白馬岳 登山ルート「雪渓歩きから高山植物を愛でる1泊2日の山旅」

雪渓歩きから高山植物、大展望まで楽しめることで人気の白馬岳(しろうまだけ)。白馬岳では国内で観られる高山植物の7割が咲くとも言われ、運がよければライチョウに出会えることも。

今回は杓子岳や白馬鑓ヶ岳など荒々しい山々を臨む展望の中、ダイナミックな稜線歩きを楽しむ白馬岳の登山ルートをご紹介します。雪渓歩きの注意点も掲載しているので、高山ならではの世界を楽しんでください。

猿倉→大雪渓→白馬山荘→白馬岳→三国境→白馬大池→栂池自然園
[歩行時間]11時間20分
[技術]★★★☆☆
[体力]★★★☆☆
[レベル]中級

白馬岳 登山ルートへのアクセス

公共交通機関:東京方面からは北陸新幹線を利用して、長野駅から白馬行きの特急バスを利用するか、JR中央本線の特急あずさで松本駅まで行き、JR大糸線に乗り換えて白馬駅へ。どちらの場合も白馬駅からバスかタクシーで登山口の猿倉荘まで行く。

車:関越・上信越自動車道の長野ICから国道19号線、県道31号線を走行するか、長野自動車道の安曇野ICから北アルプスパノラマロード、国道148号線を走行して猿倉荘まで行く。小屋の裏手に駐車場がある。

ルートプランと所要時間目安

日程:1泊2日
歩行時間:11時間20分
歩行距離:20km

猿倉から入山して白馬名物の夏でも涼しい大雪渓を登る。宿泊するのは白馬岳頂上宿舎か白馬山荘。テント場は白馬岳頂上宿舎の裏にあり、食事だけ小屋で食べることもできます。山頂近くに小屋があるおかげで、小屋に到着した午後や夕方と白馬大池に向かう2日目の朝に山頂に立つことができます。どちらかが晴天であることに期待しよう。雪渓登りの次に楽しいのが、山頂から白馬大池に下る稜線歩き。富山方面の展望に目を奪われるはず。高山植物も豊富です。

猿倉
↓1時間
白馬尻小屋
↓2時間50分
葱平
↓2時間35分
白馬岳
↓1時間15分
小蓮華山
↓1時間20分
白馬大池
↓2時間20分
栂池自然園駅

白馬岳 登山ルートの詳細ガイド

白馬のシンボル大雪渓を目指す

白馬(はくば)駅からのバスは、白馬岳をはじめとする北アルプス北部の山々を目指す登山客でにぎわっています。その人波が、一瞬の喧騒をもたらすのが、終点の猿倉。そのバス停前にあるトイレを利用したら、樹林帯を登り始めます。

10分ほどで林道に出るので、ここを左へ進み、ゆるやかに登っていくと、左に白馬鑓温泉へ向かう道が分岐します。そのまま林道を直進して白馬尻に向かい、林道から登山道に入ると「ようこそ大雪渓へ」と書かれた大岩が出迎える白馬尻に到着します。

白馬尻小屋。ここの庭から眺める白馬山塊も迫力がある。アイゼンを忘れたらここで購入できます。

ここには白馬尻小屋があり、かたわらには大雪渓の雪解け水が音を立てて流れています。灌木帯をひと登りすれば、大きなケルンの建つ大雪渓入口に到着、先行する人たちの行動を確認し、アイゼンを装着したら、ベンガラと呼ばれる赤い線に沿って歩き始めます。

大雪渓の取付点。雪渓から下りるまでは、長時間の休憩を取ることはできないのでアイゼンを付ける前に腹ごしらえをしていこう。アイゼンはしっかり装着すること。雪渓を歩きはじめたらアイゼンが機能しているか、靴に密着しているかを最初の数歩で確認しましょう。

雪渓を登りきるのに2時間ほどを要しますが、焦らず、ゆっくり進もう。途中に土が露出した休憩ポイントがあるので、まずはここを目標にするといいでしょう。上部に行けば行くほど傾斜が厳しくなるので、ペース配分をしっかり考えながら登ること。左に岩峰が見えてくると、それが白馬三山のひとつに数えられる杓子岳。そろそろ大雪渓も終わりに近づいています。

大雪渓では、必ずベンガラに沿って歩くこと。とくに夏も終わりに近づいたころには、雪渓の端に近いところでは下に空洞ができ、踏みぬいてしまう可能性が高くなります。思わぬ事故を起こさないためにも、ルールを守って行動しましょう。

雪渓上部のようす。杓子岳の下辺りがもっとも落石が多い。雨が降った翌日や急に温度が上がった日などはとくに注意。

大雪渓をクリアしたら、一段上に登ってからアイゼンを外しましょう。そのことを忘れると、アイゼンを外そうとして、自分を危険にさらすことにもなりかねません。バックパックが大雪渓の餌食になるだけならまだいいが、最悪の場合、自分の身が大雪渓の上を滑り落ちていくことさえあるので注意が必要です。

