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ワウト緊急参戦で構図変化あるか!? リエージュ~バストーニュ~リエージュ展望|ロードレースジャーナル

vol.37 春のクラシック最終戦
最後の上り「ラ・ロシュ・オ・フォーコン」でどれだけ生き残れるかがポイント

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。春のクラシックは大詰め。大トリとなるのがロードレース界で最も歴史あるワンデーレースのリエージュ~バストーニュ~リエージュだ。幾多の名勝負を見守り、都度チャンピオンを生み出してきた権威あるレースが、今年もやってきた。

独走か小集団か、運命は終盤30kmで決まる

リエージュ~バストーニュ~リエージュの始まりは1892年。ツール・ド・フランスの初開催が1903年だから、それ以上の歴史を誇るレースである。それを示すかのように、別名を日本語で“最古参”を意味する「ラ・ドワイエンヌ(la Doyenne)」と呼ぶ。

ベルギー南部・ワロン地域の丘陵地帯が舞台で、レース名のとおりリエージュを出発し、南に位置するバストーニュで折り返してリエージュへと戻ってくるコース設定。両都市を基点として8の字を描くようなルーティングになっていて、例年走行距離は260km近く、登坂区間は10カ所程度設定される。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

その権威と山岳に匹敵する登坂レベルから、このレースに限ってはクラシックハンターだけではなく、グランツールレーサーやクライマーも集う。ここ3年の優勝者だけ見ても、2019年ヤコブ・フルサン(現イスラエル・プレミアテック、デンマーク)、2020年プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)、2021年タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)と、いまをときめくグランツールレーサーが大勝利を挙げている。

108回目となる今回のコースも、ほぼ例年どおり。257.1kmに設定され、登坂区間は前回から1減の10カ所。バストーニュまでの前半戦こそ大きな上りは1つだけだが、約100km地点で折り返してからは、本格的な登坂勝負となっていく。

フィニッシュまで約95kmのコート・ド・モン・ル・ソワ(登坂距離1.7km、平均勾配7.9%)に始まり、コート・ド・ワンヌ(3.6km、5.1%)、コート・ド・ストクー(1km、12.5%)、コート・ド・オート・ルヴェ(2.2km、7.5%)が含まれるおおよそ20kmで最初のふるい分け。

残り約56kmのコル・ドゥ・ロジエ(4.4km、5.9%)、13km進んだ先のコート・ド・デニエ(1.6km、8.1%)を越えた頃には、メイン集団にはそう多く選手は残っていないことだろう。

昨年からのコース変更により今回は残り約30km(前回は残り約35km地点)で登場する、コート・ド・ラ・ルドゥット(2.1km、8.9%)が先手攻撃の場となる。チーム力に自信のあるチームなら準エースクラスが投下され、状況次第では優勝候補自ら動く……なんて展開もなきにしもあらず。

最大のヤマ場となるのが、最後の登坂区間であるラ・ロシュ・オ・フォーコン(1.3km、11%、最大勾配13.2%)。ここで大物たちが確実にアタックを繰り出し、大幅な局面変化を引き寄せることになる。頂上到達時点で、フィニッシュまでは13.3km。小さな上りと長い下りをこなして、あとはリエージュの街へ向かう平坦区間が残る。

ラ・ロシュ・オ・フォーコンからフィニッシュまでの距離が幾分残ることから、最終盤を独走にできるか、はたまた小集団勝負に持ち込まれるのかが最大の見どころ。3年前はフルサンが独走に持ち込み、昨年と一昨年は5人によるラスト勝負になった。このあたりは選手・チームによって思惑が異なる。思いどおりの展開に持ち込めるかも、選手たちの力の見せどころである。

フレーシュで失速のポガチャル、アラフィリップは修正力を見せられるか

今大会には25チームが出場する。

前回、5人の勝負を制したポガチャル。連覇がかかる今回もマルク・ヒルシ(スイス)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア)といった実力者たちで脇を固めて臨む。4月20日のラ・フレーシュ・ワロンヌではユイの壁の最終盤で失速してしまったが、このレースへどう修正しているか。もっとも、フレーシュは短期休養明けのレースだった面がコンディションに作用していたことも考えられる。レース距離が長くなり、タフな上りが連続する今回こそ、本来の力を見せるチャンスである。

