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ワウトが雪辱のステージ優勝 個人総合でもリード広げる|クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ

ツール・ド・フランス前哨戦、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは現地6月9日に第5ステージを実施。集団スプリントで争われたステージ優勝争いは、個人総合首位の証であるマイヨジョーヌを着るワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が勝利。ここ2日間続いていたステージ2位の雪辱を果たした。また、ボーナスタイムを加えて総合リードを広げることに成功。2位以下に1分以上の差をつけている。

粘る逃げグループをかわしてワウトがスプリント勝利

大会は半分を消化。開幕から3ステージはスプリントで決し、前日の第4ステージは個人タイムトライアルで個人総合争いの形成が少しずつ見える状況となってきた。後半戦1つ目のステージは、ティジー=レ=ブールからシェントレまでの162.5km。2級から4級までのカテゴリー山岳が4つあるものの、全体的にはプロトンを崩すほどの難易度ではないとみられる。スプリント、逃げともに可能性のあるコースではあるが、個人総合の観点からは変動がないものと予想された。

やはり逃げを狙った動きが序盤に発生し、激しい出入りとなった中、30km地点に前後して3人がリードを開始。ファビアン・ドゥべ(トタルエナジーズ、フランス)、ヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)、セバスティアン・シェーンベルガー(B&Bホテルズ KTM、オーストリア)が先行した。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

この間、3級山岳と中間スプリントポイントをともにバークランツが1位通過。その後、メイン集団からバンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)と山岳賞リーダーのピエール・ロラン(B&Bホテルズ KTM、フランス)が抜け出して、やがて先頭3人に合流。その後の2級山岳はロランが1番に通過し、山岳ポイントを加算している。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

こうした動きを静観してきたメイン集団は、リーダーチームのユンボ・ヴィスマが2分前後のタイム差でコントロール。フィニッシュまでの残り距離が80kmを切ったあたりからその差が1分台となり、タイミングを同じくして先頭ではロランが集団へと戻る判断。先行する4人はいつキャッチされても不思議ではない状況になった。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

しかし、それを計っていたかのように先頭4人がペースアップ。再びタイム差を2分台に乗せる。メイン集団は残り30kmを切ってからユンボ・ヴィスマに続いてイネオス・グレナディアーズもコントロールに加わり、先頭グループとの差を縮めにかかる。その流れのまま終盤のカテゴリー山岳へと入っていき、スプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オランダ)らがたまらず集団から遅れていった。

上りを経て勢いは集団にあるとみられたが、下りに入って先頭4人がまたも加速。集団との差は約30秒で逃げ続ける。残り3kmからはさらにその差は縮まり、数秒差で最後の1kmを迎えた。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

驚異の粘りを見せた先頭4人は、残り400mでトマが早めのスプリント開始。しかし、集団も最後の局面へ加速しており、好位置からマイヨジョーヌのファンアールトが飛び出すと、長く先行していた4人をパスしてそのままフィニッシュへ。ジョルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)が迫ったが、ファンアールトが押し切って第1ステージに続く今大会2勝目を挙げた。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

第3ステージではフィニッシュ直前で逆転を許し、第4ステージの個人タイムトライアルではわずかにトップへ届かず。2日連続でステージ2位だったファンアールトは、雪辱となるスプリント勝利。ここまで着実にリードを築いている個人総合でも、2位以下に1分以上の差をつけて残るステージへ向かうこととなった。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

現地10日に行われる第6ステージは、リヴからギャップまでの196.5km。今大会の最長ステージは、丘陵コースにカテゴライズされるように前半からカテゴリー山岳が連続するなど、タフな上りが待ち受ける。一方で、最後のカテゴリー山岳となる2級の上りからフィニッシュまで約57kmあり、多少遅れても挽回できるチャンスはある。ここまでのステージ同様にスプリントによる勝負となるのか、人数が絞られた中でのステージ争いとなるのか、見どころの多い1日となりそうだ。

ステージ優勝、個人総合首位 ワウト・ファンアールト コメント

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

「最後の1kmまで追走することに集中し、それからスプリントへと気持ちを切り替えた。クリストフ(ラポルト)にできるだけのことをしてほしいと頼んで、再び大きな勝利をつかむことができた。今日の追走はとりわけ大変で、その差を埋めるのにチーム全員の力が必要だった。結果的に成功し、チームメートがとても誇らしいよ」

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2022 第5ステージ結果

ステージ結果

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 3:38’35”
2 ジョルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)ST
3 イーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)
4 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタルエナジーズ、ノルウェー)
5 ユーゴ・パージュ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、フランス)
6 ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード、ベルギー)
7 アンドレア・バジオーリ(クイックステップ・アルファヴィニル、イタリア)
8 ヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)
9 マティス・ルーヴェル(チーム アルケア・サムシック、フランス)
10 フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)

個人総合時間賞

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 17:04’31”
2 マッティア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル、イタリア)+1’03”
3 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+1’06”
4 イーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’32”
5 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+1’36”
6 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+1’49”
7 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’55”
8 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+1’58”
9 マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター チーム、アメリカ)+2’00”
10 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+2’10”

ポイント賞

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞

ピエール・ロラン(B&Bホテルズ KTM、フランス)

ヤングライダー賞

イーサン・ヘイター(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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