焚き火とチーズ|小雀陣二のキャンプ料理の王様
フィールドライフ 編集部
- 2019年12月03日
INDEX
「焚き火とチーズ」、なんというキャッチーな響きでしょう。すでにこのテーマからして、寒い冬のキャンプを盛り上げないわけがない!シンプルだけど最高のぜいたく、ぜひみなさんも味わってみてください。
シンプルだけどぜいたくなごちそう
「チーズ」は、焼く・練り込む・絡める・散らす・くぐらせる……など、ほかの食材とのコラボレーションが得意で、変幻自在ともいえる調理法をもつ魅力的な食材だ。
今回は我らの料理番長・小雀さんが、チーズの特徴を活かした、かんたんでおいしいレシピを選りすぐってご紹介。
「寒くなるってくると、暖炉や薪ストーブの炎でトロリと溶けるチーズ料理をつい頭のなかでイメージしてしまうんですよね。冬のキャンプであれば焚き火を使わない手はありません。暖を取りながら食材をシンプルに焼き上げ、チーズを添えるだけでぜいたくなごちそうができてしまいます。そこへ燻製を加えたりすると、さらに味が広がります。これを機会にチーズの味や香り、相性のいい料理の違い……など、素材としての奥深さ、おもしろさをぜひキャンプ料理で楽しんでみてください!」
今回使用するチーズを紹介!
ピザ用チーズ
ピザやグラタン用に細かくシュレッド加工されたナチュラルチーズ。数種類のチーズをミックスさせていることが多く、味のバランスが取れているため、比較的どんな料理にも合いやすい。
ラクレットチーズ
チーズの切り口を温めて、溶けた部分を削いで、茹でたジャガイモにかけて食べるスイス料理「ラクレット」用に作られたハードチーズ。熱を加えることでおいしさが増す。
パルミジャーノチーズ
北イタリアの特定地域で生産されるハードチーズ。熟成が進むとアミノ酸が結晶化し、ザラつくような食感や、旨味、豊かな香りが生まれる。料理の仕上げにすり下ろして使うことが多い。
マスカルポーネチーズ
乳脂肪分が80%前後あるフレッシュチーズ。酸味や塩分が少なく、天然の甘味があることから、リゾットなどの料理やお菓子によく使われる。日本ではティラミスの材料として有名。
ブルーチーズ
青カビを用いて熟成させた、大理石状の模様をもつナチュラルチーズ。鼻を突く特有の風味があり、塩分が多いので、生クリームやヨーグルトなどと混ぜてドレッシングにするのが定番。
焚き火でさっと炙ってチーズを添える。それだけで最高においしい理由。
「炙って」「チーズを添える」、そんなシンプルな調理法がなぜ多くの人を魅了するほどおいしいのでしょうか? 我らの料理番長・小雀さんに聞いてみました。
だれもが大好きで文句なくおいしい
焚き火でさっと食材を炙ってチーズを添えるだけ。なぜそんなシンプルなレシピがうなるほどおいしいのだろうか?
「食材を炙って焦げ目が付いた香ばしさ、スモーキーな味わいは想像するだけでたまらないですよね。そして、溶けたチーズの旨味や料理に盛られたチーズの香り、とても食欲をそそりますね。
窯焼きのピザなんかはまさにそれらふたつを合わせた料理ですが、単純に×2ではなく、それ以上のおいしさになる。焼き上げた食感やみずみずしさも加わって、何倍にもおいしく感じるのかもしれません」
今回紹介する5つのレシピは、手順に多い少ないはあるものの、すべて「炙って」「チーズを添える」という基本的なレシピで統一されている。
「おいしさの理由は調理方法もそうですが、焼いて薄切りにした牛肉にはパルミジャーノ、デザートにはマスカルポーネ、チーズを溶かす料理には有名なラクレットチーズ……と、チーズにも得意分野があるので、それを外していないかも重要。
香りが苦手という人がいるブルーチーズも、そのまま使わずなにかと混ぜることで特有のクセを抑え、ドレッシングなどとしておいしく食べることができます。チーズそれぞれがもつ個性を知れば、よりうまく料理へ取り入れられるようになりますよ」
ライブ感を味わえる焚き火料理
そしてもうひとつ、おいしさの秘訣は焚き火で調理するというライブ感。
「立ち上がる炎で食材がどんどん焼き上げられていく過程を眺めながら、どんなでき栄えになるんだろうと、みんなで想像するのも楽しいですよね。もちろん炭火やツーバーナーで調理してもよいのですが、よりライブ感が味わえるのは、やはり焚き火料理。
火加減を調整したり、薪をくべたり、焼き具合を確認したり……と、その時間を経てテーブルに載るのだから期待感も多いに高まります。シンプルだけど、キャンプ料理の王道ではないでしょうか」
さぁ、イメージトレーニングは万全!あとは実践あるのみ!
ステンレス焚き火台
「使用環境問わず本当に使える焚き火台が欲しい」と、既製品に疑問を抱く小雀さんが自身の経験をもとにした焚き火台製作へ着手! 抜群の燃焼効率と強度、秀逸な収納サイズを誇るモデルが完成した。20個限定でWEBモール「Circleh」で販売中。¥36,000。
Recipe_1 炙り牛肉
外は香ばしく中はレアに焼き上げて
口の中で広がる牛肉とチーズの絶妙ハーモニー。焼き加減はOKサインでチェック!
