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タープ&テント設営テクニック|ひとりで美しく張る方法!

基本さえおさえればたったひとりでも大型のタープやテントの設営ができる! 

ひとりでは途方に暮れてしまいそうな大型のタープやテントも、基本さえおさえればたったひとりでも設営ができる! 国内外のテントを数多く張ってきた牛田浩一さんに聞きました。

文◎藤原祥弘 Text by Yoshihiro Fujiwara 
写真◎猪俣慎吾 Photo by Shingo Inomata
出典◎フィールドライフ No.67 2020 春号

教えてくれた先生

アウトドアのなんでも屋 牛田浩一さん

Technique.1 タープ

キャンプサイトに雨に濡れないスペースを生み出してくれるタープ。一枚の布なので自由で応用が効くものの、強く美しく張るにはちょっとしたコツが必要。

写真のタープ:オガワ/フィールドタープヘキサDX 

  • サイズ:570×500cm
  • 重量:約5.5kg

汎用性の高い6角形のシルエットで雨に濡れない広いリビングと美しいデザインを両立。布地には遮光ピグメントコーティングが施され、強い日差しを和らげる。ラチェットポールを2本標準装備する。

ラインの緩みは心の緩み!

日差しと雨を遮るタープにはいくつかの種類がある、と牛田さん。

「まずは形に注目しましょう。大別すると6角形のヘキサと長方形のレクタがあり、ヘキサは張り姿が美しく、レクタは覆う面積が大きいという特徴があります。入門者は、若干ヘキサのほうが張りやすいでしょうか。

厚みと材質もポイントです。薄手のシルナイロン製は、バックパックでも運べますが、それ以外の素材は車載が前提となります。焚き火を近くで燃やすなら、コットンを混紡した難燃性のものがいいですね。

覆える面積、重量、遮光性、燃えにくさといったチェックポイントを意識すると、自分に合ったタープが選び出せると思います」

設営時の注意点は、とにかくしっかり張ることにある、と牛田さんは話す。

「きちんとペグダウンしないと風に煽られたタープがペグを跳ね上げ、思わぬ事故につながることも。ペグの打ち込みとガイラインの調節は確定にしましょう」

レクタとヘキサ、どっちがいいの!?

レクタ

〇大きなリビングを作れる!
〇雨が降り込みにくい!

……でも、風をはらみやすい

ヘキサ

〇張り姿が美しい!
〇強風を逃す!

……でも、雨が降り込みやすい

タープ設営の基本

①片側のメインライン2本をペグダウン
メインのガイライン2本がなす角度は60°がベスト。慣れるまではポールをT字に並べ、Tの横棒の両端にペグを打つと場所を割り出せる。

②片側のメインポールを立ち上げる
タープの稜線のループにポールの先端を挿し入れ、ガイラインにテンションをかける。ポールを内傾させるとタープの重みでポールが立つ。

③もう片方のポールを立ち上げる
タープにテンションをかけつつ反対側に移動。もう片方の稜線のループに残るポールを挿し入れる。ポールを外傾させつつガイラインを握る。

④テンションをかけつつペグダウン
2本のガイラインを手にとって引き、2本目のポールにテンションをかけつつペグを打つ。最初に打ったペグと対照となる位置に打つこと。

⑤内傾していたポールを外傾させる
最初に立てたポールも外傾させ、稜線に強いテンションをかける。タープが自立したらメインのガイラインの張りを調整していく。

⑥残る頂点のガイラインを張る
残るガイラインは稜線中央部から放射状に広がるイメージでペグダウン。慣れるまでは仮打ちと調整を繰り返しながらペグの位置を割り出す。

タープ撤収の基本

①稜線をセンターにして半折りにする
ガイライン同士が絡まないように1本ずつたばねる。その後稜線で谷折りにして中合わせにする。草地や砂利の上でやると汚れがつきにくい。

②収納袋の幅まで畳む
残る頂点を稜線に重ね合わせて谷折りにする。これを何度か繰り返して短冊状に整形していき、収納袋の幅になるまで折りたたんでいく。

③左右から中央に向かって折り合わせる
短冊の中央部に向かい両側からたたむのを何度か繰り返す。巻き込みやすい長さになったら、片側から巻いてロール状にし、収納袋に収める

より強く!  より美しく!  ペグダウン術

①ペグとガイラインは90°!

