
【自家製してみる?】プロが教える本格ハムの作り方

buono 編集部
- 2020年11月25日
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一度は作ってみたいと思っていた、この豚肉を使って。自家製でつくる時間、できあがりを待つ時間、時間と手間のかかる調理が楽しくなるほどの出来栄え。プロが教える自家製レシピを再現してみよう。
豚肉で自家製するなら、まずは王道のハムから。 自家製の定番。仕込みから茹で、そして燻製まで、時間さえかければ、豚の脂がよく詰まったハムに出会える。難しいことはない。まずは豚肉に触れることから始めよう。
まずはハムの主な種類を押さえておこう
ボンレスハム
豚モモ肉から骨を抜いた脂肪が少ない赤身が多くあっさり味。塩漬けして燻製・加熱したもの。
ロースハム
肉のきめが細かく、適度な旨味ある脂肪を含んでいる。豚ロース肉を整形した最も使われているハム。
ショルダーハム
豚肩肉を使っていることが特徴で、ロースハムと同様に整形・加工。赤身肉の色が強い。
骨付きハム
豚モモ肉を骨付きのまま整形・加工して作ったハム。低温で長時間乾燥させたものなどがある。
ベリーハム
豚バラ肉を円筒状に巻いて、整形・加工したハムで、切り口の模様が特徴的なハム。
ラックスハム
豚ロース肉・その他の部位を整形・加工したもので、燻製・乾燥した加熱していないハム。
ハム作りに必要な道具
- 鍋
- まな板
- 包丁
- ボウル
- 密閉ビニール袋
- トング
- 脱水シート
- キッチンペーパー
- バット
- ラップ
- アルミホイル
- 茶こし
- 網またはザル
- はさみ
- 水温計
- スモーカー
ハムの材料
豚肉(ロース)ブロック……500g
振り塩……大さじ1
〈ソミュール液〉
水……200cc
塩……40g
砂糖……20g
ニンニクスライス……1かけ分
オニオンスライス……1/4個分
香味野菜(ニンジン、セロリなど)
黒コショウ……小さじ1
スパイス、ハーブ(お好みで、オールスパイスなど)
1.用意
ここでは豚肉ブロック肉のロース肉を使用。本来は肉を整形するためにタコ糸を巻く作業があるが、予めたこ糸ネットに入って売っているものを使うと便利だ。
2.塩漬け(工程時間:約3分)
1 ブロック肉をまな板などの台の上に置き、塩を指先で掴んで上から多めに振りすり込む。
2 塩が一部にのみ付くことがないように、指のはらを使ってしっかりすり込む。
3 裏返して違う面にも均等に塩をまぶすよう心がける。この工程で素材をひきしめる。忘れがちだが、表・裏だけでなく、側面にも塩をすり込むようにすること。
4 もちろん底や上の部分にもしっかり塩をすり込むようにする。このように丁寧に塩をすり込んでおく。
3.脱水(工程時間:1日)
1 バットに脱水シートを広げる。脱水シートは自家製ハムを作るには重要なアイテムで重宝する。
2 脱水シートでブロック肉を包み込んでいく。すき間のないよう、ぴっちりと包む。
3 塩をすり込んだ肉から出る水分を取り除くため、脱水シートがしっかりと密着するように包む。
4 冷蔵庫に入れて1日おく。ブロック肉をあらかじめ塩漬けすることによって味が入りやすくなる。
4.ソミュール液を作る(工程時間:約20分)
ソミュール液とは、漬けこみ液のこと。その液体に漬けることによって素材に下味をつける。10〜30%の濃度の塩水に、砂糖、好みのスパイスを入れて、自分好みの味を見つけよう。
1 ソミュール液の素となる食材を切る。玉ねぎ・にんじん・ニンニクを薄くスライスしていく。ソミュール液には、素材に合わせて香味野菜をブレンドするといい。
2 ソミュール液は火にかけて作るので、鍋を用意し、水をいれる。すぐ火にはかけない。
3 塩40gを入れる。ソミュール液の塩分濃度は10〜30%程度にする。
4 砂糖 20g を入れる。今回はザラメを使っているが、砂糖の種類はお好みで。
5 黒こしょうを入れる。ソミュール液にはスパイスが不可欠。黒こしょうは定番のスパイス。
6 オールスパイスを加える。スパイスやハーブなど、ソミュール液には好みのスパイスを入れる。
7 1で切っておいた野菜類を入れ、すべての材料を入れた鍋を火にかける。火加減は中火で、ひと煮立ちさ せる。
8 ソミュール液が沸騰してきたら、火を止めて、鍋をコンロからおろす。
9 ボウルに水を入れ、ソミュール液が入った鍋を浸して冷ます。
10 ある程度ソミュール液が冷めたら、水を替えて氷を入れる。ここでは保冷剤を入れて冷やしている。
