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中華包丁&中華まな板のススメ

料理人にとって命ともいえる道具、それが包丁。用途に応じて様々なタイプが存在するが、中国料理に必須なのは中華包丁だ。そのユニークな佇まいのワケと利点に迫る。

中華料理の基本装備に代用品なし!

「中華包丁は一見、すべて同じに見えますが、実は細かに種類が分類されています。大きく分けると3種類。北京ダック用などの特殊包丁は抜きにして、一般的な中華包丁は薄刃、中刃、厚刃に分けられています。分類は号数と呼ばれる数字によって判別できます。数字が大きいほど刃が厚いのです。中国料理は大胆かつ繊細なので、使う道具にも求めるものが多いのです。中国料理はいずれの地方でも長い歴史と伝統があるので、包丁の扱いとともに、料理を掘り下げると興味深いですよ」

中華包丁に刻まれている数字(号数)は刃の部分の厚みを表している。この数値が大きくなるほどに厚みが増す。小さい号数の包丁は野菜などに、そして大きな号数の包丁は肉や骨断ちなど使われる。汎用性があり、定番とされるのは6号前後。

中華包丁の魅力について力説してくれるのはハイアット リージェンシー 東京の中国料理長・ 林 浩勝氏だ。幅の広い特徴的なデザインの中華包丁は、見た目にこそ大差がないが、包丁の厚さに細かな違いが存在する。幅広なだけでなく、切っ先が尖っていない特有の中華包丁は料理好きな本誌読者にとっても縁遠い存在ではないだろうか。中国料理の料理人ですらプライベートで使うことは稀だというからその登場シーンの少なさがうかがえる。刃の大きさや重量を考えれば、扱いやすいとは想像できないだろうが、この形状、重量こそ中国料理においては欠かせない要素なのだ。

「一般的な切っ先が尖った包丁に比べて、中華包丁は重量も重く使い勝手が悪そうに見えますが、この重みがあるからこそ材料を容易に切ることができる。要するに包丁の重みを利用して材料を切っていくんです。和包丁でいえば出刃包丁のようにパ ワーが欲しい時も楽に断つことができるのは中華包丁ならでは。切る道具ではなく切り方によって使いやすくも使いづらくもなるのが中華包丁でしょう。使い慣れると使い易さが理解できるはずです」

峰と刃先が平行であるのが一般的なデザインで、平行に研いでいくのが基本だが、料理人によっては、上のようにあえて研ぎで切っ先をラウンドさせる者もいる。

そして、重量級の中華包丁のパートナーといえば、厚く大きな円形のまな板だ。男性でも易々とは動かせない重量にも、また理由があるという。

「包丁を使用している時に、まな板がズレてしまっては大怪我をしかねません。そして、これだけ厚みがあるのはメンテナンスのため。表面が汚れてきたら表面を削るんです」

『翡翠宮』で使っているまな板の重さなんと約20kg強。このまな板が厨房に並び、熟練の料理人たちが、慣れた手つきで中華包丁を巧みに操り、極上の料理が次々に仕上がっていく。効率と利便性を追求して生まれ、使い続けられる道具たち。中華包丁と中華まな板、これらを手にしなくては、“中華” の海原を渡ることはできないのだ。

中華包丁の “ならでは” なコト

重量を活かした力強さ

幅広で大きな中華包丁は当然重い。その重量を利用して素材を切るのが標準的使用法。

大きさを利用した応用力

魚の皮を剥いだり、切り口が大きなものを一気に切ることは中華包丁の得意とするところ。

面を使っての利便性

切ることはもちろん、幅があるためにその大きさを利用して食材を運ぶことができる。

内に秘める繊細さ

包丁の厚みによって切る材料や切り方、使用法が異なり、ミリ単位の繊細な調理が可能だ。

林 浩勝料理長の2本

杉本 6号

中華包丁界では右に出る者なし! というほどメジャーな東京杉本の中華包丁。本国の料理人さえも杉本製の包丁を愛用する人が多いと言われている。料理長自身、リピートしながら長年にわたり愛用している愛しい道具だ。

神田作 共柄中華包丁 7号

サビに強く切れ味の良いスウェーデン鋼をサンドイッチ状に保護した中華包丁。ハンドルまでステンレス製であるため衛生的に使える1本だ。切れ味、耐久性などバランスが取れた包丁であるためお気に入りなのだとか。

いざ、刀法(ダオファ)をマスターせよ!