[材料]
パルミジャーノチーズ 適量
和牛モモ肉 500g
アスパラガス 3本
塩 適量
ブラックペッパー 適量
[作り方]
手順1
牛肉を2等分に切り分け、塩をまんべんなく軽く振り、焼き網で挟む。
手順2
焚き火の遠火で焦がしすぎないようにじっくり表面を焼いていく。
手順3
アスパラガスの根元の皮を剥き、半分に切って焼き網で挟み、焚き火の遠火で炙り焼きする。
手順4
好みの焼き具合に焼けたお肉をできるだけ薄くスライスしてお皿に盛り、アスパラガスを斜めに薄くスライスし、盛り付ける。
手順5
ブラックペッパーと塩を散らし、お肉とアスパラガスの脇にチーズをたっぷりすりおろして散らす。
ポイント 指のOKサインで お肉の焼き加減がわかる?
親指と残り4本の指とを合わせたときの、親指の付け根の感触が、焼き加減の違うステーキの弾力にそっくり!
ブルーレア
レア
ミディアムレア
ミディアム
ウェルダン
Recipe_2 炙りエビのブルーチーズソース和え
独特な青カビの刺激を味わう
エビの弾力、葉野菜の苦味に絡みつく、ブルーチーズ特有の旨味を口いっぱい楽しんで。
[ 材料 ]
ブルードベルニュ ブルーチーズ 大さじ2
エビ 大3尾
ケール 2枚(レタス等でも可)
オリーブオイル 大さじ1
生クリーム 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1
レモン汁 小さじ1
塩 適量
ブラックペッパー たっぷり
[ 作り方 ]
手順1
エビは皮を尻尾まで剥き、背わたを取って塩水で洗い、水気を切って塩を振り、焼き網で挟んで焚き火の遠火で炙り焼きする。
手順2
小さいボウルなどにチーズ、生クリーム、マヨネーズを入れ、フォークなどでよく混ぜて、レモン汁を加えてソースを作る(粘度は生クリームで調整)。
手順3
炙ったエビは4等分ほどに切り分けてボウルに入れ、オリーブオイル、ケールの葉も加えてよく和える。
手順4
ソースをかけ、ブラックペッパーを振ればできあがり。
Recipe_3 炙りメカジキのラクレットチーズがけ
絶妙コンビネーション!
肉厚メカジキに芳醇なチーズの香り。ワインとのマリアージュをお楽しみあれ!
[ 材料 ]
ラクレットチーズ 100g
メカジキ 2切れ
ブロッコリー 3かけ
オリーブオイル 適量
塩 適量
ブラックペッパー 適量
[作り方]
手順1
メカジキにまんべんなく塩を軽めに振り、オリーブオイルをかけ焼き網で挟む。
手順2
焚き火の遠火で焦がしすぎないようにじっくり表面を焼いていく。
手順3
同様にブロッコリーも焼く。焦がしすぎないようにじっくり遠火で。
手順4
お皿にメカジキ、ブロッコリーを盛り、ラクレットチーズを専用のプレート(小鍋で溶かしてもよい)に載せ、焚き火でじっくり溶かしてメカジキにかける。最後にブラックペッパーと塩を散らす。
Recipe_4 炙りブロッコリーとベーコンのチーズクリームパスタ
ピザ用チーズで手早くおいしく
スープパスタに溶け込むチーズのコク深さ。ワンポットで作る簡単時短レシピです!
[材料]
ピザ用チーズ 200g
ブロッコリー 3かけ
タマネギ 1/2個
ジャガイモ 1個
ベーコン 150g
パスタ 300g
バター 40g
生クリーム 200㎖
塩 適量
ブラックペッパー 適量
[作り方]
手順1
タマネギはスライス。ジャガイモは洗って皮を剥いてスライスし、それぞれ鍋に入れ、バターを加えて中火でじっくり炒める。
手順2
タマネギが透きとおったら水600㎖を加え強火、沸騰したらパスタを茹でる(お湯が少量なので途中かきまぜながら中火で)。
手順3
茹でている間にベーコンとブロッコリーを焼き網で挟んで、焚き火の遠火で炙り焼きし、ほどよく焦げ目を付ける。
手順4
パスタが茹で上がるタイミングで火を弱火に落とし、生クリーム、ひと口サイズにカットしたベーコンの半分を加えてかき混ぜる(濃い味好みならブイヨンをひとつ加える)。
手順5
残りのベーコンとブロッコリーを刻んでパスタの上に飾り付け、チーズを散らしブラックペッパーを振れば完成。
Recipe_5 炙りミカンの チーズソースがけ
焚き火のスモーキーな香り漂う
マスカルポーネのやさしい甘さとオレンジの香り漂うリキュールで作る大人のデザート。
[材料]
マスカルポーネチーズ 大さじ2
ミカン 3個
コアントローリキュール 小さじ1
[作り方]
手順1
ミカン2個の皮を剥き、横半分に切りって焼き網で挟み、焚き火の遠火で炙ってほどよく焦げ目が付いたらお皿に盛る。
手順2
マスカルポーネチーズをボウルなどに入れ、ミカンひとつを絞って果汁を加えてかき混ぜる。
手順3
2にコアントローを小さじ1加えてかき混ぜ、ソースを仕上げてミカンにかければできあがり。
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写真◎亀田正人 Photo by Masato Kameda
文◎福瀧智子 Text by Tomoko Fukutaki
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PROFILE
フィールドライフ 編集部
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。