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【Portrait】サーフボードファクトリーを営む室原真二さんの南相馬市への想いとは

15年ほど前より南相馬市で唯一のサーフボード製作所を経営する室原真二さん。この場所で育ち、一度も町を出たことのない生粋の南相馬市民である彼は、この場所に対する思いも強い。海をテーマに町をもっと活性化したい。そんな気持ちが伝わり、現在はサーフツーリズム推進委員会の委員長を担当。サーフコンテストでの誘致などを通して、この海の魅力を伝えている。

サーフィンで東北エリアといえば宮城県も有名だが、今では北海道から北関東エリアまでを含め、福島県がNSA(日本サーフィン連盟)の会員数が最も多いのだそう。NSAと言えば、プロサーファーを目指す、もしくはサーフィンを愛してやまない人々の登竜門。この場所から世界を目指すプロサーファーが生まれる日も近い。

唯一無二のサーフィンの魅力

「中学3年生の頃、海沿いに住んでいる友達のお兄ちゃんがサーフィンをしていて。その姿を初めて見た時に、かっこいい! と思って、少しだけサーフボードを借りて波に乗ったのが初めてのサーフィンです」と室原さん。

その記憶は頭の片隅にずっとありながらも、高校生ではバレーボール部に所属。日々練習を繰り返し、国体に出場するほどの実力を得た。

「でも、ずっとサーフィンのことが頭にあったんでしょうね。国体が終わった高校3年生の夏、もう一度波に乗りました。その時の喜びといったら! あっという間にサーフィンの虜になりました。他のスポーツはだいたい人工的に作られたフィールドの中で行われますが、サーフィンは100%自然と調和しながら楽しむもの。普段の生活では得られない感覚があり、夢中になりました。波は日々変わる。自然のわがままにお付き合いしながらするスポーツって他にはなかなかないと思うんですよね」

サーフィンにすっかり魅了された彼は、プロサーファーを目指すほどの情熱を持ちながら、27歳で自身のサーフボード製作所をオープン。サーフィンの魅力をもっと発信したい。そう思った時、選んだのはプロサーファーの道ではなく、裏方としてこの業界を支える仕事だった。

「そんな風に自分ができる最大限を目指している時に、嬉しい出会いがありました。当時僕はNSAの福島支部長を担当したばかり。南相馬市の発展を目指す公共プロジェクトの中で『海がこの場所の最も魅力的な資源ではないか?』という話が上がってきたんです」

南相馬市で世界サーフィン大会を実施

世界サーフィン連盟の資格を取る講習会で、たまたま「東北で世界大会をやらないか?」という相談を受けていた矢先。市からも同じような提案を受け、双方のタイミングが奇跡的に繋がったのだ。

「驚きました。本当に絶妙なタイミングでした。2000年近くに北泉海岸に公園ができて、この場所をどう盛り上げていくかを市が考察している時だったんです。じゃあサーフィンの世界大会をここで行おうという目標から2003年ごろに『サーフツーリズム推進委員会』が立ち上がり、2006年には世界大会を開催しました。サーフィン大会を知らない人にその意味を理解してもらうために、まずは南相馬市の市長杯を行うことから始めました」

1回目の市長杯は、室原さん的には失敗。そのため、もっと県外からサーファーを呼び、この大会を盛り上げるために、さまざまな工夫を行った。最初は100人も揃わなかったサーフィン大会は、最終的には350人以上集まるほどのイベントに。

そんな時、想像もできない震災が起こった。

サーファーだから今できること

「2003年頃は、北泉海岸は年間6万人以上も訪れる人気ビーチでした。サーフィンをやりたいと県外から訪れる人も多い場所でした。この地域で仕事をしながらサーフィンをしたり、他県から住居を借りて住む人もいっぱい。活気があって、楽しい未来を想像できる町でした」

熱い想いを持って100までに増やしてきたこの海のファンは、震災の影響でゼロまでに軽減。室原さんの感覚ではマイナスにもなった。でも、この町が、海が好き。その想いが今もサーファー達を突き動かしている。

