トップシーンの年俸トップ10が判明。最高はポガチャルの約10億円|ロードレースジャーナル
福光俊介
- 2024年01月28日
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vol.71 ポガチャルがログリッチやヴィンゲゴーらを抑えプロトン最高年俸、スポンサー収入も合わせれば15億円超か
国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。このほど、ロードシーンのトップを駆ける選手たちの推定年俸が明らかになり、ヨーロッパのメディアを中心に報じられた。最高年俸と見られているのが、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)で、600万ユーロ(約9億6000万円)だという。他のビッグネームも追随する額を得ており、現在のプロトンの構図が反映されたものと見ることができそうだ。
チームの資金力も関係するトップ選手の年俸
この話題は、イタリアのスポーツ紙「ガゼッタ・デッロ・スポルト」が先ごろ報じたもので、あくまで推定であるとしながらも現在の年俸トップ10のライダーとその金額を明らかにしている。
2024年シーズンは3年ぶりのツール・ド・フランス覇権奪還を目指すポガチャルだが、その他ステージレースやクラシックでの活躍は他を圧倒するもの。それが金額にも表れているといえよう。ガゼッタでは、同国出身のプリモシュ・ログリッチ(ボーラ・ハンスグローエ)や、最大のライバルであるヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)を上回って一番の高給取りだと触れている。
ログリッチは450万ユーロ(約7億2000万円)で、金額としては2番目。次いで、ヴィンゲゴーが400万ユーロ(約6億4000万円)。
グランツールレーサーが上位を占める一方で、ロード・シクロクロス・マウンテンバイクと広く世界のトップを走るマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)も、ヴィンゲゴーと同様に400万ユーロを得ているという。長くライバル関係にあるワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)は350万ユーロ(約5億6000万円)。
現・個人タイムトライアル世界王者のレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)で280万ユーロ(約4億5000万円)、トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ)とアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)の両イギリス人ライダーが270万ユーロ(約4億3000万円)。イネオス・グレナディアーズは、エガン・ベルナル(コロンビア)とカルロス・ロドリゲス(スペイン)にも250万ユーロ(約4億円)を支払っているという。
こうして見てみると、各選手の実力とプロトンにおける存在意義・価値がそのまま反映されていると捉えることができ、同時にチームの資金力も関係していることがうかがえる。
なお、この推定値はチームがライダーに支払った給与のみをデータ化しており、個人スポンサーやメディア出演料などの追加収入は含まれていないとされる。ポガチャルであれば、6~7社の個人スポンサーがついており、これらから支払われる金銭を含めれば、年間15億円以上の収入があると推察できる。
数年で上位選手の年俸水準は上昇
3年前にヨーロッパのサイクルメディアが同様の年俸ランキングを報じた際には、トップがペテル・サガン(スロバキア)の550万ユーロ(当時のレートで約7億2000万円)だった。当時のランキング10番手の選手で210万ユーロ(同約2億7000万円)で、大幅とは言えないものの上位ランカーの年俸水準は上昇傾向にある。
ちなみに、北米4大プロスポーツを見てみると、NBAで平均年俸832万ドル(約13億4000万円)、MLB同403万ドル(約6億5000万円)、NFL同約326万ドル(約5億2000万円)、NHL同269万ドル(約4億3000万円)といったデータがある。それらと比較すると、トップのロードレーサーでようやく近い金額が得られているという印象だ。プロトン全体を通せば、ロードレースは必ずしもプロスポーツシーンにおいて高給というわけではないことが分かる。
競技特性や各スポーツ界の経済状況が関係し、一概に金額の良し悪しは決められないが、トップライダーの活躍やシーン全体の盛り上げによって競技としての価値向上へとつなげていこうと、多くの関係者が引き続き尽力していくことだろう。
福光俊介
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。