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“ミニ・パリ~ルーベ”は逃げ切りでクラーク勝利 ポガチャルがタイムを稼ぐ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは第5ステージを現地7月6日に行い、春のクラシック「パリ~ルーベ」並みのパヴェを先行した4選手がそのまま逃げ切り。最後はサイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア)が競り合いを制した。個人総合首位の証であるマイヨジョーヌはワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が守ったものの、自身の落車やトラブルで遅れたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)の引き上げに力を使う1日だった。一方で、大会3連覇を狙うタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)はパヴェで攻撃し、メイン集団から先着。総合争いのライバルに対しアドバンテージを広げている。

クラークが所属チームなしの危機を乗り越えてツール勝利 ポガチャルはライバルからタイムを奪う

大会はフランス北部を進行中。この日はリール・メトロポールからアランベール・ポルト・ドゥ・エノーまでの153.7kmに設定された。主催者発表では丘陵ステージとされるが、それ以上に大きな意味を持つのが全11セクション・総距離19.4kmのパヴェ(石畳)。イメージに違わず、現地では“ミニ・パリ~ルーベ”と称して大注目のステージに挙げられる。レース半ばの80km地点からセクションが始まり、以降断続的にパヴェを通過する。最後のセクターはフィニッシュ前7km。序盤戦のヤマ場であり、この先のマイヨジョーヌ争いを見据える選手たちは、絶対にタイムを失いたくないステージだ。ちなみに、フィニッシュ地はアランベール・ポルト・ドゥ・エノーだが、パリ~ルーベ名物パヴェの「アランベール」はコースに含まれない。

今大会きっての“特殊ステージ”とあり、大多数のチームがタイヤサイズ30Cを選択。クイックステップ・アルファヴィニルやボーラ・ハンスグローエに至っては、32Cをチョイスするケースも見られる。荒れた路面での振動を想定し、ハンドルバーを厚く巻くバイクも数多い。ちなみに、パリ~ルーベ時に話題になったチーム ディーエスエムの自動タイヤ空気圧システムは、今回も採用見送りになっている。

Photo: Syunsuke FUKUMITSU

緊張の中始まったレースは、ここまで毎ステージ逃げ続けているマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)がまたも動いた。山岳賞争いでトップに立つが、この日は山岳ポイントがないにもかかわらず集団からアタック。これを追った選手たちが固まり、6人の逃げグループとなった。

先行したのはコルトのほか、クラーク、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ、ノルウェー)、タコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、オランダ)、ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)、アレクシー・グジャール(B&Bホテルズ・カテエム、フランス)。3分前後のリードを得て、レースを先導した。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

37.2km地点で迎えた中間スプリントポイントは、ファンデルホールンが1位通過。2分40秒差で集団が到達し、繰り上げでポイント賞のマイヨヴェールを着るファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)が先着。全体の7位でで通過した。ファンアールトがこれに続いている。

最初の1時間を時速50km超とハイペースで進行する中、集団でトラブルが発生した。残り100kmを切った直後に、マイヨジョーヌのファンアールトがコーナーで落車。すぐに起き上がって走り出したが、引き上げ役のステフェン・クライスヴァイク(オランダ)と話し込んでいたところで他チームの車両と軽く接触。タイミングを同じくしてメイン集団がパヴェに向かってスピードを上げていたこともあり、ファンアールトは復帰後も前方へポジションを戻すのに苦労した。

先頭6人は3分ほどのリードを守ってパヴェセクションへ。淡々とこなしていく彼らの一方で、メイン集団では慌ただしい状態が続く。パヴェに入る直前でペテル・サガン(スロバキア、トタルエナジーズ)ら数人が落車。その後も集団内の各所で接触やバランスを崩す選手が現れ、パヴェだけでなく道幅の狭さもレースをテクニカルにする。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

セクションが変わるたびにメイン集団を引っ張るチームが変わる中、総合系ライダーではベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)がメカトラで足止め。また、ファンアールトのクラッシュがありながらも何とか立ち回ってきたユンボ・ヴィスマも、セクター7・オーベルシクール~エメルシクール(難易度3、1300m)の通過直後にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)がバイクトラブル。アシストのバイクを受け取って走り出すもサイズが合わず、さらにはチームカーが追いつくまでに時間がかかり集団から遅れをとる。この直前にファンアールトもポジションを下げていたこともあり、ここはヴィンゲゴーの集団復帰を目指すためにアシストに回った。

ユンボ勢の受難はこれだけにとどまらず、セクター5を前にした残り30kmでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がカレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)やジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)らとクラッシュ。ラウンドアバウトに置かれたクッション材にカメラモトが接触し、コース内に飛ばされたことで避けきれなかった選手たちが地面に叩きつけられてしまった。これでログリッチは左肩を脱臼。みずから肩を戻していたことからコース復帰に時間を要し、ヴィンゲゴーらのグループからも差がついてしまった。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

一方で、快調にレースを進めたのはヤングライダー賞のマイヨヴェールを着るポガチャル。パヴェスペシャリストに引けを取らない攻めの姿勢で、石畳をグイグイと進んでいく。そして、今回のセクション中最も難易度が高い4つ星のセクション3・ティヨワ=レ=マルシエンヌ~サール=エ=ロジエールで、ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)とともに集団から抜け出した。

逃げる選手たちに合流してステージ優勝争いに加わりたいストゥイヴェンと、総合争いのライバルからリードを奪いたいポガチャルとで利害が一致したこともあり、2人は集団に対しタイム差を広げていく。メイン集団の後ろでは、ファンアールトやヴィンゲゴー、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)らが大きなグループを形成。ユンボとイネオスのアシスト陣が共闘し、何とかメイン集団への合流に成功した。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

