を目指してジロへ乗り込んでいる。ダブルリーダー体制を敷く予定だったウィルコ・ケルデルマン(オランダ)がこの日大きく遅れたことで、チームとしてこの先はヒンドレーでマリアローザを目指していくことになりそう。エマヌエル・ブッフマン(ドイツ)も好位置につけており、ケルデルマンの失速を差し引いてもチーム状態はよさそうだ。

©︎ LaPresse

上りでアクシデントに見舞われたロペスだったが、最終盤も粘ってヒンドレーから1分46秒差でフィニッシュ。これまでの貯金が生きて、マリアローザを守ることに成功している。

これらの結果から、個人総合順位は大シャッフル。トップのロペスから12秒差の2位にアルメイダが浮上。同14秒差でバルデが3位、同15秒差でカラパスが4位となり、ステージ優勝のヒンドレーは同20秒差の5位につけた。一方で、チッコーネやケルデルマン、イェーツは10分以上の遅れとなり、マリアローザ争いの観点からは実質の終戦。総合系ライダーの明暗が分かれた1日となった。

16日は休息日でレースはお休み。17日から第2週が始まり、ペスカーラからイェージまでの196kmによる第10ステージが行われる。前半はフラット、後半は丘陵地帯を走行する二面性のあるコースレイアウト。逃げが容認されるか、集団がまとまってフィニッシュへとやってくるか、あらゆる可能性が想定されるステージといえる。

ステージ優勝 ジャイ・ヒンドレー コメント

©︎ LaPresse

「久々の勝利。このレベルまで戻ることができうれしい。昨年はとても厳しいシーズンで、体調不良や落車で苦しんだ。前回のジロもサドル痛でリタイアしている。アマチュア時代にアブルッツォで6カ月間過ごしたときにパッソ・ランチャーノを何度も越えていたので、その場所で勝つことができて最高の気分だ。

今日はベストコンディションではなかったのでテンポで上ったが、アルメイダもおそらく同じ状況だったのだと思う。彼はうまく走っていて、私はただ生き残ろうと必死だった。チームとしては3人のリーダーがいて、みんな高い野心をもって走っている。誰が一番手なのかは、まだはっきりしていない」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 フアン・ロペス コメント

©︎ LaPresse

「残り8kmでコースアウトしかけてしまって、それからは集中して走ることを心掛けた。テンポを刻みながら、マリアローザを守るためにプッシュした。調子は良かったが、今日は運がなかった。ただ、ジャージを守ることができたのでいまは満足している」

ジロ・デ・イタリア2022 第9ステージ結果

ステージ結果

1 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア) 5’34’44”
2 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)ST
3 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)
4 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)
5 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、イタリア)+0’03”
7 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+0’16”
8 ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)+0’34”
9 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)+0’46”
10 テイメン・アレンスマン(チーム ディーエスエム、オランダ)+0’58”

個人総合時間賞(マリアローザ)

1 フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン) 37:52’01”
2 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+0’12”
3 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+0’14”
4 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+0’15”
5 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+0’20”
6 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+0’28”
7 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+0’29”
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、イタリア)+0’54”
9 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’09”
10 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+1’22”

ポイント賞(マリアチクラミーノ)

アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)

山岳賞(マリアアッズーラ)

ディエゴ・ローザ(エオーロ・コメタ、イタリア)

ヤングライダー賞(マリアビアンカ)

フアン・ロペス(トレック・セガフレード、スペイン)

チーム総合

ボーラ・ハンスグローエ

▼【保存版】ジロ・デ・イタリア2022スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2022

 

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load