中国料理には実に多彩な切り方が存在する。素材への味の入れ方や食感など、切り方次第で料理の仕上りが変わるという。中華包丁の扱いを極める、それが中国料理をマスターする上で欠かせないのだ。

【例題1】アワビと黄ニラの細切り炒め

アワビ、黄ニラ、タケノコ、マコモダケ、金華ハム。すべての食材が美しく整った千切り炒め。金華ハムが味付けの主役となる。

Before

After

1 【片(ピエン)】タケノコを縦に半分に切り、断面を下にして中華包丁がまな板と平行になるように切っていく。

2 切ったタケノコを1センチほどの間隔でズラしていく。

3 【絲(スー)】切りながらズラしていったタケノコを等間隔で細ギリにする。

4 マコモダケも同様に細切りにする。リズム良く切ることが肝要。

5 味付けの主役となる金華ハム。他の具材と同じように細かく細切りにする。

6 長さのある黄ニラも他の具と同じようにサイズを合わせて切る。

【例題2】鶏肉のトウチ炒め

鶏もも肉を主役にピーマン、エシャロットを肉に合わせて乱切りし豆豉で炒めた料理。粗みじん切りにしたショウガ、ニンニクがアクセントとなる。

Before

After

1 【塊(クァイ)】エシャロットの乱切り。主役である鶏肉の切ったサイズに合わせて切るのがポイント。

2 ピーマンは切り込みを入れ、包丁をまな板に寝かせるようにしてピーマンを転がしながら内部のタネを取り除いていく。これぞ職人芸。

3 【砕(スイ)】ショウガ、ニンニクは中華包丁の面を利用して押し潰す。

4 潰されたショウガ、ニンニクは刻んだだけのときよりもより香り高くなる。

5 鶏肉は開いて均等な厚さにする。

6 他の具材同様に乱切りに。

【例題3】白身魚の冬瓜巻き蒸し

高級魚で知られるハタを薄く切った冬瓜で巻き、蒸したものに特製のウニソースを添えた上品な料理。さっぱりとしながらも濃厚なソースが抜群に合う。

Before

After

1 冬瓜を魚に巻くため、厚みを揃え美しい直方体になるまで調節しながら切る。

2 直方体に切ったら包丁をまな板に平行となるように薄く切る。その後しんなりするまで塩水に浸けておくことで魚に巻きやすくする。

3 【薄片(ポピエン)】丁寧な下処理が施されたフィレの状態の白身魚。尾の部分から皮と身の間に刃を入れる。

4 包丁を一定の角度に保ったまま魚の皮を引っ張りながら身から皮を剥いでいく。

永く付き合うための中華包丁&中華まな板の手入れ

包丁は料理人の心を映す鏡。お気に入りの包丁と永く付き合うためには日頃のこまめなメンテナンスが重要となってくる。

中華包丁編

1 砥石は充分に水分を含ませるため水にひと晩浸けておく。スペースが許すのであれば常に水に浸しておくと良い。

2 まずは中砥で先端の切っ先部分から。砥石全体を使うイメージで均等に力を入れる。

3 次にアゴと呼ばれる根元部分を研ぐ。

4 最後に真ん中の刃を研ぐ。裏面も同様に繰り返す。

5 ひと通り研いだら刃を垂直に立て偏りがないかをチェック。

6 仕上げ砥を使用し、切っ先、アゴ、中心の順で整える。切れ味を維持するためにも、日頃から正しいメンテナンスを行なうべし。

研ぎの前後をチェック

Before

After

中華まな板編

1 洗っても汚れが落ちないようであれば、包丁の刃を使用してまな板の表面を削ってしまえばOK。

2 汚れとともに削り取ったカスを取り除けば作業完了だ。尚、『翡翠宮』では日々の磨きに加え、定期的に外 部専門業者にクリーニング委託している。

 

 

「ハイアット リージェンシー 東京」 中国料理長
林 浩勝
中国料理ひと筋41年。現在、ハイアット リージェンシー 東京の中国料理「翡翠宮」で料理長を担う。中国料理ならではの包丁の扱い方、切り方を独学でマスターした猛者。

翡翠宮
住所/東京都新宿区西新宿2-7-2 ハイアット リージェンシー 東京 1F
TEL/03-3348-1234(代表)
営業/11:30〜15:00(L.O.14:00)、17:00〜21:00(L.O.20:00)※営業時間は変更になる場合がございます。
休み/なし

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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