「当初は僕らもなるべく海に行かないようにしていました。サーフィンも自粛して、南相馬市の人々の心に寄り添うように努めてきました。震災の2年後からはサーファーへの慰霊祭を行い、気持ちを伝えると共に、あとは私たちが頑張って復興しますとも伝えました。その頃からですね、サーファーが海に帰ってきたのは」

北泉海岸は年間に何万人もサーファーが訪れる魅力的な場所。夏は常に大賑わいで、春から秋まで、すべてがベストシーズン。冬は東北ならではの寒さがあるが、年間を通しての波のクオリティは日本屈指なのだ。

もともとは原町シーサイドパークと呼ばれていた北泉海岸には、巨大迷路やオートキャンプ場、お風呂もあり、公園の中は裸足で歩けるくらい安全に保たれていた。少しづつサーファーや海水浴客が戻ってきている今、サーフツーリズム推進委員会にできることはたくさんある。

「海水浴場も数年前にオープンしました。毎年欠かさず行っていたサマーフェスティバルも復活! お祭りに絡めて花火をあげるんです。以前はその時期に合わせてサーフィンの大会を開催した時もありましたね。サマーフェスティバルが復活した年は残念ながら日中はにわか雨で…。これは失敗かなと思ったんですが、夕方にはパタリと雨が止んで、花火をあげることができました。たった20分間なんですが、想像以上に多くの人が集まってくれて。翌日からはビーチに足跡がいっぱいあって。ああ、みんなにとってやっぱり海は気持ちいい場所なんだな、と感じて、なんとも言えない嬉しい気持ちになりました」

南相馬市の海と未来へ

今後も海をテーマにこの町に人が集まる仕組みを作っていきたいと話す室原さん。サーフィンを始めてみたいと思っている人はもちろん、純粋に海の風景を楽しめるビーチイベントなども開催したいと思っている。

長くサーファーである室原さんは世界中をサーフトリップした経験がある。NSAの大会に携わっているので、国内のサーフポイントもほぼ訪れた。

「それを踏まえても、北泉海岸周辺は最高だと思うんですよね。一年を通してまず波がある。そして海から町までの距離が近い。高速道路も伸びたし、条件的にもサーファーにぴったりな町だと思っています。この立地条件の良さは他にはないですね。公園もこれから変わってくると思うので、それも活用して、日本一のサーフタウンにしたいです。それほどのポテンシャルが南相馬市には絶対あると思っています」

 

日本各地のビーチが次々と侵食される今、北泉海岸の砂浜はなぜかどんどん広がっている。この場所ももともとは人工ビーチだが、他とは違う景色を作り出している。その先には混雑とは無縁の良質な波。そして春から秋までずっと気持ちがいい。

「福島は“福の島”と書いてハッピーアイランド。サーファーにとって、間違いなく素晴らしい場所なんです」

 

再会の海~北泉の波が呼んでいる~

サーフィンの街・南相馬市が辿る希望への歩みに、サーフィン専門メディアNALUがさまざまなコンテンツで迫る。

はじめてのサーフィン

“いつか子供と一緒にサーフィンしたい”と夢見る子育て世代のお父さんサーファーの願いをカタチにするべく、震災からの復活を歩む福島県南相馬市の北泉海岸を舞台に、あるプロジェクトが動き出しました。子供たちのサーフィン初体験物語を、「Def Tech」のMicroが結成した新ユニット「WST(ダブスト)」の楽曲にのせてお届けします。

RESTART -北泉海岸 再始動したサーフツーリズム-

“リスタート”をテーマに、福島県南相馬市・北泉海岸の「サーフツーリズム」プロジェクトに密着したドキュメンタリー。震災から11年。ローカルとビジター、サーフィンをする人としない人、みんなにやさしくてひらかれたビーチを目指して奮闘する人々の声を、サーファー・坂口憲二さんのナレーションと共にお届けします。

 

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PROFILE

NALU 編集部

NALU 編集部

テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

NALU 編集部の記事一覧

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