
アートと農の日々を包みこむ築80年の家|葉山エリア

湘南スタイルmagazine 編集部
- 2021年02月07日
葉山の小径の奥に佇む古き良き時代の家に、手を入れながら丁寧に暮らす。ギャラリーやサロンを内包した静かな住まいだ。
農と芸術に満たされた素朴な暮らしに憧れて
フランク・ロイド・ライトの系譜を継いだ建築家・遠藤新設計のこの家に、真砂夫妻が住んで30年。
「バリ島を旅した時に、農と芸術に満たされた素朴な暮らしに心を打たれ、日本でそれを叶えられそうな地域を探して見つけたのが葉山でした」と秀朗さん。六本木にデザイン事務所を構えていた頃とは打って変わって、いまは稲作をしながら絵や書を描き、インディアンフルートを奏でて暮らす。
一方で三千代さんは絹と麻の布で羽衣のような衣服をデザインし、この家の近くで店舗も運営している。1月には玄関とキッチンを中心に改装し、ギャラリーとティーサロンのスペースを整えた。
「この時代だからこそ、会って話をする機会を大事にしたい。中国や台湾でお茶を飲む文化の良さを改めて感じました」と夫妻。作品の展示などの機会に家を地域へ開き、訪れた人に楽しんでほしいと言う。小径の奥の聖域のようなこの家が、相応しい住まい手として彼らを選んだのかもしれない。
かつての葉山の別荘文化が消えゆくいま、ここには永遠に続いてほしい時間と空間がある。
葉山の中心地 元町からすぐとは思えない静かな敷地に続く小径は、左が服のアトリエへ、右は自邸とヘルシーフードの会社「SEE THE SUN」へと続く。木々と鳥のさえずりに囲まれた心地よい空間が広がる。
陽射しがたっぷり注ぐ庭には紅梅が咲く。
昔は玄関だったというテラスの階段には葉山の建築で特徴的な「大谷石」を。
葉山にある秀朗さんの田んぼで採れた黒米と緑米。
真砂邸へと向かう途中の小径沿いに三千代さんのショップ「Lifeafa」がある。
大切な人とお茶を飲む時間を楽しむ
玄関ホールも今回リノベーションし、ギャラリー兼ティールームに生まれ変わった。艶のある木材でヘリンボーンに張られた床は建築当初のまま。奥のトルソーには三千代さんがデザインした「ローブ」が展示されている。
改装したキッチンの一面にあるギャラリーコーナーには知り合いの作家の器が並ぶ。壁は珪藻土に藁を混ぜている。
中国や台湾、日本の様々なお茶と茶器が揃う。改装のコンセプトは「家のいろんな場所でお茶が飲めるようにしたくて」と三千代さん。
自然光が射し込む明るいアトリエ
一枚板のテーブルは知り合いの作家によるもの。大谷石の暖炉には秀朗さんの描いた絵が飾られている。
三方に窓があるアトリエには自然光が燦々と射し込む。ここで絵や書などの創作を行うほか、友人が集まれば音楽を奏で楽しいひと時を過ごす。
ボブ・マーレーの歌詞とライオンの物語を日比野克彦らのイラストとの競演で仕立てた『ライオンのうた』(テン・ブックス)など、秀朗さんが手がけた本。
自ら作曲・演奏するインディアンフルートのCDを自身のレーベルからリリース。
重版を重ねる秀朗さん作の絵本は愛らしい絵と擬音の響きが魅力。『Rainbow Books「ながれ」「リズム」「かたち」「ことば」「きもち」』(ミキハウス)。
27年目を迎える葉山芸術祭のロゴマークを制作したことで知られる秀朗さんの版画は、象形文字のような作風。
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- 湘南スタイルmagazine
- CREDIT :
- Photo/Y.Ozawa Text/M.Kado
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PROFILE

湘南スタイルmagazine 編集部
1998年創刊の湘南を代表するメディア。湘南エリアに住む人と住んでみたい人に向けて、湘南オリジナルのライフスタイルと暮らしを充実させるテクニックを訴求し続ける。
1998年創刊の湘南を代表するメディア。湘南エリアに住む人と住んでみたい人に向けて、湘南オリジナルのライフスタイルと暮らしを充実させるテクニックを訴求し続ける。