5.漬ける(工程時間:5日)
1 冷ましたソミュール液を密閉できるビニール袋に茶こしでこしていれる。ソミュール液の具材がなるべ く密閉ビニール袋に入らないように気をつける。
2 冷蔵庫に入れておいた豚肉ブロックから脱水シートをはがしていく。 水分が抜けているかのチェックもしておこう。
3 塩漬けによって出た水分がブロック肉についているので、キッチンペーパーでふき取っておく。
4 ソミュール液が入った密閉ビニール袋に水分を拭き取ったブロック肉を入れる。まずは密閉ビニール袋の底の方から押して、空気を抜くように。
5 密閉ビニール袋を折り曲げて、手のひらで肉を押さえながらさらに空気を抜いていく。両手で密閉ビニールの両側を持ち、さらに空気をぬきながらビニールの口を閉じる。
6 一旦密閉し、中でブロック肉がソミュール液に浸かる場所に移動させる。
7 ブロック肉がソミュール液に充分浸かった状態で改めて密閉をし直す。密閉ビニール袋に空気が入らず、ブロック肉がソミュール液に浸かっている状態がいい。
8 ソミュール液がこぼれてもいいようにバットごと冷蔵庫へ。必ず冷蔵庫で漬ける。時々上下をひっくり返し、まんべんなくソミュール液がブロック肉にしみるようにする。ブロック肉の上下を交互に返しながら、5日間冷蔵庫に置いて漬ける。
6.塩抜き(工程時間:約4時間)
1 冷蔵庫でソミュール液に5日間漬けておいたブロック肉を袋の中から取り出す。ソミュール液に浸かった肉は、色が変化している。
2 ボウルに水を張り、底に塩分がたまるので、必ず底に網またはザルを敷いて肉を入れる。途中、数回水を替えながら、3時間以上塩抜きをする。
3 水からブロック肉を引き上げ、少し切って塩抜きができているかを確かめる。切り取った肉を油をしいたフライパンで焼き、塩抜き確認のために味見をする。塩抜きの具合で出来上がりの味が変わってくるので慎重に判断を。まだ塩漬けをしてソミュール液に漬けただけだが、旨味は増している。味見をして塩気が強かった場合はもう一度2に戻って塩抜きを行う。
7.乾燥(工程時間:約半日)
1 味見のために取り出したブロック肉は水を入れ替えて浸しておく。
2 ブロック肉をボールの中からキッチンペーパーの上に取り、水分を拭き取っていく。溝の部分なども注意してできるだけ水分を拭き取るようにする。
3 バットの上に脱水シートを広げる。その上に水分を拭き取ったブロック肉を置く。
4 塩漬け工程と同じように、脱水シートですき間なくぴっちりと包んでいく。
5 隅々まで脱水シートが肉の表面に当たるようにして包んだら、冷蔵庫にいれて8〜12時間おいて乾燥させる。冬場は外に干してもよい。
8.燻製(工程時間:約6時間)
1 スモーカーの下段にアルミホイルを敷いて、割ったスモークウッドをおく。ここで使用しているのは、進誠産業の「サクラ」。
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2 2段目は、肉の脂がスモークウッドに落ちないようにアルミホイルを敷いておく。
3 その上の段にブロック肉を入れる。その後スモークウッドに火をつけて戸を閉める。
4 60〜80°Cで4時間燻製する。その後は外気にさらして風乾する。
9.茹でる(工程時間:約2時間)
1 水を張った鍋の中に燻製したブロック肉を入れる。必ず水から茹で始める。
2 鍋に温度計を設置する。温度計を見ながら70°Cになるように火加減を調節する。
3 温度は70°Cにキープして茹でる。頻繁に温度を確認しながら1時間半〜2時間茹でる。
10.冷ます(工程時間:約1時間)
1 ボウルに氷水を入れておき、茹で上がったブロック肉を入れて30分〜1時間冷やす。
2 氷水からブロック肉を引き上げ、キッチンペーパーで水分を拭き取る。
3 水分を拭き取ったら、ブロック肉のタコ糸ネットをはさみで切っていく。
4 出来上がった自家製ハムは本格派の味わい。冷蔵庫で1週間保存可能。
教えてくれた人
燻製ニスト 佐藤暁子さん
日本燻製協会代表。自身が運営する燻製バー店主。燻製教室も開催中。
http://www.smoke-sato.com
出典
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PROFILE

buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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