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4度目の正直! 奇襲から放たれたワウトが最後の11kmを逃げ切り勝利|ツール・ド・フランス

世界最大のロードレース、ツール・ド・フランスは現地7月5日からレースを再開。第4ステージが行われ、フィニッシュ前11kmに設けられた4級山岳で奇襲を仕掛けたユンボ・ヴィスマから、最後はマイヨジョーヌを着るワウト・ファンアールト(ベルギー)がアタック。最終盤を独走し、鮮やかに逃げ切った。これでツール通算7勝目。今大会は第1ステージから3連続で2位に終わっており、「4度目の正直」を果たす格好になった。

パリ~ニース第1ステージを想起させる奇襲攻撃を成功させたユンボ・ヴィスマ

ツールは初の北欧開催だったデンマークでの3ステージを終えて、前日4日は移動日に設定。選手・チームスタッフ・関係者が大移動を実行した。再開となるレースは、フランス北部、北海沿岸のダンケルクとカレーを結ぶ171.5kmで争われた。両都市は直線距離にすると50kmほどだが、このステージでは内陸部を時計回りに走って、ドーバー海峡のフランス側玄関口のカレーに到達する。途中、4級山岳が6カ所待ち受けるほか、全体的に細かな変化が多いレイアウト。主催者も丘陵コースにカテゴライズしており、現地ではスプリンターでも対応できるか否かで見方は二分。また、北海からの風が1日を通して変化しがちで、レース終盤は横風や追い風となることが予測された。

この日はレースを前に、3日にコペンハーゲンのショッピングモールで発生した銃撃事件の被害者を悼み、1分間の拍手がささげられた。ツールを華やかに開幕させた直後の事件は、犠牲者が発生し、当初予定されていた国際的イベントが中止されるなど、街の雰囲気を一変させた。

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

ニュートラル区間を走行したのちリアルスタートが切られると、アントニー・ペレス(コフィディス、フランス)がファーストアタック。これを、今大会の“逃げ職人”マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)が追随。そのまま2人逃げとなった。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

2人を容認したメイン集団はペースコントロールを急がなかったこともあり、50km地点では5分以上の差に。タイム差はさらに広がって、フィニッシュまで90kmを残したところでこの日最大の7分15秒差まで広がった。この間に、先頭の2人は山岳ポイントを争ったが、いずれもコルトが先着。ここまで4級山岳でコツコツとポイントを積み重ねているコルトだが、このステージでも山岳賞のマイヨアポワのキープが濃厚な情勢とした。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

また、63km地点に置かれた中間スプリントポイントは、先頭2人のあと6分45秒おいてメイン集団が到達。ファンアールトの代役でポイント賞のマイヨヴェールを着るファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)が全体の3位通過とし、ファンアールト、ミケル・モルコフ(クイックステップ・アルファヴィニル、デンマーク)、ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)と続いた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

山岳ポイント貯金のコルトは、この日5つ目の4級山岳を通過したところで集団に戻ることを選択。フィニッシュまで45kmとして、先頭はペレスひとりになった。

かたや、メイン集団もこの頃にはペースが上がっており、各チームが隊列を編成してポジショニングを活性化。残り25kmでペレスと55秒差となってからは、ペースをコントロールしながら、この日最後の4級山岳となるコート・ドゥ・キャップ・ブランネへと向かった。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

レースが大きく動いたのは、そのコート・ドゥ・キャップ・プランネだった。イネオス・グレナディアーズの牽引で上りに入ったが、すかさずユンボ・ヴィスマが主導権を奪う。すると、ネイサン・ファンホーイドンクとティシュ・ベノート(ともにベルギー)が猛然とペースアップ。これで集団のいたるところで中切れが発生すると、最前線に残ったのはファンアールト、アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)の3人だけに。この間にひとり先頭で粘っていたペレスもパスし、頂上が見えてきたところで後ろの状況を確認したファンアールトがアタック。そのまま下りへと入って、後続との差を広げにかかった。

下りから最終盤の平坦区間にかけて、脱落した一部選手をのぞいてメイン集団はひとつに。30秒ほどの差でファンアールトを追うが、完全に勢いづいたマイヨジョーヌを捕まえるにはタイム差も、残り距離も足らず。

チーム戦術の奇襲を成功させ、満を持して発射されたファンアールトは、単独でカレーのフィニッシュへとやってきた。ここまでの3ステージはすべて2位。マイヨジョーヌこそ着ているものの、ステージ優勝にもフォーカスして走り、狙いどおりの勝利。最後は鳥が羽ばたくようなパフォーマンスでウイニングセレブレーション。鮮やかに逃げ切りを決めた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

ファンアールトの歓喜から8秒後。メイン集団がスプリントで上位争い。ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が先着し、ステージ2位。その脇から伸びてきたクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス)が3位に続いた。

個人総合では順位の大幅な変動はなかったものの、ファンアールトが2位以下へのリードを拡大。イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)との差を25秒とした。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

翌6日に行われる第5ステージは、大会前半のヤマ場の1つ。リール・メトロポールからアランベール・ポルト・ドゥ・エノーまでの153.7kmには、北のクラシックを彷彿とさせるパヴェ(石畳)が総距離19.4km・全11セクションにわたって待ち受ける。フィニッシュ前約74kmからはパヴェセクションが断続的に表れ、最終セクションはフィニッシュ前約7km。天気予報は晴れで、砂塵が舞う中でのレースとなりそうだ。

ステージ優勝、マイヨジョーヌ、マイヨヴェール ワウト・ファンアールト コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「負けるリスクを冒したくなかったので、チームで仕掛けるべきだと思った。ネイサン(ファンホーイドンク)とステフェン(クライスヴァイク)が良い位置に引き上げてくれて、さらにネイサンはペースアップも試みてくれた。チームからの無線で集団が崩れていると聞かされたので、思い切ってトライすることに決めた。ヨナス(ヴィンゲゴー)とアダム(イェーツ)と3人で逃げるべきか悩んだが、残り10kmだったのでひとりで行ってみようと決めた。

マイヨジョーヌは翼を与えてくれる。今日の上りはタフだったが何もしていなければスプリント勝負になっていたと思う。でも、独走で勝つことができた。これは本当にチームメートのおかげで、今日勝てるかどうかは自分次第だった」

ツール・ド・フランス2022 第4ステージ結果

ステージ結果

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 4:01’36”
2 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)+0’08”
3 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ、フランス)ST
4 アレクサンダー・クリストフ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)
5 ペテル・サガン(トタルエナジーズ、スロバキア)
6 ルーカ・モッツァート(B&Bホテルズ・カテエム、イタリア)
7 ダニー・ファンポッペル(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)
8 ユーゴ・オフステテール(チーム アルケア・サムシック、フランス)
9 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)
10 バンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 13:02’43”
2 イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+0’25”
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’32”
4 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)+0’36”
5 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)+0’38”
6 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’40”
7 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’41”
8 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’48”
9 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)ST
10 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’49”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

ユンボ・ヴィスマ 39:09’52”

 

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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