ペグとラインの角度が90°をなすと強度が高い。ペグは頭近くまで打ち込まないと引き起こす力が働いて抜けやすい。しっかりと打ち込む。

②強風時はラインをひと巻き

風で煽られた幕が跳ね上がってガイラインを外すことがある。こんなときはポールのピンにガイラインをひと巻きすると外れにくくなる。

③効かないときは2本打ち!

砂質の地面はペグが効きにくい。1本で不安なときは2本のペグを近接させてX字に打ち込み、ラインを2本のペグにかけると抜けにくくなる。

Technique.2 トンネル

虫や風雨から守られた大きな居住空間を生み出す2ルームテント。最近は比較的簡単にたてられるトンネルテント型のスタイルの人気が再燃中。

写真のテント:オガワ/アポロン 

  • サイズ:D435×W320×H205cm
  • 収納サイズ:80×45×35cm
  • 重量:23kg

強度が高く、立てやすいフレーム構造を採用した5人用モデル。天井高があり、室内も広い。ひとりでも25~30分程度で設営可能。サイドとドアパネルには大型全面メッシュを採用し、通気性に優れる。

今回は設営の裏技を紹介!

以前はタープ× テントでリビングと寝室を作る組み合わせが人気だったが、最近はリビングと寝室を内部に集約する2ルームテントの人気が高い。

「布地が薄く強くなったこと、ポールの強度が増したこと、デザインと吊り下げ方法を工夫したことで、大型のシェルターは格段に立てやすくなりました。

いまもっとも人気なのは、居室を広くとれるトンネル型の大型テントでしょうか。プライベートな空間を生み出しつつ、夏場はやっかいな吸血昆虫を締め出し、冬場は冷たい風を防いでくれます」

ひとりでもたてられるようになったが設営時には風に注意したい、と牛田さん。

「完成すれば少々の風ではビクともしませんが、設営中は風に注意が必要です。風に煽られると、大きいぶんだけ強い力がパーツにかかるからです。

ポールの破断を防ぐコツは、風向きに注意しながら設営すること。ペグとガイラインを駆使して、風上側を固定しつつ設営しましょう。今回は撮影時に強風が吹いていたので、強風下での立て方を紹介します」

①「土間」が魅力の大型シェルター

最近の大型テントはフロアレスが主流。シートやインナーはあとから入れる。雨天ではシートを入れないほうが使い勝手が良い場合も。

②設営前にチェック! 凹地に要注意

トンネル型テントは移動が難しいので設営する場所は入念に選びたい。注意するべきは勾配と地形。凹地や水たまりの跡は要チェック!

③最初が肝心、異物のチェック

1cmに足りない小石でも、寝床の下にあるとわずらわしいもの。場合によってはシートと擦
れて穴を開けることも。最初に拾い集めておく。

トンネル型テントの設営の基本

①本体を広げてポールを配る
本体を広げポールを配る。多くのモデルがスリーブ端にポールと対応する色をつけているので、それを目印にする。強風時は幕が飛ばないよう風上側を1~2カ所ペグダウンする。

②ポールをスリーブに通す
ポールをスリーブに通して、ポールの末端にピンを差し込んでたわめる。横方向のポールをすべて通してからたわめるモデルもあるが、アポロンは中央側の2本を先にたわめる方式。

③片方の入り口をペグダウン
ドアのパネル脇から伸びるウイング状パーツの末端をペグダウンする。必ず風上側のパーツからペグダウンすること。風上側から固定しないと、煽られてポールが折れることがある。

④テンションをかけて反対側もペグダウン
本体を引いて展開。反対側のウイング状のパーツの末端をペグダウンする。末端のペグダウンが済んだら、すばやくサイドへ移動。ポールの風上側にガイラインを引くペグを打つ。

⑤風上側のガイラインを張る
手順4で打ち込んだペグにポールから伸びるガイラインをかけテンションを調整。続けて反対側のサイドに回り込んでこちらもペグダウン。ポールを両脇からしっかりと固定。

⑥残るポールをスリーブに通す
残る外側の2本のポールもスリーブに通す。風上側のポールから末端にピンを挿し込んで順番に立ち上げる。ポールを通したらやはり風上側のポイントから順番にペグダウンする。

