BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

初の山岳はダヴィデ・バイスが逃げ切り勝利、総合成績に変化なし|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリア2023の第7ステージが現地5月12日に行われ、今大会最初となる本格山岳コースでダヴィデ・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア)が逃げ切り勝利。200km以上レースを先行した3人による争いを制して、プロ初勝利を挙げた。個人総合上位陣を含んだメイン集団はバイスらの逃げを容認し、一団のままステージを完了。アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)がマリア・ローザを守っている。

長距離逃げを得意とするバイスがプロ初勝利をジロで決める

イタリア半島の南部を走ってきたプロトンは、このステージから本格的に北上を始める。この日は中盤で2級山岳ロッカラーゾ(登坂距離6.9km、平均勾配6.5%、最大12%)を上って、フィニッシュ前47kmからは2級山岳カラーシオ(13.5km、6%、10%)と1級山岳グラン・サッソ(26.4km、3.4%)の連続登坂。標高2130mに達する最後の1kmで最大勾配13%になり、急坂の先にフィニッシュラインが敷かれる。レース距離は218kmで、今大会2番目の長さ。

新型コロナウイルス感染が分かったジョヴァンニ・アレオッティ(ボーラ・ハンスグローエ、イタリア)とニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク、イタリア)をのぞいた169選手がスタートを切ると、6kmほど行ったところでバイス、ヘノック・ムルブラン(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、エリトリア)、シモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、イタリア)、カレル・ヴァチェク(チーム コラテック・セッレイタリア、チェコ)の動きが容認され、4人は逃げグループを形成。

©️ LaPresse

逃げメンバーの個人総合最上位は、タイム差7分49秒で37位につけるペティッリとあり、リーダーチームのチーム ディーエスエムがコントロールするメイン集団はしばしゆったりと進行。選手たちはチームカーまで下がってウォーマー類を重ね着するなどし、強まる雨への対策を施しながら走る。スタートから60kmでタイム差は10分を超えると、この状勢が長く続いた。

©️ LaPresse

途中のチェックポイントは、91.1km地点に置かれた1回目の中間スプリントをバイスが1位通過し、メイン集団では前日勝利のマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)が先着して全体5番目の通過とする。100.5km地点に位置した2級山岳ロッカラーゾの頂上もバイスがトップ。11分20秒後にメイン集団が到達し、山岳賞のマリア・アッズーラを着るティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)が全体の5番手で通過し、得点を加算している。

©️ LaPresse

フィニッシュまで92.5kmを残したところで、この日最大の12分35秒差。逃げは2級の上りでムルブランが遅れて3人に。メイン集団はチーム ディーエスエムのコントロールで変わらず、10分前後のタイム差を維持しながら残り距離を減らしていく。一時各チームが隊列を組んで集団前方まで上がってくる場面があったものの、レース展開を大きく変えるものにはならないまま、フィニッシュへ向かう登坂区間へと入っていく。この頃には雨が上がり、選手たちは少しずつ装備を軽くして重要な局面に備えている。

©️ LaPresse

徐々に逃げ切りの可能性を高める先頭の3人。2級山岳カラーシオもバイスが1位で頂上を通過し、最終登坂の1級山岳グラン・サッソへ。メイン集団は再びピノが前へ出て、2級頂上4位通過で6点を獲得。この上りの途中ではゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がチェーントラブルに見舞われストップしたが、アシストのサポートを受けて集団に復帰。この頃には先頭3人とのタイム差調整も進行しており、バーチャルリーダーとなっていたペティッリのマリア・ローザ獲得はほぼなくなっている。

©️ LaPresse

グラン・サッソの中腹を迎えても7分以上のリードと、逃げ切るには十分なタイム差としている先頭3人。ペースアップを図った残り6kmでのペティッリのアクションを機に駆け引きが本格化すると、ペティッリとヴァチェクが交互に攻撃を繰り出す。

©️ LaPresse

こう着状態のまま3選手は最後の1kmへ。勾配が最も厳しくなるポイントでまたヴァチェクが動くが、これも決まらない。均衡が破られたのは残り200m。ペティッリのアタックをチェックしたバイスがカウンターで踏み込むと、2人を突き放すことに成功。そのまま一番にフィニッシュラインに到達した。

