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ジロ・デ・イタリアが熱戦展開中! 気になる賞金のハナシ|ロードレースジャーナル

vol.59 賞金総額2億円超! グランツールビジネスの中身に迫る

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。本記執筆時点で第2週に入ろうとしているジロ・デ・イタリアは、開幕からドラマに満ちた展開に。レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)らの新型コロナによる離脱は衝撃的ではあるが、それでもレースは続く。そこで今回は、ジロの賞金にフォーカス。いくつもの賞が設けられるこの大会で、どのようにお金が分配されているのかを見てみよう。

マリア・ローザで4000万円近くを手に

プロのロードレースは順位や活躍度に応じてライダーやチームに賞金が贈られる。グランツールともなれば桁違いの額が動き、それはひとつのビジネスとして成り立つほど。この競技を志す者にとっては大きな夢であり、実際に選手たちはそれを生活の糧としている。

©️ LaPresse

さて、現在開催中のジロ。多くのスポンサーに支えられている大会は、注目度の高い個人総合やステージ成績をはじめとし、大小あらゆる賞を設定し、それぞれに賞金を用意している。

まず、この大会の賞金総額は149万9710ユーロ。日本円にすると約2億2190万円(2023年5月16日時点のレート)である。他競技と比較して高いのか、安いのか、という議論はここでは置いておいて、「ジロの賞金」という観点だけで見ていきたいと思う。

もちろん、賞金の大部分は個人総合優勝者に支払われる。ジロ特有のハードな戦いを勝ち抜いた者は、その対価として11万5668ユーロ(約1711万円)を手にする。各順位ごとの賞金額は以下のとおり。

個人総合時間賞(マリア・ローザ)

1位 11万5668ユーロ(約1711万円)
2位 5万8412ユーロ(約864万円)
3位 2万8801ユーロ(約426万円)
4位 1万4416ユーロ(約213万円)
5位 1万1654ユーロ(約172万円)
6・7位 8558ユーロ(約127万円)
8・9位 5725ユーロ(約85万円)
10~20位 2863ユーロ(約42万円)

これに加えて、個人総合トップ10を対象とするスポンサー特別賞が加算される。これはスポンサー次第で金額の変動、または賞そのものの設定がないケースもあるそうだが、おおむね以下の金額が相場とされている。

スポンサー特別賞

1位 15万ユーロ(約2220万円)
2位 7万5000ユーロ(約1100円)
3位 4万ユーロ(約590万円)
4位 7000ユーロ(約104万円)
5位 6500ユーロ(約96万円)
6~10位 5000ユーロ(約74万円)

各ステージの上位選手にも多くの賞金が支払われる。順位ごとの賞金額は以下のとおり。

2022年のジロを制したジャイ・ヒンドレーは日本円にして4000万円近くを手にした ©️ LaPresse

ステージ上位

1位 1万1010ユーロ(約163万円)
2位 5508ユーロ(約81万円)
3位 2763ユーロ(約41万円)
以下、20位まで順位に応じた金額が設けられる

このほか、各ステージ終了後のマリア・ローザ着用選手には、2000ユーロ(約30万円)が支払われる。

ポイント賞、山岳賞の賞金設定

その他各賞も見ていこう。ポイント賞と山岳賞は細かい賞金設定がなされている。

ポイント賞(マリア・チクラミーノ)

1位 1万ユーロ(約148万円)
2位 8000ユーロ(約119万円)
3位 6000ユーロ(約89万円)
4位 4000ユーロ(約59万円)
5位 3000ユーロ(約44万円)

これに加えて、各ステージ終了時点でのマリア・チクラミーノ着用者に750ユーロ(約11万円)。さらに、各ステージ単位でのポイント上位3選手を対象に、1位700ユーロ(約10万円)、2位400ユーロ(約6万円)、3位200ユーロ(約3万円)も支払われる。

ジロ2023第1週を終えてマリア・チクラミーノ争いの首位を走るジョナサン・ミラン。第2週以降もこのジャージをかけた戦いが見ものだ ©️ LaPresse

山岳賞(マリア・アッズーラ)

1位 5000ユーロ(約74万円)
2位 4000ユーロ(約59万円)
3位 3000ユーロ(約44万円)
4位 2000ユーロ(約30万円)
5位 1000ユーロ(約15万円)

これに加えて、各ステージ終了時点でのマリア・アッズーラ着用者に750ユーロ(約11万円)。さらに、各ステージ単位でのポイント上位3選手を対象に、1位700ユーロ(約10万円)、2位400ユーロ(約6万円)、3位200ユーロ(約3万円)も支払われる。

もう1つのジャージであるヤングライダー賞のマリア・ビアンカは、最終の上位5選手を対象に1万ユーロから2000ユーロが贈られ、各ステージ優勝時点でのジャージ着用者に750ユーロが支払われる。

チーム対象の賞としては最も栄誉あるチーム総合時間賞は、最終の上位5チームを対象に順位に応じて5000ユーロから1000ユーロが贈られ、各ステージの上位3チームにはそれぞれ500ユーロ、300ユーロ、100ユーロが支払われる。

ジロならではの賞レースも

4賞やチーム総合以外にも、さまざまな賞が設定されるのがジロの特徴ともいえる。

中間スプリント賞

各ステージ2度ある中間スプリントのうち、2回目のスプリントポイントの上位選手を対象とする賞。各ステージの上位5選手に500ユーロから100ユーロが贈られ、最終の上位選手には1位8000ユーロ、2位6000ユーロ、3位4000ユーロ、4位2000ユーロ、5~8位1000ユーロが支払われる。スペシャルジャージこそ設けられていないものの、4賞に次ぐ栄誉との見方もある。

敢闘賞

各ステージで最もアグレッシブに走った選手に贈られる賞。次のステージでは赤ゼッケンをつけることが許される。ステージ敢闘賞は250ユーロ、総合敢闘賞は4000ユーロが支払われる。

逃げの選手にも中間スプリント賞や敢闘賞といったプライズが用意されている。写真はジロ2023第8ステージで独走したベン・ヒーリー ©️ LaPresse

フェアプレー賞

チームを対象とするもので、レース中に選手が受けたペナルティが最も少ないチームに贈られる賞。各チーム0点からスタートし、減点法で順位が決まっていく。最終的に、1位のチームには1万ユーロ、2位チームには3000ユーロ、3位チームには2000ユーロが贈られる。

こうして見ていくと、ときに些細なように感じられる選手の動きが「じつは賞金に絡んでいた」なんてことも往々にしてあるのでは? ジロを観戦する中で、ちょっと違ったアプローチとして賞金についても目を向けてみると、思わぬ楽しみが見つかるはずだ。

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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