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ヒーリーが50km独走勝利、ログラのアタックで総合勢に変動|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリア2023は現地5月13日に第8ステージを実施。序盤からハイスピードの展開となったレースは、逃げでレースを進めたベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)がフィニッシュ前50kmで独走に持ち込み、そのままステージ優勝。キャリア初となるグランツールでの勝利を挙げた。総合系ライダーにも動きがあり、終盤の急坂区間でアタックしたプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)にテイオ・ゲイガンハートとゲラント・トーマスのイネオス・グレナディアーズ勢が加わり、アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)やレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)に先着。レックネスンのマリア・ローザは変わらずも、個人総合順位にシャッフルが生じている。

アベレージ43.671km/hのハイスピードレースに

イタリア半島を北上中のプロトン。前日に続く200km超えのステージは、急坂区間が連続する終盤がポイントに。最大勾配19%の4級山岳イ・カップッチーニ(登坂距離2.8km、平均勾配7.9%)を上り、一度フィニッシュ地フォッソンブローネを通過したら、同じく18%の2級山岳モンテ・デッレ・チェザーネ(7.8km、6.5%)へ。その後は下りと平坦を経て、残り10kmを切ったところから再びイ・カップッチーニを登坂。この頂上に達するとフィニッシュまでは約6km。最終盤はフィニッシュをめがけてのダウンヒルが待つ。レース距離は207km。

スタートを前に、ラルス・ファンデンベルフ(グルパマ・エフデジ、オランダ)とフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)の未出走が明らかに。ガンナは前日のステージから体調が悪く、検査の結果、新型コロナウイルス感染が判明。タイムトライアルステージやトーマスらのアシストに期待がかかっていたが、ここで大会を離脱することとなった。

167人がスタートしたレースは、早くからアタックの応酬となり、一時20人ほどが先行した局面ではマリア・ローザのレックネスンがみずからチェックに動く。同様にレムコもブリッジを試みるなど、序盤から出入りの激しいものとなる。

©️ LaPresse

スタートから12kmでヒーリー、オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)、デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)、カルロス・ベローナ(モビスター チーム、スペイン)が先行。少しおいてトムス・スクインシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)が単独で先頭に合流するが、メイン集団もハイペースで進んでおり、5人のリードは15秒ほどで推移。たびたび集団からアタックする選手が現れては引き戻される流れが続き、そのまま47.9km地点に設置された1回目の中間スプリントポイントへ。先頭の4人は争うことなく通過するが、集団からはマリア・チクラミーノを着るジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)がマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)と競って先着。ポイント賞争いで得点を伸ばしている。

逃げ続ける4人を集団が追いかける状況は60km以上続いたが、フィリッポ・ザナ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)、サムエーレ・バティステッラ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)、フランソワ・ビダール(コフィディス、フランス)、マッティア・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア)、アレッサンドロ・トネッリ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)、アレッサンドロ・イアッキ(チーム コラテック・セッレイタリア、イタリア)の6人が追走パックを組んだところで集団は動きを制御。それをすり抜けたワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)とオスカル・リースビーク(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)までが逃げを許され、フィニッシュまで約125kmで13人による先頭グループが形成された。

ようやく落ち着いたメイン集団は、リーダーチームのチーム ディーエスエムがコントロールして、前との差を5分ほどまで容認。急坂が連続する丘陵区間を前にタイム差の調整を進め、他チームも隊列を組んで少しずつ前へ上がってくる。

©️ LaPresse

快調に飛ばす先頭グループは、1回目のイ・カップッチーニへ。この上りの最も勾配の厳しいポイントで動いたのはヒーリー。アタック一発であっという間に逃げメンバーとの差を広げ、単独先頭で頂上を通過。直後の下りで後ろを待つことはせず、独走態勢を築いていく。低いバイクポジションを保ってフィニッシュ地フォッソンブローネを通過して、2級山岳モンテ・デッレ・チェザーネに向かう。追走を強いられた残りの選手たちは、ザナのアタックで分裂し、ジー、バイス、ベローナ、バルギルを加えた5人に絞られる。

2級の上りもヒーリーは問題なくクリアし、追走5人との差は1分50秒近くまで広げる。メイン集団とは5分30秒の開きがあり、逃げ切りが見えてきた。その後の平坦区間も好ペースを維持し、2回目のイ・カップッチーニでは急坂区間に集まった大観衆の声援を受けながらクライミング。ペダリングに衰えはなく、独走でのステージ優勝は決定的になった。

