人工氷瀑からはじめるアイスクライミングの基本
フィールドライフ 編集部
- 2020年01月24日
「やってみたいけど、アイスクライミングって敷居が高い……」。そんな人は、手軽に挑戦できる“人工氷瀑”からはじめてみよう。登る前に知っておきたい、装備と登り方の基本を紹介。
登る前に知っておきたい基本のキ
人工氷瀑に挑むのなら、ウエアは必須だが、ギアはおおよそレンタルが可能だ。登攀中、アックスを打ち込むことにより砕けた氷が自分に降りかかってしまうため、防水性のあるウエアが好ましい。
それ以外はとくに条件はなく、雪山用にウエアを持っているのであれば、それで十分だろう。ほかにもグローブやビーニー、サングラスなどは、冷気から身を守るために揃えておきたいところ。
ウエアに比べてギアはどうしても高価になるので、最初のうちはレンタルでいいだろう。一方で、アイスクライミングは道具がものをいうとまでいわれるほど、その役割は重要。登ることに慣れ、自分に合ったギアを探したいと思い始めたら、遠慮せずに購入してほしい。
STEP.01 基本装備
雪山登山と大きく異なるのは、砕けた氷が自分に当たることを想定している点だ。登る氷壁によってケースバイケースだが、アックスとクランポンは専用モデルが好ましい。
ITEM_1 ヘルメット
砕けたアイスから頭部を保護するため、なるべくベンチレーションの少ないモデルを選ぶのがベター。ビーニーを着用して装着することを前提にしてサイズを選ばないと、ヘルメットがずれたり不快感につながるので要注意。
ヘルメットと一体型も
バイザーを装着したヘルメットなら、サングラスを落とした! なんていうシチュエーションもない。目が悪い人は、度入りのバイザーを選ぶケースも。
ITEM_2 サングラス
砕けたアイスが飛び散る可能性があるため、目の保護として使う。ヘルメットに装着できるバイザーの選択肢もあり、バイザーの方が保護力は高い。谷など暗い場所では、透明なレンズのサングラスやバイザーが有効である。
ITEM_3 ハーネス
これはフリークライミング用と同じものでOK。ただし、すでにフリークライミング用のハーネスを持っているという人に注意してもらいたいのが、そのサイズ感。厚手のウエアを着用するのだから、そのゆとりがあるか、レッグループが調整可能か確認してほしい。
ITEM_4 クランポン
クランポンは前爪が縦になっているものがよく、装着方式はセミワンタッチ、もしくはワンタッチタイプの固定力が高いものがおすすめ。ハーネスタイプだとブーツとクランポンのフィット感に劣り、うまく氷に打ち込めないケースも。
前爪には種類がある!
クランポンの前爪は縦走用の横爪、クライミング用の縦爪に分かれ、さらに先端はダブルポイントとモノポイントのものがある。
ITEM_5 アイスアックス
縦走用のストレートタイプに比べ、シャフトが湾曲し、氷に打ち込みやすい形状。シャフトのカーブがきつくなればなるほど、強傾斜に向くのだが、ハードルートに挑まないかぎりは気にしなくていい。着用するグローブは、ビレイ時のことを考えて選んでもいい。
STEP.02 基本の登り方
クライミングというからには、筋力が必須のように聞こえるが、大事なのはやっぱり体の使い方。省エネを意識した動きをマスターすれば、筋トレは二の次でOK!
アイスクライミングでは、アックスとクランポンに体重を預けることになるので、フリークライミングに比べると安定感を感じにくい人も多いだろう。そのため、アックスを持つ手に余計な力を込めてしまい、思った以上に登れない、なんて経験者もいるはずだ。
では、どうすれば安定して登れるのか。大事なのは二等辺三角形の姿勢を意識すること。そして両足でしっかり立ち、足元が安定したときにアックスを打ち込む。これを繰り返しながら登ることで、とくに腕の負担を軽減させることができる。初心者にありがちな、両手で体を引き上げる力技には気を付けてほしい。
technique_1 意識したい態勢
GOOD 理想のフォーム
NG
上のNG写真では、体が四角を描いている。これでは仮に足元が安定していても、腕や足に余計な負荷がかかってしまう。これもまた疲労の原因になってしまう。
technique_2 クランポンの刺し方
GOOD
NG
technique_3 アックスの 持ち方
GOOD
NG
アックスは、右のようにグリップエンドに小指が接している状態で握る。振るときには、小指を支点に、小指から順に人差し指まで握りこみながら、そして打ち込む瞬間に締めるイメージ。これは練習あるのみだ。
次の一手のために注意
GOOD
NG
右は両腕が伸び切らず、リラックスした状態。極端な例ではあるが、左のように腕や足が伸びきっていては次の一手につながりにくく、腰がひけると腕に負担がかかって疲労につながってしまうので、気を付けたい。
ロープにも気を配る
NG
上の写真では、ロープにアックスを打ち込んでしまっており、切断の原因になってしまう。また、ロープは体の中心にあることが好ましく、下のようにまたいでしまっている状態では、バランスを崩してしまいやすい。
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文◎山畑理絵、編集部
Text by Rie Yamahata, Field Life
写真◎中島ケンロウ Photo by Kenro Nakajima
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PROFILE
フィールドライフ 編集部
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。
2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。