2021年大会はタデイ・ポガチャル(中央)が5人の争いを制した ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

“修正”という観点でいけば、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)もフレーシュからもうひと刺激ほしいところ。直近レースでのクラッシュが尾を引いている可能性があり、状況によってはレムコ・エヴェネプール(ベルギー)にエースの座を託すのでは……と見られていたが、フレーシュではやはりエースとして戦った。最後は上位3選手から離されてしまったが、力強さが戻ってくればリエージュでも十二分に戦える。2年前には一度は勝ったと思われながらも、フィニッシュライン手前でログリッチに差され、さらには進路妨害により降着。昨年もあと一歩届かず2位。今年こそ初戴冠なるか。

前々回は降着、前回は2位とあと一歩リエージュ制覇に手が届いていないジュリアン・アラフィリップ。今年こそ、の思いは強い ©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

3年前の覇者フルサンはどうだろうか。今季はここまで静かなシーズンを送っており、フレーシュも53位。自身で勝負するのではなく、6位に入ったマイケル・ウッズ(カナダ)のサポートに回っている。リエージュでは2018年に2位となるなど、昨年まで5年連続でトップ10入りしているウッズの相性とワンデー巧者の面を買う方がチームとしては現実的なところか。イスラエル・プレミアテックは、ウッズ擁立でレースを構築していきそうだ。

もちろん、フレーシュでトップ3に入った選手たちも注目だ。念願のワンデータイトルをつかんだディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)は、自身・チーム双方の勢いそのままにリエージュへ。先に控えるジロ・デ・イタリアへ調子を上げるミケル・ランダ(スペイン)、ミラノ~サンレモ覇者で先日のパリ~ルーベでも好走したマテイ・モホリッチ(スロベニア)、2016年にこの大会で勝っているワウト・プールス(オランダ)も合流し、チーム力だけならナンバーワンといえる布陣。この顔触れだと、フレーシュの覇者がアシストを務めるような状況さえ考えられるほど。

4月20日のラ・フレーシュ・ワロンヌで表彰台を占めた3人にも注目。左からアレハンドロ・バルベルデ、ディラン・トゥーンス、アレクサンドル・ウラソフ ©︎ A.S.O./Gautier Demouveaux

フレーシュ2位のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)は、今季限りでの引退を表明しており、これが最後のリエージュになる。最高の形で別れを告げられるだろうか。フレーシュではエンリク・マス(スペイン)らが機能しており、続く今回も主導権争いに加わることだろう。なお、バルベルデが今回勝てば、エディ・メルクスに並ぶ5度目の優勝に。レース翌日に42歳の誕生日が控え、前祝いとなるだろうか。

トゥーンス、バルベルデに続いたアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)擁するボーラ・ハンスグローエは、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)、ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)、セルヒオ・イギータ(コロンビア)も加わって、グランツールレーサー4人がそろい踏み。こちらも戦力は充実。

この男の参戦で、戦いの構図はどうなるか。ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が、2位で終えたパリ~ルーベ後にリエージュへの参戦を表明。すでに試走も済ませて、あとはレースを待つのみとなっている。新型コロナウイルスに感染し、しばし戦線を離れたが、かえって良い休養になったと見て良いだろう。ルーベでの走りが何よりの証拠である。優勝こそ逃したが、当初のアシスト宣言を走りで覆す2位フィニッシュは敗れてもなお強いインパクトを残した。距離・レイアウト問わずマルチに走る彼なら、リエージュのアップダウンにも適応するに違いない。なにより、最後まで残ればスプリントという最大の武器も携える。有力選手・チームが最も恐れる存在である。

そのほか、優勝経験者としては、2011年に勝っているフィリップ・ジルベール(現ロット・スーダル、ベルギー)、2018年覇者のボブ・ユンゲルス(現アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ルクセンブルク)が出場予定。ジルベールも今季でキャリアを終えることが決まっており、リエージュを走るのがこれが最後。ユンゲルスは、チームメートのブノワ・コスヌフロワ(フランス)の走りが計算できることから、要所でのアシストとして動くことが予想される。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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