クミン ~スパイスの魅力を引き出すカレー、その他のレシピ~
buono 編集部
- 2019年07月13日
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「とりあえずクミン」を卒業!次に覚えたいスパイス5選
スパイス使いの手始めとしてはクミンは最適解と言えるが、それだけでは作る料理が単調になってしまいかねない。いつもと違うスパイスを使用して料理を美味しくできないものかと、ふと感じる趣味人もいることだろう。
では、クミンの代わりにどんなスパイスを使えば良いのか?これまで、様々なエスニック料理を手掛け、現在は東京・豊島区でカレー店『カッチャル バッチャル』を営む田村修司氏に聞いてみた。
あえてクミンの代用を考えることでスパイスの楽しみは広がっていく
「正直なところ、私が作るメニューは9割がたクミンが使われているんですが、作る側からしても日常的に当たり前のように使用しているもの。それはエスニック料理全般に言えることだと思います。ただ、インドの豆カレーでクミンを使わないメニューもありますし。クミンがなければエスニック料理が成立しないかと言われるとそうでもない気がします。ことカレーにおいては、ガラムマサラをレギュラーとし、ほぼ準レギュラー的立ち位置であるクミンを外すことは普通では考えられませんが、スパイス自体、数えきれないほどのバリエーションがあります。その中で、新たなスパイスを開拓してみるというのも料理の幅を広げる意味で面白いかもしれませんね」
素材や味付けとの相性からスパイスを探る
田村氏に“脱・クミンレシピ”を依頼すると、広く知られているブラックペッパーやコリアンダーシード、そしてマニアックなアジョワン、メティ、フェンネルの5つのスパイスをクミンの代用として起用するエスニック料理を提案してくれた。その中にはクミンの使用が必須と潜在的に思われているカレーが入れられているのも興味深い。「たしかにカレーやエスニック料理にとって、クミンは余りある存在感を発揮するスパイスですが、他のスパイスを使うことでも料理に変化を付けることはできます。これまで、何の疑問も持たず、無意識にクミンを使用していましたが、あえてクミンを使わずに素材や味付けと相性の良いスパイスを探してみるのも良いかもしれません」
料理は応用するからこそ楽しいもの。クミンを使うことを否定するわけではなく、あくまでも料理をアレンジするひとつの手段としてのスパイス替え。いままで知らなかったスパイス、または知ってはいたものの使ったことがなかったスパイスを使ってみると意外にクミンよりも相性が良かったという発見があるかもしれない。スパイスの知見を広める、そのための第一歩として、クミンを封印してみるというのは、実に有効な手段といえるのではないだろうか。
クミンの代用スパイス1:フェンネル
鰤のカレー
鰤のしつこい脂っぽさを軽減してくれる爽やかな香りと風味。フェンネルマジックをご堪能あれ。
【材料】
サラダ油……40g
ごま油……20g
フェンネル……5g
マスタードシード……2g
ニンニク(スライス)……2片
玉ねぎ(スライス)……1/2玉
トマトピューレ……75g
コリアンダーパウダー……3g
ターメリック……3g
塩……5g
ココナッツミルクパウダー……50g
水……1400cc
レモン汁……1/4個分
黒砂糖……5g
鰤……1切れ
〈トッピング〉
刻み生姜……少々
パクチー……少々
トマト……少々
【作り方】
2種の油をひとつのフライパンで熱し、フェンネル、マスタードシードを入れ油に香り付けする。さらにニンニク、玉ねぎを色付くまで炒める。トマトピューレ、コリアンダーパウダー、ターメリック、塩、ココナッツミルクパウダーを加え加熱後、水、レモン汁、黒砂糖を投入し、最後に鰤を入れ、火が通ったらカレーの完成。器に盛り付け、トッピングをして出来上がり。
クミンの代用スパイス2:メティ
ラムチョップのグリル
甘くほろ苦いメティの風味がやわらかでジューシーなラムの野趣を引き立てる。
【材料】
ラムチョップ……1kg
(A)
塩……10g
ヨーグルト……400g
ニンニク(ペースト)……20g
生姜(ペースト)……20g
メティ……3g
【作り方】
ラムチョップをAの浸けダレに3日間ほど漬け込んでおく。味付けされた肉の表面に多少焦げ目が付く程度に15分強オーブンで焼いて出来上がり。
クミンの代用スパイス3:アジョワン
海老の香味焼き
濃厚ながら爽快なソースとぷりっとした食感を楽しもう。
【材料】 2人分
(A)
アジョワン……1g
塩……1g
ターメリック……1g
ニンニク(ペースト)……1g
生姜(ペースト)……1g
カイエンペッパー……1g
オリーブ油……少々
海老……4尾
刻みパクチー(仕上げ用)……少々
【作り方】
Aを丁寧に混ぜて撹拌する。これを下処理が施された海老に塗りオーブンで5分強ほど焼く。仕上げに刻みパクチーをまぶして完成。
クミンの代用スパイス4:コリアンダーシード
新野菜のピクルス
ジューシーで甘い野菜と、ほんのりコリアンダーの香りの妙。
【材料】 8人分
(A)
水……1L
酢……500㏄
ローリエ……5枚
コリアンダーシード……10g
タカノツメ……5本
ハチミツ……100g
塩……20g
旬の野菜(赤大根、ウド、カブ、キュウリ、コリンキー、シラウリ、トウモロコシ、ミニトマトなど)…適量
【作り方】
Aを合わせて中火で加熱。沸騰したら火を止めひと口大に切った野菜を煮汁に浸す。常温で3時間寝かせ、熱が取れたら冷蔵庫で1日寝かせて完成。
クミンの代用スパイス5:ブラックペッパー
バターチキンカレー
なめらかで甘いバターの風味にブラックペッパーのアクセントが好相性。
【材料】 4人分
無塩バター……120g
シナモンスティック……3g
カルダモン……3g
ニンニク(ペースト)……50g
生姜(ペースト)……50g
ホールトマト……1kg
塩……12g
ハチミツ……50g
ブラックペッパー……10g
生クリーム……250ml
鶏肉……500g
(A)
塩……5g
ニンニク(ペースト)……12g
生姜(ペースト)……12g
ヨーグルト……25g
【作り方】
無塩バターを中火で溶かし、シナモンスティック、カルダモン、ニンニクペースト、生姜ペースト、ホールトマト、塩、ハチミツ、ブラックペッパーの順で加熱しながら2時間ほど煮込みルウが完成。最後に生クリームを投入し火を止める。鶏肉はAを混ぜ合わせたタレに1時間ほど漬け込み、オーブンで15分ほど焼く。焼いた肉にルウを絡めて完成。
ここまで、クミンのもつたくさんの魅力を引き出す多様なレシピ、そしてクミンを入口にして広がっていくスパイスの世界をご紹介した。
世界中で愛されるクミンを知り使いこなせるようになれば、世界の料理はぐっと身近なものになってくる。
スパイスマスターたちの知恵と経験から生まれたレシピを参考に、クミンの世界を存分に楽しもう!
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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