目まぐるしく情勢が変動したメインプロトンを尻目に、先頭グループはペースを落とすことなく逃げ切りの可能性を広げる。残り10kmを切ったところで、ストゥイヴェンとポガチャルに対して50秒差。最終局面までにグジャールとコルトを切り離して、4選手がステージ優勝争いへと移った。

残り2kmを切るまで先頭交代を続けた先頭グループだが、最後の1kmを目前にポーレスが一番にアタックしたことで状況が一変。牽制でボアッソンハーゲンひとりが追走に釣り出される形になり、ポーレスに追いついたものの勢いはそこまで。残り250mでファンデルホールンがスプリントを開始すると、競ったのはクラークだった。

消耗戦の最後は両者一歩も引かないマッチスプリント。タイヤ1本分の差でクラークが先着した。35歳のクラークは、これまでブエルタ・ア・エスパーニャでのステージ優勝や山岳賞獲得のほか、ジロ・デ・イタリアのマリア・ローザ着用、クラシックレースでの上位入賞などの実績を誇るが、ツールはこれが初勝利。レース直後は喜びを表せないほどに力を出し切った様子を見せたが、落ち着いたところでキャリア最大級の勝利に笑顔を振りまいた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

クラークから51秒後。メイン集団の追い上げをかわしたストゥイヴェンとポガチャルがフィニッシュへ。その13秒後にメイン集団が到達した。

これらの結果から、辛くもメイン集団でレースを終えたファンアールトが前日までの貯金を生かしてマイヨジョーヌを守った。ステージ4位のポーレスが急浮上し、総合タイム差13秒で2位に。ボアッソンハーゲンも同14秒差の3位に上げている。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

今後のマイヨジョーヌ争いを見据えるうえでは、ポガチャルのポールポジションは変わらず、さらにライバルからタイムを稼ぎ出すことに成功。現状では、ファンアールトから19秒差の個人総合4位。総合系ライダーの多くがメイン集団でこのステージをクリアしたが、ログリッチやアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)が集団に戻れず、クラークから2分59秒差でのフィニッシュ。前回個人総合4位のオコーナーはさらに遅れて、4分12秒で終えている。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

激動の1日は、有力選手間に明暗が生まれる結果になった。優位に立った選手、巻き返しを図りたい選手、ともに今後どのようにレースを組み立てていくかが見ものとなる。翌7日は、第6ステージとしてバンシュからロンウィーまでの219.9kmに設定される。今大会の最長ステージで、会期中3カ国目となるベルギーを出発。レース前半でフランスへと戻って、3級と4級合わせて3つのカテゴリー山岳を通過する。そして、フィニッシュ地ロンウィーへの1.6kmの上りは中腹で最大勾配11%。直前の3級山岳と合わせて、急斜面をプロトンが駆け上がっていく。

 

ステージ優勝 サイモン・クラーク コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「冬になっても所属チームがなく、イスラエル・プレミアテックから電話があったのは年が明けてからだった。チャンスを与えてもらって、今日こそそれが正しいものであると証明する日でもあった。ツールが開幕してから数日間はチームメートのケアに集中していたが、今朝チームディレクターからブエルタでのステージ優勝やジロで着用したマリアローザは第1週の出来事だったと聞かされた。それを思い出して、今日は再現したいと感じていた。

でもこの結果はやっぱり信じられない。タコ(ファンデルホールン)をかわしたのは、フィニッシュまで50mを切っていたと思う。他の選手が先に仕掛けて消耗するのを待つ戦法は、ブエルタで勝ったときも同じだったと思う。エドヴァルド(ボアッソンハーゲン)を追うのは本当に大変で、最終コーナーからフィニッシュまで全力で踏んでいるような状況だった。

16歳のときにヨーロッパで活動を始めて、今大会2回目の休息日に36歳になる。20年やってきて、ついに夢がかなうよ。オーストラリアにいるみんな、応援してくれてありがとう!」

マイヨジョーヌ、マイヨヴェール ワウト・ファンアールト コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「集団前方はリスクが大きかった。道幅が狭く危険で、小さな村や道路脇のクッションやバリケードをかわしながら走らないといけなかった。危険を冒したくなかったので、タイミングが来るまでは集団後方に位置していた。落車したのは前へ上がろうとしていたときで、集団内でパヴェをこなす自信を失ってしまった。1日中追うレースを続けてしまい、チームメートに申し訳ない気持ちだ。ユンボ・ヴィスマにとっても望まない日になってしまった。

ここからは気持ちを切り替えるほかない。ヨナス(ヴィンゲゴー)の総合成績にダメージがなかったことが何よりの救いだ。彼のためにみんなで前を追った仕事は誇りに思っている。同時に、マイヨジョーヌをキープしたと聞いてとても驚いた。レース終盤はジャージを失ったと思いながら走っていたけど、イエローでベルギーに行けるとあっていまはうれしい気持ちだ」

ツール・ド・フランス2022 第5ステージ結果

ステージ結果

1 サイモン・クラーク(イスラエル・プレミアテック、オーストラリア) 3:13’35”
2 タコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、オランダ)ST
3 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ、ノルウェー)+0’02”
4 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)+0’04”
5 マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)+0’30”
6 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)+0’51”
7 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)ST
8 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)+1’04”
9 ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル、オランダ)ST
10 ルーカ・モッツァート(B&Bホテルズ・カテエム、イタリア)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 16:17’22”
2 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)+0’13”
3 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ、ノルウェー)+0’14”
4 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’19”
5 イヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)+0’25”
6 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)+0’36”
7 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’40”
8 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’48”
9 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’49”
10 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)+0’50”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 48:54’18”

 

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

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2022年07月01日

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福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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