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サーフィンを止めるな/サーファーからのメッセージ(戸倉康守編)

今、世界は未曾有の変革期を迎えている。Covid-19という未知なるウイルスによって誰もが 経験したことのない自粛生活を強いられ、経済は停滞し、海に入ることさえ煙たがれるこの世の中を、誰が一体予測できたことだろう。これからのサーフシーンはどうなって行くのか。
この大きく時代が変わるその瞬間に、サーファー達は何を想い何を願ったのか。
その断片を切り取り、後世に残すためにこの特集は企画された。
『THE VOICE-サーフィンをとめるな。』
リアルなサーファー達の声をここに贈りたい。
◎出典: NALU(ナルー)no.117_2020年7月号

暖冬の雪山で感じた地球の変化

今年の冬は暖冬で、北国の北海道でも雪不足でスキー場もオープンが遅れたりといつものニセコの冬とはひと味違う雰囲気だった。だいたいニセコは、クリスマスシーズンは大寒波が押し寄せて、朝1番のリフトに乗れば、最低半日はリフトでパウダースノーを味わえていた。しかし、今シーズンはそれも無かった。北海道に大雪を降らす低気圧が発達しなかった為に、ハワイのノースショアの波にも影響が出て、ワイメアのビッグウェーブコンテスト(エディアイカウ)は中止となった訳である。気候変動とか気候危機とか数年前から世界中で騒いでいるのは良く知っていたが、この冬の暖かさを経験すると、まさに地球が狂いだしている事実を実感した嫌な冬だった。
そんな訳で、今年は1月の後半にはニセコから湘南に戻ってきていた。この頃は確かコロナ騒ぎなど気にもせず、雪が降るたびに長野や群馬や新潟までスノーボードを楽しみに行っていた。この頃、俺はちょっとしかコロナの事は気になってはいたけれど、妻は違っていた。
世界中の情報をネットで検索し、調べ上げ、かなり深刻な状況を俺に伝えてくれていた。と言うのは、翌週の月曜日2月18日からインタースタイルがはじまるからだった。このイベントには、ダブウェットスーツは毎年欠かさず出展しており、全国のディーラーが訪れる重要なイベントとなっていた。
新型コロナウィルスの集団感染が起きたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号が、2月3日横浜港に到着すると感染者が日に日に増え、死者も出て、毎日のようにニュースや全ての報道機関で大騒ぎになっていた。インタースタイルはこの横浜港の側で開催される訳で、開催日まであと5日に迫っていた。会社での話し合いにより、全国から来るディーラーさんや社員の事を一番に考え、今回は出展を急遽取りやめる事にした。

色々な計画は先が見えない状況に

もう一つ、俺は毎年3月から4月にかけて雪山を離れ、雪とは真逆の裸でサーフィン出来るポイントにトリップへ行くのが恒例となっていた。今年も3月26日からスンバワと4月14日からのチマジャに行く予定だったが、このコロナ騒動で中止となった。色々立てた計画はコロナウィルスの動きで、次々に変わっていき、先が見えない状況になってしまった。
そして、3月12日にWSLが残りの3月のツアー大会を中止する決断を下した。そこには3月26日からゴールドコーストで開催予定だったチャンピオンツアー(CT)開幕戦も含まれていた。3月16日から始まる、コロナ・ピハプロニュージーランド(QS)と3月26日から始まるコロナ・オープン・ゴールドコースト(CT)も中止と聞いた。メキシコの有名なビール、コロナビールは、コロナウィルスのために風評被害を受けて生産をストップしたらしい。ひどい話だ。そして、とうとう3月23日外出自粛要請が出された。
24日には、とても気になっていた7月からのオリンピックも延期が決定。さらに3月29日、国民的スターの志村けんがコロナウィルスで亡くなったニュースが流れた時、今までそれほど実感のなかった気持ちが、一気に緊張感を増す事態となり、歳が同じなだけに正直俺もこの得体のしれないウィルスが本当に怖くなった。
photo: Kenyu

一変した地元での暮らし

4月7日、俺の住む神奈川県にも緊急事態宣言が出された事で生活の景色は一変した。
日本サーフィン連盟も4月23日に全サーファーに不要不急の外出自粛の呼びかけをした。しかし、まだ緊急事態宣言が出ている4月中頃の土日の鵠沼海岸は、国道は渋滞して、海は人で賑わい、波も胸位のいい波で200人のサーファーの姿が、テレビニュースで2日間流され、サーファーのイメージはガタ落ちとなった。丁度この頃は、休業要請に応じないパチンコ店に朝から並ぶ連中と同じぐらいの頻度で取り上げられていたので、サーファーの俺は本当にがっかりしてしまった。
外出自粛、緊急事態宣言が出されたときから社会は一気にルールが変わり、今までの常識が、そしてこの間まで普通にできていた事が禁止された。全国のサーフィンの出来るポイントの駐車場は全て閉鎖された。そしてゴールデンウィークに入ると、いつもテレビで見る渋滞も見られず、町も海も山も静まり返っていてちょっと不気味だった。
何しろ俺は、年中波のある所に旅に出ていて、こんなに長く家にいるのは初めてで、ましてや今日で2か月もサーフィンをしなかった事は、去年の翼状編の手術以来である。でも去年は海に入れない代わりに、雪山でスノーボードを楽しめていた。それすらもこのコロナに奪われてしまった。自粛のあいだは、今までやらなかった事を色々やったよ。

