【NEW OPEN】たこ焼き×スパイスの新しい可能性「タコムマサラダイナー」
buono 編集部
- 2021年05月10日
たこ焼きの概念を一からリビルド。すべてのファンに食べてみてほしい味
食べ続けて40余年。その文字を見るだけで食べずにはいられなくなる特殊な食癖の持ち主、それが私だ! なのだ! はい、というわけで雑誌buono創刊編集長の島貫朗生でございます。何が言いたいかというと、たこ焼きなんですよ。たこ焼き。幼少期を過ごした春日部にかつて存在した、おばあちゃんが営むたこ焼き屋を皮切りに、本当に多くのたこ焼きを食べ続けてきたわけで。いまでは大阪の作り方が伝播して関東のたこ焼きもレベルアップしました。つい最近、昔っからある上野のたこ焼き屋へ学生以来に訪れてみたら美味しくなっちゃってんだもん。粉っぽくてモサモサ、ソースはウスターという容赦ないたこ焼きを「この不味さがクセになるよね」なんて、彼女と言って食べていた僕の思い出は失われてしまったわけであります。
スパイスとたこ焼きの相乗効果がこれほどとは
それはさておき。たこ焼きは材料や作り方に定石があって、そこのバランスで個性を際立たせる店が多い中、風雲急を告げるが如く登場したのが下北沢の『タコムマサラダイナー』。シグネチャーメニューとも言えるのがなんと「スパイスたこ焼き」。なんかそう聞くとカレー味のたこ焼きか、って思うでしょ? いやいや、そんな単純なものじゃあないのよ。生地に練り込まれているのは、コリアンダー、クローブ、クミンなどの定番を含む10種のスパイス。さらにはレーズンやズッキーニ、チーズ、油かすなど具材も10種ほど使い、ひと口ごとに味のリズムが変化する仕上がりなのです。通常、クミンを使う料理って、どうしてもクミンの主張が強くなって味が単調になりがちなのですが、コレは本当に複雑な味わい。すべてのスパイスと具材がそれぞれ際立っているという、恐るべきバランスで成立しているのです。食べる前は、まあ想像の域を超えないだろうなと思っていたのですが、その考えは一瞬で破壊。完敗。スパイス料理としても一級品です。もう本当食べてみてほしい! これ読んだ人は絶対に行ってね!
どこの国をイメージしているのかわからない、独特な装飾の店内。カウンターは今後立ち飲みスペースになるという構想も。たこ焼きでチョイ飲み、最高だなあ。
カウンター上にはさまざまなスパイスがディスプレイされ、スパイス好きにはたまらない空間。あれやこれや想像しながら料理を楽しみたい。
「スパイスたこ焼き(4個380円、6個560円)」は、羽曳野イチヂクソース、和風ごま油醤油糀、爽やかスパイス塩昆布の3種からトッピングを選ぶことができる。写真の爽やかスパイス塩昆布はカルダモンと昆布の旨味がハマる。
実はあの名店を支えたシェフが独立して作った店なのです
というわけで、実はこの店『旧ヤム邸』の味を大阪時代から長年支えた藤田一也さんが独立して、今年の2月に立ち上げた店なのです。どうりで、と納得ですね。たこ焼き以外にも、さまざまなスパイス料理を提供していて、そのどれもが酒と抜群に合うんだな。店の外に「カレーライス」と書かれたちょうちんが下がっている時はカレーライスもあるので、スパイスカレー勢も要チェック!
コレ目当てに来る人も多いカレーは写真の「和牛スジ肉カレー(ごはん有780円)」など2種用意。甘みに頼らずスパイスと具材の味をストレートに楽しめる、スパイスカレーファンなら必食のひと品だ。つまみにしても抜群。
蒸し鶏は写真の「黒胡麻よだれ鶏(480円)」と「ニラミントソースがけ(500円)」の2種。やわらかく仕上げた鶏肉に、黒ゴマとカシューナッツ、山椒、レモングラスのような独特の香りが特徴的なマーガオなどを使うソースが絶品。
“インドにないアチャール”と銘打たれた「ベビー帆立アチャール(380円)」。レッドペッパーとマスタードシードの刺激に、濃いめの塩味でどんどん酒がすすむ酒泥棒。どこかチャンジャを思い起こさせる味わい。
アクセント以外、甘みに頼らない味付けは藤田さんの真骨頂。玄人好みの味をお酒と存分にどうぞ。
紹介した店はこちら!
タコムマサラダイナー
東京都世田谷区北沢2-32-8 SSビル2F A店舗
TEL/03-6407-0600
営業/17:00 ~ 23:00
※緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによる変更については、要Twitter確認
休み/水曜
紹介したひと。
島貫朗生
シェフや調理ラヴァーの男性に向けた伝説の料理誌「buono」創刊編集長。ほか、いくつかの出版社で食を中心に雑誌・書籍を500冊以上手掛け、2018年に独立。食関連のイベント出演やレシピ提供、地域における食ブランディング、メディアプロデュースなど広く活動している。
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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