©️ LaPresse

勝ったバイスはプロ3年目の25歳。ジロはおろか、プロキャリアでもこれが初めての勝利に。長距離逃げを得意とし、3月のティレーノ~アドリアティコでは山岳賞ランキングで2位としていた。このステージでも211km逃げた末に、千載一遇のチャンスをモノにした。今大会には2歳年上の兄・マッティアとともに参戦している。

©️ LaPresse

ヴァチェクが2位、ペティッリが3位で続き、メイン集団はバイスのフィニッシュから3分10秒後にグラン・サッソの頂上に到達。イネオス・グレナディアーズがレースをまとめにかかるが、残り100mでレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がスプリントを始めると、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)やピノらが追随。結果的にステージ4位から30位までが同タイムとなった。

©️ LaPresse

個人総合上位陣は、8位でスタートしたトムス・スクインシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)と9位だったヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ、イタリア)をのぞいてすべてメイン集団でステージを完了。レックネスンがマリア・ローザのキープに成功している。山岳賞には変動があり、ステージ優勝のバイスが山岳ポイントを荒稼ぎし、一気に首位に浮上。ピノに対して36点差をつけてマリア・アッズーラに袖を通している。また、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は30分5秒差の152位で走り終え、次のステージへつなげている。

©️ LaPresse

13日に行われる第8ステージは、207kmの3つ星丘陵コース。終盤に3つのカテゴリー山岳が控え、そのどれもが急坂。頂上がフィニッシュ前約6kmの4級山岳イ・カップッチーニ(2.8km、7.9%)は、最大勾配19%。ステージ・総合それぞれの争いにどう影響するかが見ものになる。

ステージ優勝、山岳賞 ダヴィデ・バイス コメント

©️ LaPresse

「最後の数キロはとても楽しめた。一緒に逃げてきた2人に何としてもついていこうと思っていたし、フィニッシュが近づくにつれて勝てるという思いが強くなっていた。3人の勝負になれば私が一番強いと感じていたし、そのとおりになって満足している。この勝利が私の人生を変えるかまでは分からないけど、楽しめていることは間違いない。マリア・アッズーラもできる限り守っていきたい」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 アンドレアス・レックネスン コメント

©️ LaPresse

「マリア・ローザを守るという思いがモチベーションになった。チームが構築してくれたレースの展開にとても助けられた。うまく逃げを行かせることができて、われわれとしては完璧な1日にできた。無理をする必要はないと思っていたし、予想以上に楽に走ることができた。最後の上りは向かい風が強く、どこも攻撃しようとしてこなかった。フィニッシュでのボーナスタイムを得られない状況も関係していたのかもしれない。自分はノルウェー出身なので寒さは問題なかったし、コース周りの雪を楽しんでいた。明日も難しいステージだが、マリア・ローザを守りたい。タイムトライアル(第9ステージ)がこのジャージで走る最後の日になるだろう。レムコ(エヴェネプール)との差は28秒しかなく、それを守ることは現実的とは思えないからね」

ジロ・デ・イタリア2023 第7ステージ結果

ステージ結果

1 ダヴィデ・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア) 6:08’40”
2 カレル・ヴァチェク(チーム コラテック・セッレイタリア、チェコ)+0’09”
3 シモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、イタリア)+0’16”
4 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+3’10”
5 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)ST
6 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)
7 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)
9 エディ・ダンバー(チーム ジェイコ・アルウラー、アイルランド)
10 クリスティアン・スカローニ(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)
152 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+30’05”

個人総合時間賞(マリア・ローザ)

1 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー) 29:02’38”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’28”
3 オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+0’30”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+1’00”
5 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+1’12”
6 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’26”
7 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)ST
8 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’30”
9 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’54”
10 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+1’59”
158 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1:28’19”

ポイント賞(マリア・チクラミーノ)

ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

山岳賞(マリア・アッズーラ)

ダヴィデ・バイス(エオーロ・コメタ、イタリア)

ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 87:11’43”

▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら

ジロ・デ・イタリア2023

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load