不思議な事に期待に満ち溢れていた

庭の手入れにはじまり、草むしりや伸びた木の枝を切ったり、家庭菜園も生まれてはじめてやってみたよ。部屋の掃除も自分でやってみるととても気持ちが良いね。綺麗になった家でのんびり過ごすのも悪くないと本当に思ったよ。これは妻のおかげでもあると本当に感謝している。でも、やっぱりサーフィンができない事は、落ち着かなかったよね。毎朝、波伝説のライブカメラでの波チェックはかかさずしていたし。(それが唯一の楽しみにもなっていたよ。笑)あとは、時間がありすぎるから、昔の写真や雑誌などの整理もした。なんせ高1の秋からサーフィンをはじめ、気が付いたら55年の歳月が経ち、ダブサーフィングウェットスーツを立ち上げ、今年は45周年の記念の年なんだ。連休中は全国のサーフショプが自粛した為、連休明けのオーダーの少なさには驚かされた。 しかし俺は、この得体の知れないウィルスが、今までの常識を打ち破り、全く新しい考え方の世の中に変わると予感し、この機会を味方にして、会社も今までのやり方を大きく変える最高のチャンスだと感じていた。だから不思議な事に期待に満ち溢れていると言う複雑な気持ちもあったりする。
photo: Nobu Fuku

サーファーにもさまざまな変化が

そういえば、サーファーも我慢している人としない人が分かれていたね。俺はどっちが正しいとは言えない。ただ全国のサーフポイントによって、ローカルルールが出来上がり、各ポイントポイントで温度差があるのは確かだった。ただ、各ポイントを守って昔からサーフィンをしてる重鎮の動きや意見に左右されていた部分が大きくあったように見えた。自粛活動をしていた仲間は、県外からやって来るサーファーへ「今はサーフィンを遠慮してください」と優しくお願いしても、若い人達は素直なのに歳を取ったサーファーは言う事を聞かない、と言う話を聞いて驚いた事もあった。なぜ彼らはその活動をしていたかというと、それは駐車場が閉まっていたから、近くの空いてるコインパーキングやスーパーの駐車場、最悪は路上駐車をして、サーフボートにウェットスーツ姿で 歩いてる全く面識のないサーファーを、海のそばに住む人たちは1番怖がり嫌がるからなんだ。だから家からポイントまで歩いて行けるローカルはサーフィンしてもいいと思う。問題なのは県を跨いでまでやってくることなんだ。
この緊急事態宣言中、若いプロサーファーは、自宅で出来るトレーニングをインスタに出したり、 俺の知ってるトッププロサーファーは、みんな自粛して真面目にマナーを守ってることにとても希望が持てた。今はそこら中に目があり口ありで、 特にSNSはあっと言う間に話は広がり話題になり、昔の様にコソコソ出来ないのが現実だ。とりあえず自分も会社の人間も国の言う通りに自粛はしていた。しかし、新緑のこの時期のサーフィンは空も海水も透き通り、最高に気持ち良い季節だ。この貴重な2か月近い時間は、一生戻ってこない。しかし、またいい経験と考える時間を与えてもらったと良いように思う事にしている。
photo: Nobu Fuku

コロナの前から地球は悲鳴あげて怒っていた

コロナウィルス感染拡大防止のため、外出制限や都市封鎖のため、人間が経済活動を辞めた結果、世界中で起きている地球環境の改善にも繋がったと思う。人間の動きと地球環境は切っても切れない事実が改めて理解できた。中国のスモックが減り、空気が綺麗になり、インド北部の州では大気汚染で見えなくなっていたヒマラヤ山脈がはっきり見えるようになったのは30年ぶりだとか。そして水の都ヴェネツィアは封鎖により水路の水が澄んできたり、ワイキキでは観光ボードが出てない為、海水は綺麗になり、海亀も増えてきて、公園 では昔に見れた綺麗な鳥達もみえるようになったらしい、コロナの前から地球は悲鳴あげて怒っていたんだ。
この冬の暖かさや年々被害がデカくなる台風といい、全て人間が犯した事はわかっていた。地球温暖化防止会議で世界各国での会議をしても大気汚染は収まらなかったけれど、コロナ騒ぎで急速に回復しているし、人間の動きが全て止まると地球が健康になる事が良くわかった。
これからは今までとは違う世界が待っている。よく笑い、よく食べ、よく寝て、自然に感謝し、自分の好きな事を見つけ極める。健康な身体を作り、毎日気持ち良く暮らす様に心がけることが、なによりも大切だと思う。
photo: Yasuma Miura

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FUNQ NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

FUNQ NALU 編集部の記事一覧

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