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ギプス生活が終わり、ひさしぶりに岩場へ向かい、アトリエで絵を描く|筆とまなざし#372

季節がめぐるリズムのように、焦らず自然の治癒力に任せていこう。

「松葉杖はここでお返ししますね」

看護師さんにそう言うと、

「え? もういらないんですか?」

との返事。

「え、まだいるんですか?」

思わずそう返したのだが、その理由はすぐにわかった。ギプスが取れたら帰りにアウトドアショップへ寄ろう。次の日はリハビリがてら岩探しに山を歩きに行こう。そんな期待は、ギプスを取って右足を床につけた瞬間に崩れ落ちた。踵のうしろから痛みが走り、松葉杖がなければとても歩けたものではなかったからである。

先週金曜日、3週間のギプス生活が終わった。ギプスを取ったらスタスタと以前のように歩けるとばかり思っていたが、そんなに甘くはなかった。自分の足ではないような不思議な感覚。患部はまだ腫れていて、長い間動かしていなかったせいもあって周りの筋肉や筋はすっかり固まっている。踵の痛みはそのせいで、マッサージをしたり軽く足首を動かしたりすると翌日にはなくなっていた。なんとか松葉杖がなくても歩けるけれど、しばらく両足で立っていると患部付近が痛くなってくる。関節を動かすのが痛いし怖くて足を引き摺るようにしか歩けない。

それでも、それなりに歩くことができ、車の運転ができるようになったので活動範囲が一気に広がった。今週土曜日には笠置山クライミングエリアで清掃活動(https://info.patagonia.jp/events/859/)をすることになっており、チラシを掲示板に張りがてら、ひさしぶりに岩場へ向かった。しばらく来ないうちに林道の工事は終わり、道が見違えるように新しくなっていた。いまは笠置山が一番コンディションのいい季節。爽やかに晴れた土曜日とあって、ルートもボルダーも大賑わいだった。登らないのに、岩場に来るとなんだか気持ちが高揚してくるのがおもしろい。それはきっと、岩場にはたくさんのワクワクとドキドキが詰まっているからなのだろう。

手術後は自宅で絵を描いていたのだが、今日はひさしぶりにアトリエで絵を描いた。アトリエまでは駐車場から20〜30mの山道が続いている。数メートルの急な坂があるのだが、ゆっくり歩けば問題ない。ツツジが鮮やかなピンクの花を咲かせ、木々も一気に芽吹き始めている。ワラビもちらほら見られ、細いタラの芽を見つけてスケッチをした。コシアブラはもう少しのようである。

教えてもらったリハビリを繰り返していると、日に日に具合が良くなってくるのを感じられる。季節がめぐるリズムのように、焦らず自然の治癒力に任せていこう。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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