⑦リッジポールを通す
横方向のポールがすべてペグダウンできたら、ルーフ部分にリッジポールを通していく。アポロンのリッジポールは3本あるが、最初に外側のスリーブに2本のポールを通す。

⑧フライシートをかける
残るリッジポールをルーフのトップに挿し込んで固定する。本体の上からフライシートをかけ、風上側のテンションゴムから順番にフックを固定リングにかけていく。

⑨インナーテントを吊るす
全体をぐるりとまわって歪みとガイラインの緩みを調整する。本体をしっかり固定できたらインナーテントを持って内部に入り、フックにインナーテントをかけて設営する。

トンネル型テント撤収の基本

①稜線を中心に中合わせに折る
設営とは逆の順番で解体。フライシートとポールを外し、ガイラインは1本ずつたばねる。本体は稜線を中心線として中合わせに重ねる。稜線を風上側にすると煽られにくい。

②両端を折り中心部で合わせる
本体が楕円形になったところで、両端を折り込み、中心部で合わせる。これを何度か繰り返して、収納袋の幅の倍になったら左右を合わせ、収納袋の幅の短冊状にまとめる。

③収納袋の幅まで折り畳み収納
稜線側から本体をロール状にまとめていく(丸める方向が反対になると、袋状になり空気が抜けない)。本体を丸めたらポールやそのほかのパーツを合わせて収納袋に収める。

強いハンマーとペグは必須!

大型のシェルターはペグにかかる負荷も大きい。付属するプラスチックペグなどには非力なものもあるので最初に強靭なペグを固定ポイントの数だけ購入したい。ペグを打つハンマーもそれに見合った強いものを。

ロープだけでも張力を調節! 「自在結び」をマスターしよう

自在金具がないときは「自在結び」で固定する。まずはペグにラインをかけて折り返し、本線に末端側をくるりとひと巻き。

続けて少し間隔をあけてもう一度本線に末端側のラインを巻きつける。2回目の巻きつけは上から下へと本線に2巻きする。

引き出した末端側のラインは2巻きしたノットの上手側へ引き出し、ハーフヒッチで結び目をロックする。これで結びが完成。

ラインにテンションがかかると結び目が摩擦力でスライダーの役割を果たす。張力を調整するときは結び目をつまんで動かす。

Technique.3 モノポールテント

家族でもグループでも、入れば自然と車座になるモノポールテント。柱は1本だけだが、どこから風が吹いても受け流すので十分な耐風性もある。

写真のテント:オガワ/グロッケ12T/C 

  • サイズ:D405×W420×H270cm
  • 収納サイズ:80×35×33cm
  • 重量:約14.7kg

底面が5角形のためペグダウンが容易。一般的なモノポールテントより設営中の歪みが小さく、ゆるみなく設営できる。

モノポールテントの設営の基本

①底面を広げ周囲をペグダウン
できるだけ平坦な場所を設営地に選んで本体を展開する。ペグループについたストラップを伸ばした状態で、ループをペグダウンしていく。

②中に入ってポールを立ち上げ
ドアからテントの内部に入り、メインポールを天頂部の補強布の窪みに押し当てる。そのままポールを起こしていき、ポールを垂直に立てる。

③ドアのAフレームを設置
付属するエクステンションポールを組み立て、頂点とポールの両端を対応する金具に固定。面ファスナーでポールを包んで固定していく。

④中心部から放射状にガイラインを引く
最初にAフレームの頂点から伸びるラインを固定。続けて全周のガイラインを固定していく。ラインは天頂部から放射状に伸びるように。

⑤ループのストラップを引く
ペグループのストラップを強く引き、本体底部の布地にテンションをかける。幕に歪みが出てしまう場合は、ペグを打ち直して調整していく。

モノポールテントの撤収の基本

①天頂を持って中心部で折る
草地や砂利の上に広げ、天頂部を引いて扇型に展開する。扇型の中央線に向かって両端を折り込み、これを何度か繰り返して短冊状にする。

②収納袋の幅になったら天頂部から巻く
収納袋の幅を確認し、短冊状にたたんできた本体をこの幅まで折り込む。続けて、天頂側から空気を抜きながらロール状に巻き上げていく。

③袋で飲み込むように収納
大型テントの本体は収納時にばらけやすい。ロール状になったところで、袋のほうを上からかぶせて収めていく。最後に残るパーツを収納。

出典

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フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

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