今年大ブレイクのヒーリーが追走を振り切り単独優勝

©️ LaPresse

十分なリードを得たヒーリーは、最後の50.3kmをひとり旅。プロ2年目の今季は大ブレイクを遂げ、アルデンヌクラシックでアムステル・ゴールドレース2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュで4位の脚は伊達ではないことをアピール。今シーズン3勝目は、キャリアを通じて初めてとなるグランツールでのステージ優勝となった。スタートからフィニッシュまでの平均スピード43.671km/hは、ジロにおいて200kmを超えるステージで史上5番目の速さでもあった。

©️ LaPresse

逃げ残りの選手たちが次々とフィニッシュへ到達する後ろでは、メイン集団にも大きな変化が起きていた。2回目のイ・カップッチーニの入口でポジションを上げたログリッチがアタック。これをレックネスン、レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)がチェック。反応が少し遅れたレムコも少しずつ追い上げてレックネスンに追いつくと、ログリッチまで数メートルまで迫る。しかし、ログリッチは頂上を目前にもう一段階ペースアップ。離されたレムコは、テンポで追っていたゲイガンハートとトーマスにもかわされる。

©️ LaPresse

頂上でゲイガンハートがログリッチに追いつくと、その後の下りでトーマスも合流。総合系のライバルからタイムを奪いたい3人が利害を一致させ、フィニッシュへと急ぐ。後続は数人ずつのパックが10~20秒の間隔でログリッチらを追うが、下りでの合流は難しくフィニッシュまで形勢は変化せず。

ヒーリーから4分34秒差でゲイガンハート、ログリッチ、トーマスがフィニッシュ。その14秒後にレムコ、ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)ら、さらに20秒差でレックネスンやケムナらが走り終えた。

©️ LaPresse

これらの結果から、レックネスンがマリア・ローザを守ったものの、レムコとの総合タイム差は8秒に。38秒差の3位にログリッチが浮上し、40秒差の4位にアルメイダがつける。好走のイネオス・グレナディアーズ勢もトーマスが52秒差の5位、ゲイガンハートが56秒差の6位に順位を上げている。

©️ LaPresse

総合系ライダーたちの動きはさらに加速度をアップさせる。14日に行われる第9ステージは、35kmの個人タイムトライアル。ほぼオールフラットと言えるレイアウトで、予想されるアベレージスピードは52~56km。マリア・ローザ争いにおける大会前半戦のヤマ場で、ここでのタイム差をもって第2週へと向かうことになる。このステージを終えると大会1回目の休息日だ。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は24分53秒差のグルペットで走り終え、ステージ123位。次のタイムトライアルはセーフティに走って、第2週へとつなげることだろう。

ステージ優勝 ベン・ヒーリー コメント

©️ LaPresse

「シーズンインから全力で走り続けてきた。アルデンヌクラシック後に休養して今大会に臨むのは賭けでもあったが、気分的にはフレッシュだった。クラシック時のような走りはできていないが、今日は勝てるだけの脚はあった。当初の目標は第4ステージで勝ってマリア・ローザを着ることだったが、それを逃してからはこのステージに気持ちを切り替えていた。最後の上りは2分のリードを持っていたが、観客の応援が後押しになった。イタリアでのレースはいつも楽しんでいる。今日は独走に持ち込みたいと思っていたし、こうした勝ち方が一番の理想でもある」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 アンドレアス・レックネスン コメント

©️ LaPresse

「どんなレースになるのか想像できなかったが、うまく乗り切れた。最後の上りは本当に苦しかったが、ジャージを守ることができてホッとしている。明日負けてしまうかもしれないが、ここまで素晴らしいレースができた。最後の上りはペースをコントロールできればレムコと同じグループで走れたかもしれないが、トライするべきだと思った。そのことに後悔はないし、どれだけやれるかが分かって満足している。今大会は逃げた選手が活躍しているが、私も大会前は逃げでチャンスを得たいと思っていた。いまのところ総合成績は意識しておらず、マリア・ローザを手放すことになればステージ優勝狙いに切り替えるつもりだ」

ジロ・デ・イタリア2023 第8ステージ結果

ステージ結果

1 ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド) 4:44’24”
2 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+1’49”
3 フィリッポ・ザナ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)ST
4 ワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック、フランス)
5 カルロス・ベローナ(モビスター チーム、スペイン)+2’12”
6 マッティア・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア)+2’37”
7 トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)+3’51”
8 アレッサンドロ・トネッリ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)+3’56”
9 オスカル・リースビーク(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)+4’00”
10 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+4’34”
123 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+24’53”

個人総合時間賞(マリア・ローザ)

1 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー) 33:52’10”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’08”
3 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’38”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+0’40”
5 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’52”
6 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’56”
7 オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+0’58”
8 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+1’26”
9 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+1’39”
10 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’54”
155 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1:48’04”

ポイント賞(マリア・チクラミーノ)

ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

山岳賞(マリア・アッズーラ)

ダヴィデ・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア)

ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 101:38’51”

▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2023

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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