白馬大雪渓の終点。雪渓上部は落石が多いため、雪渓から上がったら、その場で休憩せずに1mでも2mでもそこから離れるようにしましょう。

岩の多い急斜面を登っていくと岩屋跡をすぎ、ハクサンイチゲのきれいな葱平(ねぶかっぴら)に着きます。ここからザレた急坂をジグザグに進み、避難小屋をすぎると、やがてお花畑に入ります。水場の周辺にはさまざまな高山植物が咲き乱れ、目を楽しませてくれます。

水場上部のお花畑。白馬岳には国内で観られる高山植物の7割が咲くらしい。

左上に建物が見えても、なかなか距離が縮まらない。丸太の階段をクリアした後、直線的な長い岩場登りを克服して、ようやく白馬岳頂上宿舎に到着します。白馬山荘に泊まるなら、頂上宿舎のテントサイト脇から稜線に出て、山頂を目指します。その途中に建つのが白馬山荘で、広い斜面をひと登りで白馬岳山頂に着きます。

高山植物を愛で下山にかかる

稜線上にある白馬岳の山頂は、新田次郎著『強力伝』にも登場する方向指示盤を中心にして開けています。360度の展望が開け、日本海から富士山までもが眺められます。

絶景を思う存分楽しんだら、稜線をそのまま先に進みます。勾配がきつい箇所では、慎重に下りましょう。コマクサの群生地を抜けると、天気がいい日には日本海を望める展望のきく道の先で、分岐に出ます。長野、新潟、富山の3県が接する三国境で、左は朝日岳を越えて日本海へ通じるが、今回は右に行きます。

3県の県境にあたる三国峠

いったん下って登り返したところが小蓮華山。かつては大日岳といわれた霊山で、大きな鉄剣が立っています。登山道の脇にひそやかに咲く高山植物を愛でながらガレ気味の稜線をさらに進むと、やがて白馬大池を眼下に見下ろし、船越ノ頭をすぎます。

ライチョウに出合えるかもしれない、その名も雷鳥坂を下り、蓮華温泉への道を左に分けると、ほどなく白馬大池のほとりに出ます。白馬大池山荘の前にはお花畑が広がり、チングルマやハクサンコザクラなどが群生している。ここに泊まり、高山植物をゆっくり観賞するのもいいでしょう。

白馬大池手前から白馬大池山荘と白馬大池を展望する。

ツガの森を歩き栂池自然園へ

大きな岩が重なり合う道を登っていく。大きなケルンが立つ乗鞍岳の山頂に立てば、歩いてきた小蓮華山から白馬岳に続く山並みを一望でき、白馬岳の大きな山容を確認すると、じわじわと達成感に満たされることでしょう。いったん感傷に浸った後は、ふたたび気を引き締めて最後の行程に向かいます。

白馬大池から岩が堆積する斜面を登ることになります。「岩に乗らない」という基本スタンスを「確実な岩には乗る」という風に考えていくしかない。しかし確実に動かない岩はないので、両足を同じ岩に乗せないこと。

短い雪渓が現れますが、踏み跡をトレースして下りましょう。その先ではゴーロ状の道を進みます。大小の岩塊の上を歩くので結構こたえますが、ゆっくり慎重に歩けば大丈夫。灌木帯から植生を保護するための木道に変わると天狗原といわれる場所になります。尾瀬などと同じ高層湿原に数えられています。点在する地塘の間を抜けて延びる木道を外れることなく、植生の保護に努めましょう。

展望のないダケカンバの林を、小さく曲がりながら進む。ゆるやかな登り勾配に変わると、栂池自然園です。

白馬岳登山カレンダー(該当月の1日)

白馬岳データ

標高:2,932m
登山適期:7月中旬~9月
登山口:猿倉
下山口:栂池自然園駅
高低差:1,700m
営業小屋:猿倉荘、白馬尻小屋、白馬岳頂上宿舎、白馬山荘、白馬大池山荘
避難小屋:あり
テントサイト:白馬尻、白馬岳頂上宿舎、白馬大地
水場:避難小屋上
トイレ:猿倉、白馬岳頂上宿舎、白馬大池、栂池自然園駅
連絡先:白馬村観光局(TEL.0261-72-7100)、アルピコ交通バス(TEL.0261-72-3155)

登山を楽しむ皆さんへ

雪渓歩きから高山植物、大展望まで楽しめることで人気の白馬岳(しろうまだけ)。白馬岳では国内で観られる高山植物の7割が咲くとも言われ、運がよければライチョウに出会えることも。

今回は杓子岳や白馬鑓ヶ岳など荒々しい山々を臨む展望の中、ダイナミックな稜線歩きを楽しむ白馬岳の登山ルートをご紹介します。雪渓歩きの注意点も掲載しているので、高山ならではの世界を楽しんでください。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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